商品やサービスの売上の一部を、非営利活動に寄付する「コーズマーケティング」。
社会貢献やCSRの一環として、大企業はじめさまざまな企業が実践してきました。
コーズマーケティングで難しいのは、売上や利益にはどの程度の効果があるのか?を数値化することでした。
ある通販企業でコーズマーケティングの施策をテストしたところ、既存顧客のリピート購入に明確な効果が出たことがわかりました。
その成功事例を、導入までの背景からお伝えします。
300社以上の支援実績からロイヤル顧客を育てる方法をわかりやすくまとめました。
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目次
定期コースの継続率を高めるための、風変わりなアイデア
ことのきっかけは、1年ほど前。
「山内君、手伝ってもらえないか?」
このブログもご愛読いただいている、通販業界の大先輩の社長様から、あるご相談をいただきました。
健康食品・化粧品を販売しているこの会社様では、定期コースの継続率を上げるのが課題。
そこで、「実は、こんなこと考えているんだ」
と聞かせてもらったのが、
「定期コースのお客様からの売上の一部を慈善団体に寄付する」
という一風変わったアイデアでした。
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「社会貢献」と「利益」が両立する仕組みを創りたい
ある商品の売上の一部を寄付する、という仕組みは「コーズ・マーケティング」と呼ばれ、これまで業界問わず多くの企業が行ってきました。
(参考記事「お金を使う罪悪感」に、“購入の言い訳”を用意してお客様の背中を押す方法)
一方、売上アップに直結しているのか分からず、単に社会貢献の取り組みにとどまってしまうケースもよく見られました。
この会社では、毎年NGO/NPOを複数選んで寄付をするなど、チャリティ・CSR活動には積極的に取り組んでいます。
「利益を社会に還元したい」という想いとともに、社会貢献と利益を両立して、むしろ加速させられるような仕掛けをできないか?との考えから至ったのが、次の施策でした。
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定期商品お届け時に同封した、封筒に書かれたひと言
「ありがとう」
定期顧客への商品お届け時の箱に同梱したのは、こう大きな文字で書かれた封筒です。
オモテ面に書かれているのは、毎月、商品を定期ご購入いただいたお客様からの売上の一部を、子どもたちのための教育活動に寄付していること。
「子どもたちからあなた様へ、感謝のお便りを同封しております。」
と毎月商品を購入するたびに、感謝の手紙が届くようにしたのです。
封筒を開けてみると・・
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「ご支援いただいた皆様のおかげで、合格できました」手書きでつづられた感謝
「いつもありがとうございます。
被災地の子どもから、感謝のお便りです。」
そんな書き出しとともになかに入っているのは、支援先であるNPO団体が運営する、東日本大震災の被災地で開かれた、放課後学校に通う子ども達の作文。
「私の家は震災で無くなり、今は仮設住宅に住んでいます。
しかし、周りの他の家の子供が遊んでいたり、犬がほえてたりして、
家ではあまり集中して勉強できませんでした。」
「私たちは全員受かることができましたが、来年、
再来年と勉強したい人はまだたくさんいるので、
大槌が復興する時まで支援をよろしくお願いします。」
「私は、この春から高校生になります。
私が志望校に合格できたのは、親や友達、先生方、
そして支援をいただいた方々のおかげです」
これらの想いが手書きでつづられた作文とともに、生徒さんの写真やエピソードが、別紙で紹介されています。
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定期コース継続率が、3ヶ月後時点で5%アップ
これらの手紙が、定期顧客には毎月商品お届け時に届く仕組みです。
効果を検証するために、まずは一部のお客様だけに同梱して、同梱していないお客様と継続率を比較することにしました。
これらの施策を3ヶ月程度続けた後に、4ヶ月後・・その数字を比較した結果を、ドキドキしながら、ご担当者に伺ってみると・・
同梱物を入れたお客様の継続率が、入れなかったお客様の数字と比べて、高まっていたのです!
ただし、この数字をお客様の年齢別に比較すると、実は30~40代のお客様は、残念ながらほとんど変化が出ませんでした。
ところが、60代~のシニアのお客様では、想定以上の変化が見られて、5%近く継続率が上がっていたのです。
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継続率アップの裏側にあった、「一貫性の原理」とは?
どうして、このように継続率がアップしたのでしょうか?
もちろん、被災地の子ども達のための活動は多くの方々にとって、「良いこと」ですし、子ども達の夢を聞かせてもらうのは、悪くない体験でしょう。
一方、愛用している商品やお客様の解決したい悩みとは直接には関係ないですし、また手紙をくれた子ども達も言って見れば「赤の他人」です。
「東北」や「復興」に関心が薄れている方も多いでしょう。
そんななかで私が狙ったのが・・
「一貫性の原理」です。
続きは後編「通販でのお買い物が寄付につながると?定期継続率5%アップの事例から解説」にてご覧ください。
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