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林田七恵の通販保健室〜小売業の歴史を通して見る通販 最終回〜

みなさん、こんにちは!通販保健室林田です。
2回にわたって特集をしてきました小売業の歴史。

 

前回の記事:『林田七恵の通販保健室〜小売業の歴史を通して見る通販 第二回〜

 

編集部からの依頼で、小売業の歴史を通して化粧品の単品通販についてまとめさせて頂きました。
小売業の歴史を通してみる通販最終回です。
(最後にお知らせしますが、通販保健室は新サービスとしてこれから新たにスタートします!)

 

さて、最終回は、ちょっとフォーカスを絞って化粧品の単品通販についてお話をしていければと思います!

通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
解説資料はこちら
 
 

化粧品の単品通販

 

まず小売業という視点から、化粧品の単品通販を見ますと・・

前回小売業の歴史の中で書いたことのおさらいになりますが、1990年代に入ると、それまでの品揃え、安さといった機能性を特徴としたスーパーや総合通販のような業態から、高付加価値、専門性を高めた業態が伸長していきます

 

そこにバブルの崩壊とネットの台頭で、本質的なものへの原点回帰や、さらに私へとパーソナライズしてほしいという欲求が加わっていきます。
この流れを受けて、情緒的価値に重きを置いて深いコミュニケーションを強みにする単品通販が伸びていきました。

前回までの手法で単品通販を整理すると、以下のようになるのではないでしょうか。

 

《単品通販》

1】ターゲッティング
=情報が溢れ、選択することに疲れてきた消費者に

2】注目
=私らしくあるためのブランドができた、とアピールし

3】興味
=メディアを使ってあなたのための新しい化粧法や健康法がここにある、と
使い方までこと細やかに説明し

4】欲求・記憶
=メーカー直の顔が見える安心感、電話で個別相談できる利便性を訴え

5】行動
=今この場で電話をすれば買える利便性、さらに続けるためには
自動的に届く定期配送の仕組みが用意されていると提案する。

 

マスマーケティングで溢れかえる情報に埋もれていた消費者は、30分のインフォマーシャルや、フリーペーパーの広告を見て、自分の興味関心から不安に思うことのQ&A、さらにはどんな人たちが使っているブランドなのかまでを一気に紹介してもらえる単品通販に、「私のための商品があった!」と思い、比較検討するわずらわしさから逃れるためにそのブランドへのロイヤリティを高めていったのかもしれません。

最近では今度はそんな単品通販の広告が乱発されすぎていて、どれを使っても納得できない、というジプシーを増やしている気がしないでもないですが・・・

 

これからこの流れがどう変わっていくのかは、今までの文脈を読み込んで、私たちそれぞれが仮説立てをしていくしか
ありませんね。
さて次に、化粧品の歴史から、化粧品単品通販を見ていきたいと思います。
 
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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100年で劇的な変化を女性にもたらした化粧品の歴史

 

化粧品の歴史を見ると、現代女性史の半分がわかるのではないか、といえるほど、この100年で劇的な変化を女性にもたらしたものだということがわかります。

 

そもそも、今当たり前のように使っている、もしくは販売している、クレンジング、洗顔、化粧水、乳液、というアイテムやファンデーション、マスカラ、口紅といった美容法が一般的になったのはいつからかご存知でしょうか。

 

大きくはどれも戦後、高度経済成長以降に普及していったものになりますから、その歴史は実は50年ちょっとしかありません。

ですから二世代前、おばあちゃんの代には米糠で顔を洗っていたり、おしろいをはたくだけ、という化粧法が一般的だった、ということです。

 

ではどのようにしてこれらの化粧法が広がっていったのでしょうか。
化粧品の歴史、始まりは石鹸の輸入と石油からスタートします。
 
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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近代美容法のスタート

 

1868年、江戸から明治に時代が変わり、一気に西洋文化が日本に流れてきます。

そんな中で近代美容法のスタート、石鹸が輸入されてきました。

 

今ある大手化粧品会社もほとんどがこの時代に、石鹸会社としてスタートしています

1872年資生堂の前身の会社が創業、1887年花王の前身の会社、1891年ライオン石鹸創業。

そしてもう一つの大きな流れが石油の採掘・加工技術の発達による化学化粧品の台頭です。

 

石油が世界で初めて機械掘りに成功したのが1859年。
その後急速に多くの日用品に取り入れられるようになっていきます。

 

化粧品として一番最初に普及した製品は1937年に発売されたマックスファクターのパンケーキ。

いわゆるパウダーファンデーションです。

 

このパンケーキの普及で石油由来メイク製品が一気にアメリカに普及し、社会進出をしだした女性達にメイクをすることが社会人としてのたしなみという文化を作り出していきます。

 

これが今の化粧法の原点です。

 

そのメイクを落とすためにクレンジングが生まれ、メイクのノリをよくするために乳液が生まれ、今の基礎化粧品のラインナップが出来上がりました。
そしてその文化が戦後、アメリカによって日本に導入されていきます。

 

ちょうどその頃、石鹸会社としてスタートした会社達が日本でこの新しい化粧法を広めるための化粧品会社として設立されていきます。

 

1927年資生堂設立、1940年花王設立、1946年コーセ設立、
1946年ポーラ化粧品設立、1946年シャンソン化粧品設立。

 

この頃はそもそも日本にはない美容法、化粧法を広めることが一番重要なことでしたから、資生堂をはじめとする大手メーカーは高校卒業者対象の美容学校を開き、社会人になる前の身だしなみ教室として日本中に普及活動を行っていきました。

 

またもう一つの業態、ポーラやシャンソンは女性達を販売員として教育し各家庭に訪問して化粧法を教えるという訪問販売スタイルを取っていきました。
 
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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高度経済成長期と化粧品CMの開始

 

次の転機は高度経済成長期です。

 

前回の小売りの歴史でもお話したように、高度経済成長期に入るとマスメディアを使ったCM投下が始まります。

 

地道に化粧品学校で普及活動をしてきた化粧品はこの頃から一気にCM投下し、デパートや専門店で購入促進をするというスタイルに変わっていきます。

 

さらに1970年代に入ると1970年のananの創刊から女性雑誌が相次いで創刊。

 

メーカーが雑誌社とタイアップして、化粧法・美容法のマニュアルを誌面上で展開していきます。

 

CMで見た気になるアイテム(たとえばファンデーション)を、雑誌を必死で読んで使い方を把握し、デパートのカウンターに相談にいく、というスタイルが定着しました。

 

今のスタイルと同じですが、当時20代の女性達からすれば親の世代とは全く異なることへのチャレンジでしたから、今でいうところのまつげエクステ、タトゥーくらいの最先端美容をしている印象があったのではないでしょうか。

 

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そうなると当然のことながら、主婦や世代の上の女性達はなかなかその流れについていけません。
 
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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販売レディによる訪問販売の台頭

 

そこでこの最先端の化粧法についていけない保守層を拾ったのが、地道な地上戦部隊、訪問販売でした。
一軒一軒、販売レディが訪問し、丁寧に今まで見たことのない商品の使い方やお肌のアドバイスをしてくれる。

 

保守層のニーズをしっかりと捉え、地方を中心に訪問販売企業も右肩上がりに急成長していきます。

 

老舗のポーラ、シャンソンに加えて、1960年メナード、1966年シーボン、1975年アイビー、1978年ノエビアと70年代まで大手メーカーの創業が相次ぎます。

 

この百貨店を中心とした大手メーカーと、訪問販売メーカーの急成長。

今まで家庭で手作りの美容法を行っていた女性達が一気に化粧品を買い出したのですから、その経済効果は物凄いものですよね。
 
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ところが・・・化粧品公害訴訟

 

ところが。そこに水を差す出来事が起こります。

それが1970年代後半から問題となっていった化粧品公害訴訟です。

 

当時の化粧品原材料の一部が原因となり、肌が刺青を入れたように黒くなる女子顔面黒皮症などのトラブルが相次ぎ、消費者がメーカーを訴えたことで社会問題にまで発展します。

 

このニュースを見るようになり、今までメーカーのいうがままに化粧品を使ってきた女性達の中に、自分できちんと判断して購入しないといけないのではないかという意識が生まれます。

 

その意識に応えるようにして生まれたのが、無添加化粧品や自然派化粧品と呼ばれる新しいカテゴリーです。

 

1980年ファンケル、1979年アザレ、またこの頃に訪問販売会社が無添加、自然派化粧品のラインナップを増やしていきます。

 

自分で選べるようになっていく女性に応えるように80年代はカテゴリーやアイテムが多様化していきます。

 

そして販売チャネルも販売員に相談しながら買うのではなく、セルフ方式で自ら選択するスーパーやドラッグストアなどへ多様化していきます。
バブル経済で海外の化粧品ブランドも次々と参入し、商品もチャネルも情報もどんどん膨れ上がっていきます。
 
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そしてバブルの崩壊と、ネットの台頭

 

人々が本質的な健康や家族のつながりを考えるような原点回帰の流れの中で化粧品もメイクよりはスキンケアという流れになっていきます。

 

そんな中で1990年代後半から2000年代にかけて、肌に余分なものは与えず、肌の健康のために良いことをするという無添加化粧品が、一部の敏感肌ユーザーだけでなく一般顧客にまで広がり、さらに通信販売というダイレクトに情報を伝える
手段によって拡大していきます。

 

またそこにドクターズコスメという新しい効果を担保するブランドが現れ無添加とドクターズという2つの大きな流れで化粧品単品通販は伸長していきます.

 

そして2010年代。

その流れに専業通販会社ではない他業種からの参入も相次ぎ今や化粧品単品通販は市場も大きくプレイヤーも多い一大市場に成長しました。

 

このように小売業の歴史とはまた違う観点、化粧品の歴史として単品通販を振り返ることで、今後の未来予測がさらにイメージしやすくなるのではないでしょうか

 

 

いかがでしたでしょうか。今回は最終回ということで、ずいぶんと長々と書いてしまいましたが・・・(苦笑)

時代を大きくとらえることは、今やっていることの意味や、これから何がどう変わっていくのか仮説を設定する目が養えるのだと思います。

 

小売業の流れからしても、化粧品の流れからしても、そろそろまた大きな転換期を迎えそうな気がしますよね

 

同じ時代を生きる仲間として、これからも楽しんでPDCAをしていきたいですね!
連載はここでひと段落しますが、通販保健室としてはこれからも情報発信、お悩み相談、身体測定、授業など保健室機能を展開していきます。

 

何かありましたらぜひ、通販保健室のドアをノックしてみてくださいね!

またお会いできることを楽しみにしています!

 

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詳細は → 『年商30億円へのショートカット!通販保健室』
 
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