「あなたが英語を話すために私に10日間ください。」
新聞広告に載っていた英会話教材のキャッチコピーと同じ、「時間をください」というタイプのコピーが、約80年前に米国で出版された“通販広告のバイブル”でも紹介されていました。
古典に学ぶ“テスト済みコピー”の型と、現代の通販広告の事例をお伝えします。
目次
「あなたが英語を話すために、私に10日間ください」
先日、知り合いが全国紙に載ったというので記事を探していたところ、ふと目に止まった15段広告のキャッチコピーがありました。
「あなたが英語を話すために
私に10日間ください。」
英語はさんざん勉強したものの、ろくに話せない私・・・
本文へと続く小見出し、
「英語に無駄な時間、無駄なお金を使わないでください」
にドキリとしてしまいました。
このように、時間(手間)またはお金がかからないと言われると、惹かれてしまう心理。
もしかしたら、女性が美容について感じる局面でも共通するのかな?と、過去に調べた、“くり返し出稿されている広告のキャッチコピー”をあたってみたところ、見つけました。
化粧品や美容サプリでも、「○○だけで…!」
薬事法のもと多くの効果効能がうたえないなかで、多くの化粧品や美容サプリの広告で使われているのが、「○○だけ」というキャッチコピーです。
・えっ、化粧水だけなの? (化粧水)
・塗るだけ簡単ツルツル肌に(ローション)
・1粒で実感!噂の塗るボトックス(美容液)
・1日1カプセル飲むだけで(美容サプリ)
「だけで」「だけなのに」と書いてそこで止めることで、読み手の頭の中で続きを、つまりどのように変化するかをイメージさせよう、という狙いでしょう。
「1980円で!」「1日たった○円」など“お金がかからない”と伝えるコピーはよく見られますが、
このように手間(時間)を節約できるのも有効なんだなと感心していたとき、ある本を読んで、なるほど!と思ったことを共有させていただきます。
レモネード売り場での「看板」実験
「相手をひきつける『仕掛け』として、最も普遍的に使えるのは、何に時間を使うのかというテーマだ。
マーケターの間では、時間の話を持ち出すことで、消費者を誘導できることが知られている。」
(「ドラゴンフライ エフェクト」ジェニファー・アーカー ほか)
著者はこの理論を検証するため、ある実験を行いました。
レモネード売り場で順に、一つの看板だけを掲げ、客引きをしていきました。
・1番目の看板 (時間タイプ)
「少しのお時間を使って、レモネードを飲んでいきませんか」
・2番目の看板 (お金タイプ)
「少しのお金を使って、レモネードを飲んでいきませんか」
・3番目の看板 (ニュートラル)
「レモネードを飲んでいきませんか?」
1つの言葉を変えると、売上が4倍に!
その結果、売上が断トツで大きかったのが、「時間」を強調した、1番目の看板を掲げたとき!
「お金」を強調した2番目の看板のときより、2倍多くの通行人が売り場に立ち寄って、レモネードを買ったそうです
しかも、実はこのときレモネードの値段にちょっとした細工を。
値段を表示せず、あえてお客様に決めさせたそうです。
すると支払う金額も、お金のことを書いた看板のときより、時間を書いた看板の方が、2倍多かったそうです!
つまり、売上では4倍もの違いが出たのです。
76年前に米国で発刊、通販コピーの“バイブル”でも
このように「時間」を強調するコピー、
本記事を書くため、いくつか文献をあたってみたところ、
「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケープルズ)
という、76年前に米国で発刊された通販コピーの“バイブル”にも載っておりました。
「私に5日ください。
魅力的な性格に変えてみせます」
この「性格改善に関する通販書籍」(←今風に言えば情報商材?)の広告。
「この種の本を疑問視する人もなかにはいるが、この見出しは威力を発揮した」そうです。
冒頭の英会話教材のコピーと同じ“型”ですね。
テストで「証明済み」の見出しの“型”
ここで気づいたのですが、
もしキャッチコピーに行き詰ったら、古典にあたってヒントを探ってみるのもよいかもしれません。
たとえば、「体験者のコメントを使ったキャッチコピー」が何年か前からトレンドになっていると思いますが、76年前発刊のこの本でも、“テスト済みの広告の見出し”と出ておりました。
【見出しを証言スタイルにする】
<例>
「私は破産寸前でした。そこで、
『ウォールストリート・ジャーナル』紙を読み始めたのです。」
「このクリーミーなチョコレートプディングに
どれだけ脂肪分が含まれているかわかりますか?
ゼロなんです。」
と、最後は脱線してしまいました!