CRMが上手と言われる、ある健康食品会社の同梱ツールやDMを調べていると、興味深いことに気づきました。
お客様にしても社員にしても、生産者にしても、「人の顔」がとても頻繁に載っているのです。
広告やDMへの“顔出し”が効果的な理由を、経済学の「シグナリング」という観点から解説します。
同梱ツールの効果を高めるには、顔出し以外にも効果的な方法があります。
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目次
あるDM・同梱ツールを調べて判明したこと
前編「購入前の“不安”を乗り越えてもらうために」にてご紹介したのは、
同梱されていた商品説明パンフレットで、
「生産者にお会いして、品質と安全性を確かめてきました」
ということで、自然栽培に取り組んでいる農家の3人が登場。
その後のページでは、
「発売以来『○○○(商品名)』を担当している△△△△(個人名)です」
と、担当者の似顔絵つきで成分の解説が続きます。
「ご愛用者100万人突破!!」と書かれた別のリーフレットでは、製品を食べている子どもの写真が、合計10人登場。
後から届いたDMでも、お客様や生産者などが写真入りで何人も登場するほか、社員が家族で商品を食べている様子を写真つきでレポートするもコーナーも・・・
とあげればきりがないですが、なんと同梱物と2通のDMで合計でなんと24名!の「顔」が登場していました。
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同梱ツールの効果を高めるには、顔出し以外にも効果的な方法があります。
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「顔出し」のレスポンス効果は?
これだけ取材したり許可を得たり… 大変だったと思います。
が、それでも載せているということは、顔を出すことがメリットと捉えられているのでしょうか。
そんなに効果があるのだろうか?と調べてみたら、顔写真の掲載による反応率アップ事例がいくつか見つかりました。
(通販ではないですが)
・折込チラシ:千葉県の整体院で反応率1.5~2倍
(「営業力は社長の「顔出し」で3倍アップする」落合英之)
・米国ノンバンク:封筒に女性の顔写真を載せると、低金利を
アピールするより開封率が上がった
(「なぜこの会社には1ヶ月で700件の引き合いがあったのか?」片山和也)
・ランディングページ:問い合わせが1.5倍に
通販のチラシでも、お客様の声に顔写真があるとより説得力が高まるといいますし、リピート出稿されている広告を見ていると、商品ではなく社長や有名人の顔が前面に出ていたり、お客様の顔が何人も載っている広告をよく目にします。
これらを調べていくと、どうやら顔を出すことはプラスに働きそうですが、その理由は何でしょう?
「親しみやすい」「本能として、人の顔に目がとまってしまう」などたしかに納得なのですが、考えていくうちにもう1つ思い浮かんだのが、「返金保証」と共通する効果があるのでは!?ということです。
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「信頼」を構成する2つの要素とは?
社会心理学の研究によると「信頼」は2つの要素に分解されます。
(「信頼の構造」 山岸俊男より)
1つ目が、能力への期待。
これは、「信頼に応えるのに必要なスキルや知識をもっているか」です。
前回の記事でも触れた「第三者の推薦」や「数値データ」によって、安全性や効果などが優れていることを、客観的に示せますね。
2つ目が、意図への期待。
これは、「相手がやるといったことを、やる気があるだろう」ということ。
「自分に危害を加えないだろう」「だまそうとはしないだろう」も含まれるでしょう。
「意図への期待」は、自分がよく知っている人や会ったことのある人なら自然にもてそうですが、通販の場合のネックは売り手と面と向かって話ができないこと。
大企業でもない限り、それまでは社名さえ知らなかった場合がほとんどなので、いきなり会社の姿勢を信頼をしてもらうことはハードルが高そうですね。
同梱ツールの効果を高めるには、顔出し以外にも効果的な方法があります。
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不正をしないという「シグナリング」
では、どうやって相手に信頼をしてもらえるかというと、1つ方法があります。
「相手をだますと、自分も損になる」という状況を作り出すことによって、自分にマイナスになる行動をしないだろう、と相手から思ってもらうのです。
これを経済学においては、「シグナリング」といいます。
「返金保証」が分かりやすい例ですね。商品が悪いものだったら、売り手は余計なコストを負担しなければいけないので、粗悪なものを売りつけることはない、という証明になります。
「顔」も同じ働きをすると考えられます。
万が一不正なことをしたら、顔の出ている社員やその家族は、バッシングを受けてしまいます。
生産者やお客様にも迷惑がかかってしまうので、逆に、顔を出す本人は「そんなことはしない会社だろう」と考えて許可を出しているいる、という証明になるでしょう。
同梱ツールの効果を高めるには、顔出し以外にも効果的な方法があります。
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チラシに載せた社員の顔写真の、意外な影響
弊社で制作するチラシでも、人の顔、特に社員の方の集合写真などはよく使わせてもらっています。
特に入れるのがオファーの電話番号の近く。
お客様が電話をかけようか迷ったときに、「この人たちが出てくれるのなら」と安心してかけてくれるのを狙っています。
以前にあるチラシで、コールセンターのオペレーターの方1名の写真を名前入りで電話番号の横に表示したところ、その方宛ての指名で電話が殺到…
しばらく別の仕事ができなかった、という嬉しい悲鳴をいただいたこともありました。
お悩み解決型の商材だったため、顔が見えていると相談がしやすかったようです。
ということで…顔写真、特に社員の顔をまだ広告やDMに使われていない方は、一度試されてみてもよいかもしれませんね。
(誰が出るか?を選ぶのが大変かもしれませんが…)
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