広告で商品を販売する場合、「オファー」の表現方法を変えるだけで、レスポンスは大きく異なります。
ある美容クリームの広告で、初回限定価格の“お得感”を強調するだけで、受注件数が2.2倍にアップした事例がありました。
背景にある「アンカリング」という心理メカニズムとともに解説いたします。
チラシ広告で優良顧客を獲得するための方法を分かりやすくまとめました。
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目次
「今ならお試し10日分 350円 しかも送料無料!」のオファー
本商品が、6000円(約3ヶ月分)という美容クリームを売るなかで起こったできごとです。
地方紙からテストを始めたなかで350円のサンプルをオファーに、2ステップで販売。
以下の文言をオファーとして表示していました。
【パターンA】
「今ならお試し10日分 350円
しかも送料無料!」
レスポンス改善の糸口を探るなかで、弊社の制作担当者は、このオファーに目をつけます。
生まれたのが、以下の疑問でした。
「350円という価格が、はたして魅力的なのだろうか?」
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350円サンプルに、価値を見いだしてもらうために
無料サンプルが溢れている今、350円だからといって簡単に飛びついてくれるとは考えにくいもの・・
では、どうすれば「350円」という価格に価値を見出してもらえるのか?
その答えとして次にテストしたのが、以下のオファーです。
【パターンB】
「お試し980円+送料350円
1330円が今なら送料のみ!350円」
通常は、商品代と送料が1330円はかかるところを今回は「通販登場記念キャンペーン」により、商品自体は無料で、送料のみ負担してもらうという見せ方です。
レスポンスへの結果は・・?
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受注件数が2.2倍に増えた理由
他にも改善をした箇所があり、また媒体も時期も同じではないため(※媒体は、同クラスの地方紙を選んで実施)正確なA/Bテストとなりませんが、
主要なコピー・写真は変更がないにもかかわらず、受注件数が2.2倍へと増加したのです。
単に価格を記載するより、少しでもそこに説明を加えることで「これなら安いかも!」と感じてもらうことに成功したのでしょう。
このように、オファーの見せ方ひとつで、大きくレスポンスが変わってくるということ。
この背後には、行動経済学でいう「アンカリング」が働いていたと考えられます。
この「アンカリング」の効果について調べた実験を紹介します。
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「この金額なら、出してもいい」に影響を与えた、ある“仕込み”
55人の学生を対象に、チョコレートやワインなどをオークションにかけます。
(出典:「価格の心理学」リー・コールドウェル)
入札形式で競り落としてもらうため、オークションの参加者には「この値段なら買ってもいい!」という金額を言ってもらうのですが、事前に1つだけ、一見無関係とも思える“仕込み”をしました。
各自の社会保障番号の下2桁を書いてもらい、「その数字分のドルを支払うかどうか?」を考えてもらったのです。
たとえば社会保障番号が「440-84-8398」なら98ドル、「232-203911」であれば11ドル、を最初に考えてもらいます。
この番号は、商品の価値とはまったく関係がない、ただの数字です。
ところが、実験は驚くべき結果を示しました。
「下2桁の番号が大きい(*80~99)被験者の入札額は、小さい(*00~19)被験者よりも約50%高くなっていた」のです。
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第一印象による「刷り込み」の、強力な力
最初にある数字を示されると、無意識にそれが基準(アンカー)となってしまい、その後の判断で影響を受けてしまうことを、「アンカリング」と言います。
先の実験でも、最初の価格はほとんど恣意的だったにも関わらず、
「いったんその価格が自分のなかで定まると、ある品物にいくら出すかだけでなく、関連のある品物にどれだけ出すかまで方向づけられてしまう」
(出典:「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー)
そうです。
今回のパターンBでは、「1330円」が「350円」、しかも商品自体は無料で、送料のみ負担してもらう、と本来の価格(=価値と認識?)との差を感じやすい表現にしたのが、功を奏したのかもしれません。
このように、オファーの表現ひとつでレスポンスは変わる、つまり価格が実際には代わらなくても、“数字”が“感情”に与える影響しだいで、人の購買は大きな変化を受けます。
同じ意味でも、言い方を変えるだけで買ってみたいという気持ちが強まる。
ぜひ皆さまも、「他のシーンでも使えるヒントはないか?」考えてみていただければ嬉しいです。
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