通販会社の顧客へのインタビュー調査で、意外な事実が分かりました。
「明確な効果を感じていない」にもかかわらず、コールセンターのオペレーターによる親身な対応や機転を利かせたコミュニケーションに感動して、定期購入を続けているお客様が多数いたのです。
カスタマーサポートで有名な米国の通販会社、ザッポスのエピソードも参照しながら、“感動レベル”のCSの事例を紹介します。
300社以上の支援実績からロイヤル顧客を育てる方法をわかりやすくまとめました。
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目次
ヒトの“自動的スイッチ”を働かせる、「返報性の法則」
さて、いきなりですが「返報性の法則」という言葉、聞かれたことはありますか?
このメルマガでもたびたび紹介している古典、「影響力の武器」(ロバート・チャルディーニ)でも紹介されている心理的法則です・・
と言うと、大仰に聞こえますが、すなわち
「相手から何かをもらったら、こちらも、お返しをなければいけない気になる」
という、当たり前の気持ちのことです。
そんなヒトの心の“自動的スイッチ”を働かせようと、「無料サンプル」や「プレゼント」、はては「手書きの手紙」など。
先にお客様に“恩を売る”ことで、後で買ってもらおうとする戦術を、各社とも昔からとっていますね。
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「手書きの手紙だからといって、今さら読みません… 」
通販では“お馴染み”になっているこれらの工夫、本当にお客様の心を捉えているのでしょうか?
本サイトでもたびたび紹介した、健康・美容通販のロイヤル顧客への調査。
そこで気づいたのは、「特典」や「プレゼント」「キャンペーン」等に、売り手の想像以上に、お客様は“慣れて”しまっているのでは、ということでした。
「私は、無料サンプルは絶対に注文しません。
無料サンプルでいいものなんて、ないと思ってますから。」
「キャラクターやケースが送られてくるけど・・・
もう少し使えるものを送ってほしいです。」
「手書きの手紙も送ってくるけれど、今さら手書きだからと、特別読むようなことはないかしら。」
各社が競うように、“与える”施策をとってきたため、何かモノをもらえること、お客様にとっては“当たり前”という感覚になってしまったのかもしれません。
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定期コースに申し込んだきっかけは、オペレータの小さな親切
一方、「何かの“恩”を感じることで、そのお返しをしたくなる」、という根本的なスイッチ自体は、人間心理に普遍的なもの。
上述の調査でインタビューした、ある健康食品会社から香酢を定期購入しているお客様(60歳/東京都)の声を紹介します。
「その後(※サンプルを注文した後)、別のところからの広告メールで、この会社のことがあって、『○ポイント』が使えるって書いてあったんですね。
それが引っかかって電話してみたんです。
そうしたら調べて、さっそく折り返しの電話をくださって、とってもよく説明していただいたんですね。
私が勘違いしてたみたいなんですけど、こんなに、親身になってくださるんだって。
通販で電話すると、皆さん感じいいんですけど、ここは特別でした。」
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「実感してないのに、定期購入」の不思議
サンプル申込み→定期コースへと至るきっかけを話してくれた彼女ですが、驚くべきは、半年続けている今も、
「正直、実感はねぇ・・・
効いてるかどうかはわからなくて。」
と語っていること。同じようにを、「効果は実感していないのに、定期購入している」というケースは、他のお客様でも見られます。
アイケアの健康食品で1年半、定期コースを注文してきたお客様(57歳/千葉県)。
効果がわからなくて迷いながら続けているという彼女が、購入を続ける理由として語ってくれたのは、この会社への“信頼”です。
「この会社、九州にあるんですけど、震災の後、半月くらいたった後ですかね。
わざわざ電話してくれたんです。
『お住まいのあたりはだいぶ揺れたかと思いまして。
大丈夫でしたか?』って売り込みじゃなく心配してくれて。」
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ホスピタリティ溢れるサービスで、業績を伸ばす企業
もう1人。コラーゲンの粉末サプリをリピート購入しているお客様(59歳/東京都)のコメントも紹介します。
「一度買うのをやめたんですけど、もう1回電話して送ってもらったんですね。
そのときの対応もよかったし、コーヒーゼリーの作り方を聞いたら、わざわざ手書きのものを送ってくれて、親切だと感じました。
定期購入しようかも相談しましたが、やはり飲みきれないので、今はなくなったら注文しています。」
オペレータ一人ひとりの親身になった対応、機転を利かせたコミュニケーションなど、高いレベルのカスタマーサポートが、リピート購入にあたって重要な役割を果たしていることがわかります。
同じような話、かつて行かせてもらったセミナーで、聞いたことあったな・・・?
と思い出したのが、靴のECで有名なザッポス。
米国のCS事例を最後に紹介しますね。
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急成長ザッポス、“伝説”となったオペレータの対応
1999年に創業したから、10年後の2009年には既に12億ドルの売上高に達した同社。
その急成長の秘訣は、「既存顧客の売上が75%を占める」という、業界では珍しいほどのリピート率の高さだそうです。
<参考:創業10年でノードストローム超え!急成長ザッポスの感動連鎖サービス>
「送料・返送料は無料」「365日以内の返品はOK」「迅速(最速8時間)で間違いのない配送」など、徹底したカスタマーサポートは有名です。
そのなかで、“伝説”となっているのは、コールセンターのオペレータの一人ひとりの臨機応変な対応。
商品の在庫がないときは、他社のサイトを検索して、同じ商品が、どのサイトにいくらで売っているのか?を調べてあげたり。
オペレータの生産性を測らず、電話の時間は無制限。
最長では、7時間半も話した記録もあるそうです。
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“感動体験”の伝播が、CPOを下げる!?
そんな逸話を聞いていると浮かんでしまうのは、
「一人ひとりのお客様に、そこまで時間をかけていて、効果/コストが合うのだろうか?」
という疑問です。
上で紹介した記事で、この疑問に答えていたのが、私には「なるほど!」と感じられたので、紹介しますね。
ザッポスの客単価は1万円程度。
例えば、ザッポスの顧客サービススタッフが、お見舞いに花を贈ると5000円かかる。
これでは赤字だ。
しかし、感動した顧客はソーシャル・ウェブで自らの体験と感動を語り、1万人に伝わる。
このうち他で靴を買おうとしていた100人がザッポスで買えば、100人×1万円/人×30%マージンとすると30万円の粗利になる。
小さな行為が一つの感動を呼び、それが共有化されることでコミュニティ(顧客群)を動かす。
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お客様の“感動体験”は、「お友達紹介」にも貢献
化粧品・健康食品で、ますます顕著になっているのがCPOの上昇。
それに伴い注目されつつあるのが、「お友達紹介」です。
お客様の友達へと、口コミが広がっていくためには?
なかなか一筋縄ではいかない課題ですが、今回紹介したようなお客様の“感動体験”が、その引き金になるのかもしれません。
ソーシャルメディアの普及は年代にもよりますし、もちろんザッポスの事例は、日本の健康・美容通販に今すぐは当てはまらないかもしれませんが・・・
もしお客様の“感動体験”が、リピートはもちろん、新規顧客獲得にも貢献するような時代がくれば、コールセンターでのオペレータの人件費も、広告費への投資と天秤にかけながら最適化していく。
そんな考え方も、妥当に思えてくるようになったり・・・
と・・・最後はアイデアに任せて、先走ってしまいましたが、皆さまお一人ひとりが、自社に当てはめて考えられる”きっかけ”に、少しでもなりましたら幸いです。
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