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商品:信頼を「ボディブロー」のように蓄積するとは? ーリピート客を”教育”する、ストーリー化の3つの技法 vol.3ー

3つ目は、商品です。商品への想いは、どこの会社も強いものですが、商品の「売り」に走るとつまらないコンテンツになってしまいがち。
一方、お客様にとって興味のあるコンテンツにこだわると販売につながらない…
そんなジレンマもあるかもしれません。

販売の周辺情報の蓄積が信頼を生む

健康や美容の情報、本当に読まれている?

 

ロイヤル顧客へのインタビューから、「私も読んでいる!」と口々にあがったのは、健康や美容についての情報や、商品の作り方です。

 

「定期購入している化粧品の使い方は、初めに電話で説明してもらいましたよ。
でも、送られてくる美容情報も参考にしています。
会報誌や壁新聞、体験談集など届きますが、読むのは好きです。
『これ使っているとこんなに若々しく見えるのかしら?』という気分になりますし。

(68歳/東京都稲城市/世帯年収900~1,000万円)

 

「同梱されているカタログが充実してますね。
読んでいるのは、季節に応じたスキンケア、マッサージ方法、料理、エクササイズなどです。」
(57歳/千葉県流山市/世帯年収700~800万円)

 

「カタログは毎月届いているし、読んでいます。
季節の変わり目に『こうしたらいいよ』というアドバイスや新商品のご案内などよく見ますね。
夏は日焼け、冬は保湿などサンプルを取ってみるし、カタログをみてすぐに買うことも多いです。」
(49歳/東京都豊島区/世帯年収1,000~1,200万円)

 

お客様の興味のある話題に合わせて、商品の周辺にある情報をさまざまな角度からスポットライトを当てていくのが、肝になるのでしょう。

 

<お客様事例:加地 美智子さま>
(52歳/東京都江東区/世帯年収1,000~1,200万円)
「マカの健康食品を主人が定期購入しています。
メルマガは私のアドレスに月に1回、届きます。
配信停止にもできるんですけど、何だかんだ読んでしまいますね。

 

(ブルーベリーやグルコサミンなど、さまざまな健康食品を愛用し、各社からメルマガが届くなかで、なぜこの会社のメルマガを読むのか?という質問に)
健康について、専門的な情報を送ってきてくれるのが、大きいです。
読んでいるなかで、だんだん信頼が蓄積してきて、こういう人が作っているとわかると『自信があるんだな』という好感を持てるし、他の商品の情報も送ってくるでしょう。
体が辛くなったとき『あそこの会社、出していたな』と思い出すんです
こういうのが、ボディブローのように効いてくるんだと思います。」

 

 

売り込まないけど、売れるメルマガの不思議

 

上記の「お客様事例」に登場した方が購読している、大手健康食品会社が毎週出しているメールマガジンを調べてみました。
「美肌を助けるウォーキング」「オレンジマーマレードと焼き菓子」「うつむいて咲くクリスマスローズは『初雪起こし』」など商品とは直接に関係ない記事がメインです。

 

販売の周辺情報の蓄積が信頼を生む

 

この後、「メルマガ会員限定 月に一度の、お得なスペシャル情報」と題された売り込みのメルマガ、それぞれの商品の売り込みと、ランディングページのURLが記されています。

 

毎週のメルマガは、販売に直接つながらなくとも、とにかく読んでもらい、お客様からの“好意”と“信頼”を蓄積する。そのうえで、「お得なメルマガ」などで、購入へと刈り取る。
このような役割分担がされているのでしょう。

 

 

お客様アンケートがLTVを向上させる!?

 

この連載記事では、「売り手」「お客様」「商品」など販売の周辺にある情報を、ストーリーに乗せて継続的に届けることが、お客様からの信頼の蓄積につながってきた事例を、これまで見てきました。
最後に補足するのが、お客様の「巻き込み」です。

 

ある通販会社では、お客様へのアンケートをECサイト上で回答してもらえるようにしています。
このアンケート自体はお客様のナマの声を集めるために実施したものですが、思わぬ副産物が生まれました。

 

アンケートに回答してくれたお客様のLTVが、高くなっていたのです。
通常のお客様のLTVが約12,000円だったところ、アンケートに記入したお客様の場合、約30,000円にもなっていました。

 

「自分で言ったことには、人は一貫性を保とうとして、知らず知らずに縛られてしまう」という「一貫性の法則」によって、この現象は説明できるかもしれません。

 

お礼つきのアンケートとなれば、商品や会社について良い側面、好きなところにより焦点を当てて書くもの。
書くという行為を通じて、その商品を「これからも使おう」という信念が知らず知らずに強化されてしまったのかもしれません。

 

 

ロイヤル顧客に、商品の「伝道師」となってもらうために

 

このようなアンケートへの回答はもちろん、「商品を買う」こと以外でも、お客様に行動してもらうことは可能です。
体験談の投稿や座談会への参加、友達に口コミをするなど、このロイヤル顧客へのインタビューでも、話題にのぼっていたものもありました。

 

・メディア型:会報誌への投稿、ソーシャルメディアでの交流
・来訪型:店舗への来訪、お客様イベント、社長との座談会
・社会運動型:投票コンテスト、被災地に寄付を届ける

 

新規顧客獲得の効率が低下傾向にある通販市場のなか、これからますます重要な役割を担うのが、既存客のリピートとお友達紹介です。
そのために、行動を通じて既存客のロイヤリティがより強力になるのと同時に、商品の良さを周りに伝える“伝道師”となってもらうことができたら、より強力に作用するかもしれません。

 

このような関係が会社とお客様に生まれるための手法について、まだ多くは分かっていませんが、未来への関心提起までさせていただいたところで、4号続いたロイヤル顧客へのインタビュー・シリーズの筆を置かせていただきます。

 

お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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