通販で健康美容製品をよく購入しているロイヤル顧客に話を聞くと、声を揃えて聞かれたのが、「自社にとって不利な情報も、包み隠さずに公開している会社の方が信頼できる」ということでした。
広告でも“良い面”と“悪い面”、両面を提示している広告が売れるとしたら、それはなぜでしょうか?
ソーシャルメディアの炎上事件や通販健康食品の同梱物の事例、心理学の実験結果などから解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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目次
「中国産と明記していたので、逆に安心」通販ロイヤル顧客の意外な声
昨夏に、通販で化粧品・健康食品を定期的に購入する“ロイヤル顧客”へインタビュー調査を行いました。
本誌の姉妹版「通販ニュースレター」にその結果を載せたところ、読者の方から「びっくりしました」という声を多くいただいたので、ブログでも紹介いたします。
「ある成分については、堂々と『中国産』と明記していたので、逆に安心しました」
50歳の主婦(東京都、世帯年収1000~1200万円)の方からです。
成分の表示がしっかりしていることを購入のポイントにおく彼女。
その他のお客様からも、
「悪い声も載せている会社の方が安心できます」や
「C社は自然派と言っているけど、成分を見ると100%ではないんです」など、
成分や製造工程へのオープンな情報公開を好意的に捉えたり、逆に“隠す”姿勢に不審をもつ声は、多く聞かれました。
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「臭いもののフタ」を開ける売り方
“プラス”と“マイナス”、両面の情報を提示した方が相手から好印象を抱かれやすい、という実験結果を別の記事に書かせていただきました。
<参考> シュガーマンに学ぶ、「欠点の告白」で信頼性を高める売り方
会社や商品について、悪い側面も隠さずに伝える。
ソーシャルメディアの普及が進んだまさに今、そんな姿勢が大切になるんだろうな。
そう思いながら、どこかリアリティを感じられずにいた私ですが、本をめくる手を思わず止めて、“冷やり”としてしまった事例を見つけたので、共有させて頂きます。
2009年春、「宅配ピザ」にまつわるある動画が、世界中に出回り、予想もしなかった「大炎上」を巻き起こしてしまったケースです。
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ドミノピザを揺るがした、“不衛生な”動画
オーストラリアのドミノピザ店舗内で、業務時間中に男性社員が、チーズやサラミといったピザの材料を鼻に入れるなど、悪ふざけをしていました。
(出典:「ソーシャルシフト」 斉藤徹)
このシーンを、女性社員がこっそり動画で撮影。
なんと、YouTubeに投稿してしまいました。
すると、その動画がソーシャルメディアを通して一気に拡散。
閲覧回数は100万回を超えました。
この“不衛生な”動画は、利用者の嫌悪感を大いにあおり、「二度とドミノピザで頼まない」といったコメントが多数寄せられたといいます。
動画を見る前にドミノピザを注文していたお客様の65%が、これを見た後に「注文をためらうようになった」というアンケート結果も出てしまったほど・・・
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CEOも出演した、「驚くべき正直な動画」
トラブル直後は、静観するなど初動の遅れも指摘されてきたドミノピザですが、その8ヶ月後、積極策を打ち出します。
なんと、かつて炎上したYouTubeに、ドキュメンタリー動画を投稿したのです。
「今まで食べたどんなピザよりまずい」
「ドミノピザのクラフトはダンボールみたいな味がする」
「ソースがケチャップみたい」
このような顧客からの批判を、CEO自らが出演して読み上げ、これらも傾聴のうえ真摯に対応していること、そのうえで新しく生まれ変わったピザを作り出したことを伝えました。
この「驚くべき正直な動画」は大いに注目を集め、地元TV番組などメディアに登場。
さらに、YouTubeで70万回近く再生され、Facebookページのファンを8万人以上も増加させるなど、「誠実でフレンドリーな」企業として、そのイメージを改善したそうです。
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お叱りや疑問も載っている、健康食品の「お客様の声」
この話を読んだ後、私が抱いたのは
「悪口もあえてオープンにするなんて、英語圏のカルチャー。日本にはなじまないのでは・・」
そんな先入観を覆してくれる事例があったので、紹介しますね。
ある健康食品の無料サンプル請求後、DMに同封されていた“お客様の声”です
「よくあるサプリメントと変わらない
C・Y様(35歳・女性)
続けないと効果が出ない気がする。
よくあるようなサプリメントと変わらない気がする
そのわりには高価すぎる」
よくある“お客様の声”と言えば、商品への賛辞ばかり。
ところが、ここにはお叱りや疑問も、正直に記載されていたのです。
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「サンプルを飲んでみて、特に効果があったとは思いませんでした」
それに対して会社からの答えはというと。
「確かに見た目はよくあるサプリメントと変わりませんが、カプセルの中身は新鮮な○○○○○を煮出したエキスで○○○の栄養成分が自然のバランスで凝縮されています。
特定の栄養成分だけを補給するサプリメントとは違うことをご理解いただけると、うれしく思います」
これらの声一つひとつに、誠実に回答しているのです。その他にも、
「ドラッグストアなどで売っているくらいの金額のサプリメント以外には、正直なかなか手が出せません」
「サンプルを飲んでみて、特に効果があったとは思いませんでしたが、少し飲み続けてみようと思います」
など、購入にあたってマイナスになりそうな情報もあえて載せています。
この会社から次に届いた定期購入促進のDMでも、やはり封入されていたのが、同様のQ&A。
「お客様からの疑問や不安に、オープンに答える」とポリシーをもって、取り組んでいるのでしょう。
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どちらの説得が効果的か?は聞き手によって異なる
上記のような、正負両面の情報を提示するのと、良い情報だけ押し出す方法。
この2つの提示方法を研究したボブランドらによると、どちらが効果的か?は条件によっても異なるようです。
1つ目が、聞き手の元々の態度。
元々の態度がポジティブな人には、一面提示が有効なものの、逆にネガティブな人には、両面提示の方が効果的だそう。
2つ目が、聞き手の教育水準。
「教育水準の高い人」は、一面的な説得には応じにくく、+-の両方を提示した方が説得に応じやすいとのこと。
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通販広告が氾濫する時代には、「良いこと悪いことも、包み隠さず打ち明ける」態度が大事に!?
かつてないほど、多数の通販広告が氾濫する現代。
広告を見て期待して買ったものの、「がっかりした」という体験をもつお客様が、増えているからでしょうか。
「欲しい!」と思っても、Webで検索する、口コミサイトを調べる、そんな感想もよく聞かれました。
通販広告への信頼度がも高くない層も取り込まねばならず、また、情報リテラシーが高い消費者も増えている。
もし市場がそんな環境に差し掛かっているとしたら・・・
「良いこと悪いことも、包み隠さず打ち明ける」
そんな態度が大事になるのかもしれません。
と、最後に仮説まで失礼いたしました!
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