新規顧客の獲得効率が悪化する企業が多いなか、これまでの定石とは一風異なるチラシを使って、獲得効率の維持に成功している会社もあります。
反応の獲れるクリエイティブは、最近はどのように変化しているのでしょうか?
化粧品や健康食品のチラシのA/Bテストのデータをもとに、通販市場の構造変化についても考察します。
※2015年時点の記事です
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「ベタな」チラシでは、反響が獲れなくなってきた!?
通販企業や広告代理店の関係者と話をするなかで、
「昨年から今年にかけて、レスポンスの出るクリエイティブの傾向が変化してきた」
という声を多く聞きます。
具体的には、「ベタな」通販チラシの反響が悪くなってきたというのです。
ベタなチラシとは、強いコピーや目を引くデザインに特徴づけられます。
そのうえで、「体験談」や「成分解説」など大量の情報が、テキストや画像で隙間なく詰め込まれているのが一般的でした。
また、売上規模の小さな企業ほど、悩みやベネフィットを強く訴求する傾向も。
たとえば化粧品では、「シミ」「くすみ」「たるみ」といった悩みと、「○歳若く見える」「○○しただけで(悩みが解決)」といったベネフィットを打ち出します。
ところが、ある化粧品会社で複数パターンのチラシを制作してテストをしたところ、まるで通販のチラシではないような(=ナショナルブランドが手がけるような)、シンプルで「キレイ」な化粧品のチラシが、ベタなチラシを制して最も高いレスポンスをたたき出した事例がありました。
しかも悩みやベネフィットの訴求は、あえて控えめに抑えているのです。
他の企業でもこの事例と同様に、ベタなチラシを2~3パターン、これまでの定石にとらわれないチラシを1パターンつくってテストしたとき、後者の方が結果が良いケースが増えています。
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レスポンス傾向変化の裏側にある通販市場の3つの構造変化
このような変化は、なぜ起っているのでしょうか?
通販市場をめぐる、3つの構造変化が影響していると、私は考えています。
1つ目は、通販という購入方法が浸透したこと。
かつては、「通販は怪しい」という先入観を拭えない消費者が多かったので、大量の情報で説得をする必要がありました。
ところが、通販市場の成長にともない通販での買い物が一般的に。
またオファーの低価格化もあって、まるで店頭で気になった商品を手に取るように、通販で買い物をする消費者が増えてきました。
2つ目は、1と関連して市場の裾野が広がったこと。
たとえば化粧品では、これまで各社のターゲットで多かったのは、「シミ」や「シワ」など悩みの濃い消費者でした。
彼女たちに悩みやベネフィットを強く示して、この狭いパイを競合同士で奪い合っていました。
ところが、新規参入の激化と通販の浸透によって、悩みのライトな消費者も含め広いパイをめぐる競争へとシフトしていったのです。
3つ目は、法令規制の厳格化。
踏み込んだ広告表現ができなくなったことも、一因です。
かつては企業規模や立地によっては、表現の強さを押し通そうとした企業も見られましたが、それが不可能になりました。
表現の強さは法令規制のもとで各社とも横一線に並ぶので、差別化要素になりにくいのです。
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健康食品チラシで、CPO50%改善も、反響アップの差別化要因は?
では、これまでの成功パターンが通用しないなかで、どうすれば売れるチラシをつくれるのでしょうか?
1つ目に、悩みやベネフィットとは直接に関係のない情報を出すことが、レスポンスアップの要因になる例が出てきています。
たとえば、成分の由来やローカルなエピソードなど、地域情報を出すことです。
「ご当地限定○ ○ ○ 」「△ △ △( 地名)の伝統的な製法」など「地場」っぽさを前面に出す手法は、古くから、特に九州・沖縄地方の通販会社では盛んな売り方でした。
2つ目に、商品のベネフィットをより直感的に分かりやすく工夫することです。
この数年間でヒットした通販商品を振り返ると、「この1本だけでOKな▲▲▲」や「美容液成分で洗う×××」など、悩みやベネフィットの強い訴求に頼らなくても、ひと言で「良さそう!」とピンときてもらいやすい表現を持っていることに気づきます。
もちろん商品開発時の企画もより大事になってきますが、広告紙面の工夫でもカバーできます。
たとえばある健康食品のチラシで、悩みや成分についての解説をよりシンプルにして、代わりに原材料にまつわる“地場”のエピソードに紙面の多くを割いたところ、レスポンスの悪化傾向が好転。
CPOをこれまでの50%程度にまで、下げることができた事例もあります。
悩みやベネフィットの訴求だけでは差別化できない今、先ほどあげた「地場っぽさ」や「シンプルな説得ストーリー」、「商品のコンセプトの分かりやすい表現」など、別の要素でお客様の心をつかむ必要があります。
その他にも、「コピーの言葉遣い」や「デザインのトーン&マナー」など、はっきりと形には見えにくい要素を工夫してレスポンスを高めるために、いくつかの企業様と一緒に実験を始めているところです。
また実験結果をお伝えしていきたいと思います。
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