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休眠顧客をF2転換させたダイレクトメール事例

初めて商品を試したものの、2回目の購入には至らない。
そんなお客様にリピートしてもらうためには、何がネックになっているのでしょうか?

 

ある化粧品会社で、2回目購入はせずに休眠になってしまったお客様にDMを送ったところ、予想以上に大きな反響がありました。
休眠顧客を呼び戻した仕掛けと、背景にある人間心理の特性を解説します。

化粧品で、2回目購入への引き上げ率を上げるために

 

ある化粧品会社では、トライアル商品・本商品を購入した新規顧客の、2回目購入への引き上げ率が低いことが課題でした。

 

お客様にリピートしてもらえなかった理由として浮かんだのが
「商品(A)を試したものの、『効果を実感できなかった』お客様が多いのでは?」
という仮説。

 

そこで、新規のお客様への引き上げ施策がひと段落して、このままでは休眠になってしまいそうなお客様に、もう一度DMを送ることに。

 

そのDMのなかで、「もう1つの商品(B)をセットで買うと効果があった」というお客様の声を紹介しました。

 

すると、休眠になりかけていたお客様からたくさんの反響があったのです。

 

 

なかでも多かったのが、商品Aと商品Bのまとめ買いの注文。

 

休眠になりかけていた新規顧客に、その商品をリピートしてもらっただけでなく、一気にクロスセルまで成功したという画期的な事例です。

 

 

効果を実感できていなかったお客様が、なぜ“まとめ買い”を?

 

休眠になりかけていたお客様ということは、商品への満足度が高いとは考えにくいもの。

 

仮説どおりに、効果を実感できなかったお客様が多かったとしたら、それなのになぜ2つの商品を買ってくださったのでしょうか?

 

その答えを知るためには、「サンクコストの錯誤」という人間心理に内在するメカニズムを理解するのが、鍵になるかもしれません。

 

 

サンクコストとは、「過去に払ってしまってもう取り戻すことのできない費用」のこと。

 

と聞くと抽象的かもしれませんが、たとえば、以下のような例を聞くと、思い当たる節があるかもしれません。

 

 

「もったいない」「せっかくだから」と続けてしまう、“サンクコスト”とは?

 

・買い物でたまったポイントが「もったいない」から、違うお店の方が良いと思っても、いつものお店に行ってしまう
・投資した株の株価が下がっても、“損切り”をできずにいつまでも保有し続けてしてしまう
・引っ越しのとき、使わなくなったモノも、「せっかく買ったんだから」と捨てられない

 

などなど。
以前に「コンコルドの誤謬」として紹介した考え方と近いかもしれません。

 

「意志決定には、将来のコストとベネフィットだけを材料にするべきで、サンクコストを考慮に入れてはならない」

 

このように合理的な考え方が、経済学では常識とされていますが、ヒトの心はどうしてもこのサンクコスト、「もったいない」「せっかくだから」という気持ちにとらわれてしまうようにできているのです。

 

 

「化粧品を使っても、効果が実感できなかった・・」そんなお客様の“頭のナカ”は?

 

今回のDMを送った対象のお客様にとっては、商品Aを購入したお金や、肌のケアに使った時間などがこのサンクコストにあたります。

 

高いお金を払って商品Aを買って、毎日丁寧に塗ったとしても、効果を実感できなかった・・
そんなお客様の気持ちを考えてみましょう。

 

「この商品は良くなかった、別の商品を使い続けよう。」

 

そう頭では考えつつも、広告で商品を初めてみた時に、
「この商品を毎日塗れば、私の肌も若返る!キレイになる」
そんな期待に胸躍ったときの気持ちが頭によぎります。

 

「この商品を買うのはもうやめる」と決めるのは、過去の自分の意志決定が間違っていたと否定すること
「もったいない」という思いも生まれます。

 

 

 購入へと、気持ちの天秤がもう一度傾く仕掛け

 

そんな葛藤で心がモヤモヤしていたときに、
「商品AとBをセットで使ったら、肌がキレイになった」という
お客様の声を見ると・・

 

「私の肌に効かなかったのは、そのせいだったんだ!」
という理由づけ
が生まれます。

 

そうすると、「これまでのお金や時間(=サンクコスト)を取り戻したい」という半ば無意識の気持ちが迷いの天秤を傾け、「もう1回試してみよう!」と行動を促すのです。

 

一度商品を買ってもリピート購入に至らないお客様については、「限定」や「割引」で今すぐの購入を決断してもらうのも、もちろん大事ですが、

 

・これまで効果を実感できなかった理由への“納得感”
・今からでも商品を使い続けたら、効果が出る“成功イメージ”

 

を抱いてもらうのも、鍵になるのかもしれません。

 

 

「もう1回続けてみよう」「あと少し頑張ってみよう」とリピートしていただくために

 

今号でご紹介した、「他の商品と併せて使えば効果的!」の他にも、上記の観点から上手だなと思ったDMの工夫をお伝えしますね。

 

・化粧品→効果的な使い方
:商品の使用方法をきちんと説明できていなかったことや、効果が表れずにお客様をがっかりさせてしまったことを謝るとともに、効果的な使い方やよくある悩みの解決方法、使い方のポイントを紹介

 

・健康食品→体験談
:初めは効果が出なかったものの、続けていくうちに飲み始めて半年後に「ドッサリ」を実感できるようになったお客様の嬉しい体験談を紹介

 

「せっかく試してみたんだから、もう1回続けてみよう」
「あと少し頑張ってみれば、効果が出るのかもしれないし」
もう一歩踏み出してくださるお客様を増やすために。

 

ぜひ読者の皆さまも、具体的に何ができるか?を考えてみてください!

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