テストによる改善を重ねてできた紙面に、「あともう一歩レスポンスを上げたい」というときに有効なのが、キャッチコピーやチラシの大きさを変えて、広告を目立たせる仕掛けです。
レスポンス率が1.3倍にアップしたチラシなど、改善事例をお伝えします。
B4からB3へ、チラシの用紙サイズを変えてテスト
ある通信販売企業で、目標値をクリアできるB4サイズのチラシ原稿が完成しました。
そこで、よりレスポンスを上げる方法はないのか?という視点でチラシのテストを行いました。
その方法は、B4のチラシのサイズを、B3に大きくするというものでした。
B3サイズは、B4サイズの2倍の紙面があります。
通常、B3サイズのチラシを制作する際には、体験談や成分説明、専門家のコメントなど、B4サイズよりも多くの説得要素を追加して消費者の購入意欲を高めようとします。
つまり、B4サイズとB3サイズでは、紙面構成が異なってしまうのが常となります。
ところが、チラシのサイズ別でレスポンス優劣を測るためには、「B4サイズ」と「B3サイズ」で同じ紙面内容でなければ、公平なテストにはなりません。
そのため、このテストでは「B4サイズ」のチラシをそのまま「B3サイズ」に拡大して、テストを行いました。
(ただし、チラシについているハガキについては、郵送はガキのサイズを遵守するため周辺のデザインを調整しました。)
テスト結果は、B4サイズのチラシがレスポンス率0.09%(CPR7,380円)。
それに対して、B3サイズのチラシはレスポンス率0.162%(CPR6,201円)と19%も獲得効率が改善したのです。
チラシをB4サイズからB3サイズに変更することによって、1部あたりのコストは7.38円から11.07円に増えてしまっていました。
しかし、レスポンス率がそれ以上に改善したため、最終的にはB3サイズの方が効率が良いというテスト結果になりました。
紙面の約1/3の面積がキャッチコピーという、驚きの構成
B4サイズの原稿で、通常の広告紙面とキャッチコピーを大きくした広告紙面で、レスポンスがどのくらい違うのかを確認する比較テストを行いました。
キャッチコピーを大きくした紙面では、B4サイズ紙面の約1/3がキャッチコピーいう大胆な構成にしました。
(ただし、他のコンテンツを一部小さくするなどの調整は行っています。)
その結果は、元の広告紙面のレスポンス率0.115%に対して、キャッチコピーを大きくした広告紙面のレスポンス率は0.143%。
キャッチコピーを大きくした紙面の方が、約1.3倍もレスポンスが改善されていたのです。
この場合、紙面サイズ変更などで印刷費や媒体費などコストが高くなることはないので、キャッチコピーの大きさを変更するだけで、費用対効果が改善したことになります。
クリエイティブが“疲弊”した時は、「消費者が気になっている部分」を目立たせる
キャッチコピーには、もともと「その商品のターゲット・優位性・商品ベネフィット」を消費者に端的に知らせるという役割があります。
クリエイティブテストを重ねて、目標値の80%を超える広告紙面が確立できた場合、その広告紙面のキャッチコピーは消費者にとってチラシを手に取らせるに十分な力があると考えられます
キャッチコピーを大きくするということはすなわち、広告紙面の中で「消費者の興味を引くポイント」を大きく表示し、より消費者へのアプローチ力を高める狙いがあるのです。
「消費者が気になっている部分」を大きくする、目立たせることでレスポンスを改善するというのは、キャッチコピーに限ったことではありません。
画像やアイコンなどを大きくすることで、レスポンス改善につながった事例も多くあります。
この仕掛けは、特に広告紙面が疲弊したときにも有効です。
「昔は反応が良かった原稿が、だんだん疲弊してきている」という状況であれば、消費者が広告紙面を見慣れてきてしまった、と考えられます。
そんなときにキャッチコピーを大きくするだけでも、広告紙面の印象を変えることができます。
※本記事は、「通販マーケティング-売れるチラシ入門-」(木村真子、東洋経済新報社)の一部を編集・抜粋のうえ掲載しています。