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障害を取り除く ―お試し商品からの引き上げで「迷わせない」設計3―

「無料サンプル」や「トライアルセット」など、お試し商品からの引き上げ。
CRM施策が上手と言われる通販会社の商品を購入して、DMや同梱物、アウトバウンドなどを調査すると、お客様を「迷わせない」設計の重要性が分かりました。
「迷わせない」ための秘訣の3つ目、「障害を取り除く」をテーマに解説します。

名前・似顔絵入りパンフレット

300社以上の支援実績からロイヤル顧客を育てる方法をわかりやすくまとめました。
解説資料はこちら
 
 

購入へとジャンプするまでの障害を、3つに分類すると?

 

(1)選択肢を絞る、(2)希少性の利用によって、「今、これを買わなければ」という欲求が高まっても、まだ購入へとジャンプするための障害は残っています。
いざ「買おう」となると、以下のような不安が浮かんでくるでしょう。

 

・この商品は安全だろうか…?
・本当に効果はあるのか…?
・ヘンな会社にだまされないか…?
・買っているのは自分だけじゃないか…?
・値段は高すぎないか…
・使いこなすのは難しくないか…?
・はたして続けられるか…? 等々

 

これらの不安は、以下の3つに分けて考えられます。
「①商品自体への不安」「②売り手(会社)への不安」「③商品を使う自分への不安」。

 

そこで各社とも以下のような要素を揃えて、説得をはかろうとしています。

 

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① 商品自体への不安

 

初めに出てくるのは、商品自体への不安でしょう。
これは自分でいくらすごいといっても信用してもらうのはなかなか難しいもの。
解消するためによく用いられるのは、「第三者の声」です。

 

トライアル購入者に向けた<お客様の声>を載せるのはもちろん、専門家や研究者など<権威からの推薦>コメントを活用することも。
<受賞歴>や<記事掲載>を並べたり、原材料の<生産者>のコメントを公開したりすることで、第三者の力を借りて信頼できることを訴えています。

 

各社とも、以下のように、あらゆる第三者の声を活用しています。

 

第三者による推薦の例

 

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② 売り手(会社)への不安

 

次に思い浮かぶのは、「信頼できる会社なのか?」「だまされることはないか?」という不安でしょう。
きちんとした会社だと示すために、屋号だけでなく会社概要をしっかり表記するのは当然ですが、それだけでなく創業からの歴史や経営者の想いなどを語る会社もあります。

 

最近みられるのが、社員のパーソナリティを見せることで親近感を持ってもらおうとする例です。
たとえば、冒頭で紹介した健康食品のサンプルを請求して届いた同梱物は、以下のように個人の自己紹介から始まります。

 

主婦歴20年 △△△△(個人名)があなただけにこっそりお教えします。
○○○(社名)の△△△△(個人名)と申します。
私はよくテレビや雑誌に出てくるカリスマ主婦の方たちのような何でもできる主婦ではありません。
ごくフツーの主婦です。(後略)

 

パンフレットにも、担当者の名前・似顔絵入りで商品の説明が載っています。
この会社のツールには、その他に社員だけでなく、非常に多くの名前と顔が登場します。

 

まずサンプルが届いた封筒の裏表紙に、「私が担当です」ということで担当者の名前と似顔絵が記載。
同梱されていた商品説明パンフレットで、「雑穀の生産者にお会いして、品質と安全性を確かめてきました」ということで、今度は社員でなく自然栽培に取り組んでいる農家の3人が登場します。

 

名前・似顔絵入りパンフレット

 

「ご愛用者100万人突破!!」と書かれた別のリーフレットでは、製品の雑穀米を食べている子どもの写真が合計10人分。

 

後から届いたDMでも、お客様や生産者などが写真入りで何人も登場するほか、社員が雑穀米を食べている食事の様子を写真つきでレポートするもコーナーも…とあげればきりをありませんが、なんと同梱物と2通のDMで合計でなんと24名(重複は除く)もの方の顔が登場していました。

 

顔を出すと広告の反応率が上がる、ということは経験的に言われていますが、どうしてなのでしょう?
「親しみやすい」「本能として、人の顔に目がとまってしまう」など、説得力のある理由もあるのですが、もう1つ仮説として浮かぶのは、「返金保証」と共通する効果があるのでは!?ということです。

 

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コラム: 顔を見せることによる信頼性

 

ほとんど話したことのない相手から、信頼をしてもらう方法の1つに、「相手をだますと、自分も損になる」という状況を作り出すことがあります。
自分にマイナスになる行動をしないだろう、と相手から思ってもらえるからで、これを心理学では「シグナリング」といいます。

 

たとえば「返金保証」がある場合、商品が悪いものだったら、売り手は余計なコストを負担しなければいけないので、粗悪なものを売りつけることはない、という証明になります。
これと同様に、顔が公開されていると、万が一不正なことをしたら、顔の出ている社員やその家族は、バッシングを受けてしまいます。

 

生産者やお客様にも迷惑がかかってしまうので、逆に、顔を出す本人は「そんなことはしない会社だろう」と考えて許可を出している、という証明になるでしょう。

 

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③ 商品を使う自分への不安

 

「自分で使いこなせるか自信がもてない」「よさそうに思えるが面倒くさそう」このように考えて、尻込みしてしまう人の助けになるのが、使い方を解説するツールでしょう。

 

・○○青汁プラス 飲み方食べ方BOOK
・<伝統○○○>おすすめの飲み方
・おいしい○○○米の炊き方
・プロのメーキャップアーティスト達の裏技を一挙公開!プロフェッショナル○○術
・素肌のための○○○講座

 

これらは、正しい使い方を教えることで、商品を使い切ってもらうペースを早める狙いもあると思いますが、「あなたにも簡単にできる」が強調されることで、お客様の迷った背中を押してあげる効果もあると考えられます。

 

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最後に:「売り込み」ではない、おもてなしの心

 

これまで「迷わせない」をキーワードに各社の事例を紹介してきましたが、最後にこれには当てはまらない事例をご紹介します。
ある化粧品を購入した後にかかってきた電話(アウトバウンド)のスクリプトです。

 

 

商品を届けた後のアフターケアーができればと思いお電話させて頂きました。
お時間宜しければお肌のご様子に合わせたアドバイスをと思っているのですが、お時間宜しいでしょうか?<→返答>

 

 

実際商品としてお使いいただいて、ご質問やご心配な事はございませんか。
突っ張ったりですとか、洗い終わったあとにひどくカサカサしなければ、さっと洗うのをやさしく二回洗いで汚れを取って、その後の化粧水の浸透を高めていただく方が乾燥肌の方にはいいです。
ただ季節が変わってきますから、洗ったあとに突っ張ったり、非常にカサカサする場合は、一度洗いで様子をみていただくようにお願いします。<→返答>

 

もし続けていただく中でのご質問があればフリーダイヤルの方でも伺いますし、さしつかえなければ一月ほどして風が冷たくなる頃にお電話できればと思っています。

 

 

このようにわざわざ使い方を教えるのが売上につながりやすい、という計算ももちろんあるのでしょう。
正しく使わないと「効果を実感できない」し、「適切な日数で減らない」という化粧品特有の事情も背景にあるのかもしれません。

 

また、使い方を教えるという売り込みではない電話を何度かかけておけば、後で本当の目的である「売り込みの電話」をかけやすくなるとも考えられます。
とはいっても、上記の言葉から感じられるのは、決して「売り込み」ではない、「おもてなし」の精神です。

 

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信頼を得るために、あえて無駄なコストを払う

 

プロフェッショナル・アドバイザー」を著したチャールズ・グリーン氏によると、「顧客に何かを売りつけるという目標の達成を単純に目指す姿勢が透けて見えれば、顧客の信頼は得られない」といいます。

 

今回の事例研究では「限定」や「金券」などテクニックを使って、どちらかというとお客様を行動にせきたてるコピーやスクリプトも紹介してきました。
ですが、売り手の下心が露骨に見えると嫌悪されてしまうでしょう。

 

社会心理学の研究によると「信頼」は2つの要素に分解されます。
1つ目が<能力への期待>。これは(3)の①でも紹介した「第三者の推薦」や「数値データ」によって、製品の効果や安全性を客観的に示せます。
2つ目が、相手がちゃんとやるだろうという<意図への期待>。
「自分に合った製品を薦めてくれるだろう」「だまそうとはしないだろう」も含まれるでしょう。

 

後者は、自分がよく知っている人や会ったことのある人なら自然にもてますが、通販のネックは売り手と面と向かって話ができないこと。
そのなかで信頼を得る方法として、前頁では「顔出し」を紹介しました。

 

もう1つ考えられるのが、口だけでなく時間やお金をかけて、自社の売上には結びつかないけどお客様のためになる、という行動をとることです。

 

たとえば、お礼の「絵手紙」や「誕生日プレゼント」などが好評を得ている会社もあります。
これらの効果として考えられるのは、「親近感をもってもらう」や「ロイヤル顧客に特別感を持ってもらう」等ですが、「あなたとは、『商品を買ってくれ』というだけの関係ではない」と自らコストを払って示すことが、お客様からの信頼を醸成している、という側面もあるでしょう。

 

短期的な利益最大化と長期的な売上の両立、なかなか難しいと思いますが、今後の課題に研究していきたいと思います。

 

 
化粧品・健康食品10社の顧客フォロー一覧
 
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