お試し商品を購入したお客様を定期コースへと誘導するために、特に健康食品会社が盛んに行っているのが、アウトバウンド・コールです。
そのトークスクリプトに、電話口で定期購入を決断してもらうための仕掛けを見つけました。
「損をするとイヤだ」という人間心理を、上手に活用していたのです。
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2回目からは「普通に買うと損」と示すことで…
「先日は○○(商品名)をご購入いただきましてありがとうございました。
お手元の○○はお飲みいただいておりますでしょうか。」
↑から始まるのは、初回お試しで購入したお客様に商品到着から41日後にかかってきた電話。
この後の値段の説明の仕方が、「損をするとイヤだ」という顧客心理を上手に利用しています。(注:価格は若干変更)
「100粒と180粒があるんですが、100粒は次回から8310円に送料がかかります。180粒は通常価格は13655円ですが、毎月1箱づつのお届けでしたら9650円でご提供することができます。」
お客様の立場からは、初回割引では6600円の送料無料で買えたのに、今回からは送料も合わせると、2000円以上も余計に払うことに…。
「損をするなぁ」という気持ちになるでしょう。
別のオペレーターの方は、こんなセリフも。
「2回目に半月分(注:100粒)を注文しますと、損するような形になります。
○○様がしばらく続けてということでしたら、定期コースが~~~」
「普通に買うと損をする」という認識を初めに植えつけたうえで、180粒で9450円(送料無料)と割安な価格を示して、定期コースに誘導しているのです。
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「損失」は「利得」の2.5倍の感情
どうして↑のスクリプトが効果があると思ったかというと、
「人間は同額の利益を得るより、損失から得る苦痛の方がはるかに大きい」
という傾向が分かっているからです。
たとえば、あなたなら以下のどちらが大きいと感じますか?
(1)道端で1000円拾ったときの「快感」
(2)どこかで1000円落としたときの「不快感」
実は(1)よりも(2)の方が、2倍から2.5倍も大きくなるということを、カーネマンという行動経済学者が実証しています。
※本文ではこの原理は詳述しませんが、この記事で紹介されている「プロスペクト理論」における、価値関数のグラフをご興味ある方はご参照ください。
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A/Bテストで、反応率を10倍にしたコピー
これを書いている途中で思い出したのが、有名なダイレクトマーケッター神田昌典さんの著書「あなたの会社が90日で儲かる!」に載っていた事例です。
航空券の激安チケットの広告のヘッドコピーを以下のAからBに変えたところ、問合せ件数が10倍になったというのです。
A:経費削減は、まず航空券から。航空券予約時にまずご一読を
B:「まだ、ムダ金を航空券に使いますか?」
同氏によると、ヒトが行動を起こす原因は、<1 快楽を求める>と<2 苦痛から逃れる>のどちらか。
このうち1より2の方が、より強い行動要因になるということです。
Aの見出しは、割引を前面に出して「お得な買い物ができる」という快楽を強調していますが、Bは「ムダ金を使う」という苦痛から逃れる側面を押し出しています。
これが反応率10倍の違いを生んだ、と分析しています。
通販の広告やダイレクトメールでは、「△△プレゼント」「○割引」など「いかに得になるか?」を強調したものをよく見かけます。
もし「損をさせない」という側面に焦点を当てた訴求も混ぜてみると、もしかしたら反応も変わってくるのかもしれませんね。
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