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顧客育成シナリオから見えてきた「勝ちパターン」 ―「顧客育成シナリオ不在の罠」第4回―

年商23億円の化粧品会社をモデルにしたケーススタディの全5回にわたる連載、今回は第4回目です。(前回は、第3回「データベースに基づく「戦略的顧客セグメント」」を参照)
成長期の通販会社の現場で、実際に起こりがちな事例を想定。売上減少に陥ったキララ商品が年商30億円も見える成長路線に戻るまでの過程を、ストーリー形式でお伝えします。

300社以上の支援実績からロイヤル顧客を育てる方法をわかりやすくまとめました。
解説資料はこちら
 
 

初回同梱物の改善で、リピート率が30%アップ

 

徳田はさっそく対策を始めた。
帰社するとすぐに、経営企画室の浜口と打ち合わせを実施。

 

森崎に作ってもらった顧客セグメントの表を見ながら、まずわかったのは、<新規客>の引き上げが圧倒的に弱いということだった。

 

そこでまず手をつけたのは、新規客を育成していくシナリオ作り。
これまで、トライアル商品に同梱していたのは、簡単なフライヤーと申込用紙のみで、それ以降は他の顧客と同様に、3ヶ月に1回会報誌を送付していただけだった。

 

そこでまずは、初回購入時にフライヤー、申込用紙に加えて、会社説明のパンフレットや商品カタログを同梱するようにしたのだ。
後日、2回目購入促進のDMを送付して、その後は定期的にカタログを送付することにした。

 

これだけで、リピート率が30%も上がり、売上も27%アップした。

 

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DMの反応率が1.5倍以上にアップして、コストは半減

 

次に、DMの配布リストの抽出方法も変えた。

 

以前は、直近1年半購入のあった<アクティブ客>と<休眠客>とに分けて、<アクティブ客>にはすべて送っていたが、そのなかでは、1年以上前に低額の商品を購入した顧客も、毎月お金を払う優良顧客もすべて合わせて、同じDMを送ってしまっていた。

 

そこで、<常連客>と<普通客>、<新規客>に送るようにして、<休眠客>や<離脱客>は排除するようにしたのだ。
配布部数は7.5万部から4.2万部へと減らしたので、コストは半分近くに減少。

 

一方、反応率が4.7%と1.5倍以上にはね上がったため、売上は同額近くをキープ。
結局売上から販促コストを引いた利益は、1300万円超となり、圧倒的に少ないコストで、前回配布時の利益を上回ってしまったのだ。

 

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洗顔ジェルの購入履歴とリピート購入に、相関関係を発見!

 

対策を始めて3ヵ月後、大量のデータと格闘していた経営企画室の浜口が、興奮した面持ちで社長室に入ってきた。

 

ある洗顔ジェルを購入した顧客が<常連客>になりやすい、という意外なことがわかったのだと言う。

 

きっかけはちょっとした出来事だった。

 

毎夜の残業で作業に行き詰っていたとき、浜口がお客様からのアンケートをバラバラとめくっていると、洗顔ジェルのことをほめているコメントが多い。
しかも、文面から常連さんと思える方が書いている傾向があるようだ。

 

そこで、「洗顔ジェルの購入履歴と<常連客>への引き上げ率に相関関係があるのでは?」と仮説を立てて生データをあたってみたところ、アンケートへの実感からの推測が、数値として証明されたというのだ。

 

この洗顔ジェルは肌へのうるおい効果をすぐに実感しやすい。
この商品をきっかけに、同社の製品群全体の良さを実感してもらい、ファンになってくれたお客様が多いと予想された。

 

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新規客を常連客へ育てる、「勝ちパターン」が見えてきた

 

そこで、新規客に対しては、お薦め商品としてこの洗顔ジェルを買ってもらうように誘導するのを、2回目購入促進のDMでも、インバウンドのトークでも徹底したところ、この商品の購入者が増加。
それにつれて、<新規客>や<普通客>が<常連客>まで育つ割合が増えてきたのだ。

 

新規客を常連客へと育てる道のり、「勝ちパターン」がはっきりと見えてきた。
お客様を分類し、定点観測で動きを追っていくという作業を続けることによって、徳田はお客様の特徴が、セグメントごとにだんだんとイメージできるようになってきた。

 

文字通り、お客様の「顔が見える」ようになったため、お客様の特徴に合わせた企画を立てることができ、その結果、企画が外れることが少なくなってきたということだ。
こうして2008年後半から、キララ化粧品の売上は上昇気流へと転じていった。
 
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