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健康食品通販で「EC売上が5年間で10倍に、30億円突破」

WEB広告への投資を、売上へと確実に転換する方法

シニア顧客の多い化粧品・健康食品通販でも、スマホをはじめとしたWEB経由の受注割合が過半数を超える企業が増えています。一方で、紙媒体やインフォマーシャルなどオフライン広告を中心に成長してきた通販企業では、デジタルに精通した人材やノウハウの不足などのため、WEBからの売上が一定以上に拡大できていない企業も少なくありません。株式会社ワンスターは、広告からCRMまで単品リピート通販のデジタルマーケティングを一環して支援してきました。このなかで直面した課題や導き出された成功のポイントを、ケーススタディとしてまとめ公開しています。

ケース概要

対象企業 健康食品通販S社
商材 ブルーベリーサプリメント
ターゲット顧客 50〜60代男女
課題 テレビ・紙媒体の広告をメインに成長してきたが、WEB広告はリスティング・アフィリエイト程度。EC経由の売上が約3億円と伸び悩んでいる
行った施策 クリエイティブの徹底的なテストとオファー変更によって、CPAを改善。Yahoo!などへ出稿先メディアを広げ、広告投資を拡大
改善結果 新規獲得件数が、月間6,000人へと増加。EC売上が30億円と当初の約10倍へ成長
提供サービス WEB広告(クリエイティブ・メディア)、CRM
提供会社 株式会社ワンスター
ご支援時期 2010年〜現在

年商35億円へ成長したものの、WEB広告はアフィリエイトとリスティング以上には拡大できずにEC売上が停滞

ブルーベリーサプリメントを中心に、健康食品通販事業を手がけるS社は、1998年の創業。
2000年代の健康・美容通販市場の拡大に乗って急成長を遂げ、売上は2010年時点で35億円に達していた。

同社の新規顧客獲得の主力は、「オフライン」の販売チャネル。
立ち上げ時から、新聞折込チラシや新聞・フリーペーパーへの掲載広告など紙媒体を中心に出稿し、50〜60代をターゲットにレスポンスを獲得してきた。
この数年間は、インフォマーシャルで効率的にレスポンスを獲得できており、特に、コールセンターでのインバウンド時のアップセルや同梱物・DM等によって、定期コースへ引き上げるというビジネスモデルが有効に機能していた。

一方、ECの強化は進んでいなかった。
WEB広告で出稿していたのは、アフィリエイト広告とリスティング広告程度。
販売対象商品は4,500円の本商品(1ヶ月分)で、CPO約10,000円とほぼ目標値で獲得できていた。
一方、月間の広告費は300万円弱で推移しており、獲得していた新規顧客は300件以下と、規模はオフライン広告と比べて十分ではなかった。

オフラインで広告を見た人がWEBで検索してきた際の「自然検索経由の受注分」を合わせても、EC単体での年商は約3億円という規模だった。

広告代理店からの提案を受けメディアを広げるも、CPAが高騰して中止に

そんな状況でも、主力顧客の年代が50〜60代と高いことをよいことに、社内での危機感は薄かった

「ECの強化の必要性は以前から議論されているが、主力のインフォマーシャルの効率がよく規模も維持できているため、WEBにリソースを割けない」
「ネットに精通した人材もいないし、具体的にどうすればいいか分からない」という状況だった。

そんな中でも、数年前にWEBへの出稿拡大に挑戦したことはあった。

リスティングの運用を任せている代理店の提案で、ディスプレイへの配信を強化したが、検索連動型広告(サーチ)と比べるとCPAが3倍近くに上がってしまい効果改善が見込めなかった。
ポイントサイトやブログなど純広告も他代理店の提案を受けて実施したものの、なかなかコンバージョンを獲得できなかった。
目標値で獲得できた媒体もあったが、その多くは初回購入から定期コースに引き上がる割合が低かった。
CPOがリスティング・アフィリエイトの平均で10,000円前後だったところ、この時に拡大したメディアでは30,000円を超えてしまい、打ち切らざるをえなかったのだ。

一アフィリエイトとリスティングだけでは、効率は良いが獲得件数を拡大できない。
かといって、別の媒体にチャレンジするとCPOが高騰してしまう。

そんなジレンマに悩まされていたときに、株式会社ワンスターからの提案を受けたのであった。

クリエイティブの徹底的なテストで、訴求メッセージの開発に成功

ワンスターは第一に、クリエイティブの徹底的なテストを提案した。

リスティング(サーチ)やアフィリエイトで獲得できるのは、自分から商品を積極的に探し求めている層(=顕在顧客)が多い。
なかでも、最も効率の良い、テレビや新聞に出稿していた広告などを見て商品名で「指名検索」をして流入するユーザーの比率が4割以上と高い状況にあった。

ところがメディアを広げると、「目に良いサプリを探している」「ブルーベリーが良いと聞いている」といったニーズの顕在化にはまだ至っていない層(=潜在顧客)の割合が高くなる。

「顕在顧客」に向けたものと同じメッセージを訴求をしても「潜在顧客」には刺さらないケースが多く、コンバージョン率(CVR)は大幅に下がってしまうため、CPOが上がってしまうのだ。
したがって、潜在顧客向けには別の訴求メッセージを開発する必要がある。

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メディアの拡大にともない、リスクをとりつつ獲得件数も増加

そこで、「潜在顧客には、どのような訴求メッセージが響くのか?」を確かめるためのテストに着手した。
この段階では極力多くのクリエイティブを短期間でテストする必要があるため、短期的なテストに最適な「誘導枠」(=バナーやテキストなど、メディアに掲載される広告クリエイティブ)に絞って、テストを開始した。

「最近職場で疲れやすくなった」などターゲット顧客の悩みを表示するタイプや、「40代の方へ」などターゲット顧客に呼びかけるタイプ、「○○は知っていますか?」などクイズで問いかけるタイプなど、合計で100パターン以上のバナーやテキストを制作。

誘導枠のテストによって訴求メッセージがある程度つかめた段階で、その方向性に合わせてLPのテストにも着手。
LPも短期間での改善が必要であったため、ファーストビューを3パターン、オファーの表現を2パターンなど各パートを複数パターン制作し、それらを掛けあわせることで多くのLPを生成しテストを行った。
「多変量テスト」と呼ばれる方式だ。

誘導枠・LPともにクリエイティブでA/Bテストをくり返していき、またメディア運用とも合わせて数字をみながらPDCAを回していった。

この過程で一定の成果が出ていたが、当初の数倍の効果を生むような大きな改善効果は見られなかった。

・新しいバナーでクリック率(CTR)がアップしたが、他のメディアでは別の結果が出たため、媒体ごとに最適化する必要が出てきた
・キャッチコピーの差し替えによって、CTR・CVRはたしかにアップしたが、効果が1ヶ月ほどしか持続せずに、次のクリエイティブ開発が必要になった

このように改善の兆しは見えながらも、大きな改善には「もう一歩」という状態が続くなか、ようやく1つの「当たり」のバナーが生まれた。
従来とはまったく異なる画像のバナーを思い切って入稿してみたところ、CTRが従来のクリエイティブと比べて、大きくはね上がったのだ。

このバナーを他のメディアに展開したところ、どのメディアで高いCTR・CVRを維持した。
また、バナーで数字が良かった訴求をLPのファーストビューにも取り入れてテストをしたところ、CVRがさらに向上し良い循環が生まれた。
そのうえ、CTRが上がったことが影響しいくつかの運用型広告ではインプレッション(imp)数も増加したため、月間の獲得件数が大幅に伸びたのだ。

テスト開始当初に目指していた「勝ちクリエイティブ」の方向性がようやく見えてきた。

2ステップ方式に切り替えて、高速PDCAを実現

さらに、これまでWEBでは3,900円の本商品を1ステップで売っていたが、潜在顧客向けのLPでは500円のお試し商品を用意した。

「衝動買い」を誘うインフォマーシャルとは異なり、「比較検討」がしやすいWEB広告では、LP閲覧後にそのまま購入の決断に踏み切ってもらう必要があるため、オファーの価格を低くし購入ハードルを下げた状態でプロモーションを実施することが1つの成功パターンとなっている。
目標CPA3,000円で見込み客を獲得して定期引き上げを狙う、2ステップ方式に変更したのだ。

ちなみに、2ステップ方式への変更は、クリエイティブテストにも良い影響をもたらした。
同じ広告費を使ってもCPAが下がるため、コンバージョン数が増える。
したがってテスト結果が出る期間が短くなり、PDCAを回すサイクルが早くなる。
これによって誘導枠やLPの改善が進み、CPAがさらに下がっていくと、かつてはCPAが合わなかったメディアにも出稿できるようになったのだ。

その後S社では、Yahoo!やキャリアメールなど1つのメディアで多くの件数を獲得できる「純広告」にもチャレンジした。
出稿したメディアのうちいくつかではKPIを合わせられたため、ここでも大きく件数を伸ばした。
純広告が増えたことでリターゲティングで活用できる広告費も増え、Facebook広告やYDN広告でも、想定以上にコンバージョンを獲得できた。

「獲得件数の増加」と「勝ちクリエイティブづくり」が良い相互作用を生み、一気に規模を拡大できたのだ。

このようにメディアとクリエイティブの両軸で高速PDCAを回していった結果、月間6,000件まで見込み客の獲得件数を増やすことができた。
CPAも、3,000円には達しないまでも、目標値に対しては合格値で推移。

心配していた定期引き上げ率も、この段階では30%程度とまずまずの数字であった。
広告費を投入すればするほど、見込み客が獲得できて、さらに一定の割合で定期顧客が積み上がっていくスキームが確立できた。

その結果、3年間で定期顧客は20,000人にまで増えて、EC年商は15億円まで増えたのだ。

定期引き上げ率が下がったため、広告を縮小

ところが、ここで問題が起こった。
獲得する顧客の規模を拡大するにつれて、定期引き上げ率が低下していってしまったのだ。

原因は、スマホからの獲得比率が増えたこと。
分析の結果、スマホから獲得した顧客は、PCで購入した顧客と比べ引き上げ率が低くなってしまう傾向にあったのだ。

「収益に貢献しない顧客なら、いくら低いCPAで獲得できても、意味がない」

この3年間、オフライン広告の広告効果が悪化しており、効率の良いWEBに広告費を寄せることで全体の最適化を図ってきたS社。
ここに来て、拡大傾向にあったWEBを縮小させる必要があるという大きな課題が現れた。

そこでワンスターが行ったのが、スマホからの引き上げ率を改善するための、「フォローメールの徹底的なA/Bテスト」だった。
スマホ経由で獲得した顧客だけには、メールを別のクリエイティブが配信できるように設定。
「件名」や「差出人」、「メールの長さ」や「送信頻度」などについて、徹底してA/Bテストを行ったところ、スマホからの引き上げ率が少しずつ改善していった。

さらに「WEBから獲得したお客様でも、引き上げ率の高いお客様/低いお客様は分かれるのではないか?」という仮説も浮かんだ。
そこで、顧客データをすべて洗って、「獲得したメディア」「クリエイティブの訴求」「オファー」「獲得時期」「決済手段」といった軸で分析したところ、興味深い事実が判明した。

見込み客が触れたクリエイティブによっても、定期コースへの引き上げ率が異なっていたのだ。

たとえば、効果への期待を強く煽るようなクリエイティブのLP(Aパターン)は、見込み客の段階では低いCPAで獲得できても、定期コースへの引き上げ率は低かった。
一方、商品のベネフィットを等身大に伝えたLP(Bパターン)はCPAは下がりにくいが、商品本来の効果を実感してもらいやすいためか、引き上げ率が高くLTVも高くなっていた。

そこでLPのクリエイティブをBパターンに切り替えたところ、CPAは若干上がったが、定期引き上げ率が好転することが実証された。

一時の停滞から成長軌道に、EC売上30億円を突破

この他にも、「決済手段がクレジットカードの顧客の方がLTVが高い」という分析結果をもとに、定期コースの申し込み時にクレジットカード支払いを推奨する施策も実施したところ、クレジットカード決済利用者の割合を高められた。
またメディアについても、引き上げ率が低かった媒体は低CPAで獲得できていても、出稿先から除外することにした。

このように、引き上げ率を高める施策が結果を出し始めたことで、WEBへの広告投資を再開できた。
これらの取り組みが奏功して、5年後にEC売上は30億円にまで到達した。

売上は一時の停滞を経て、現時点では右肩上がりで伸びているが、もちろん不安要素が全てぬぐえているわけではない。

健康食品の通販市場は、成長が鈍化して久しい。
3年後・5年後の中長期的な売上拡大を考えると、「これまでとは大きく異なる施策が必要になるのではないか?」という不安もその1つだ。
そのような環境でも成長していくために、「海外に進出してみるのはどうか?」「MA(マーケティングオートメーション)などテクノロジーの導入で、デジタルマーケティングを効率化できないか?」「現在の主力商材に代わり、2つ目のフロント商材をつくれないか?」といった議論も出てきている。

ただしS社では、そういった将来への漠然とした不安に対する意識が、この数年間で変わってきていた。
「たとえ今後さまざまな課題が出てきても、テストと検証を徹底的に行い、リスクを恐れず新たな施策にチャレンジしていけば、難局は乗り越えていける」
S社のEC事業にかかわる関係者の間でそんな自信が生まれたのも、5年間以上の取り組みの成果だ。

成功のポイント

  • メディアの拡大にともなって、LPや誘導枠などクリエイティブを徹底的にテスト
  • 広告だけでなくCRMも含めて、デジタルマーケティング全体のプロセスを改善
  • 顧客群ごとにLTVを分析して、新規顧客獲得時の優先順位付けに反映

※本ケーススタディは、複数の企業を支援するなかで起こった問題や実行した解決策など、実際に弊社が体験した内容を抽出・加工して構成しています。守秘義務契約などのため、個別の事例やクライアント社名の公表を差し控えている事情がございます。このような制約条件のなかでも、同じような課題に直面した企業にとって、汎用的な解決策として役立つように、上記のような編集を経てケーススタディとして公開しています。CPAや引き上げ率など登場するKPIも、業界における実績と鑑みて妥当な数値を置いています。