健康食品を長年愛用しているお客様の中には、はっきりとした効果を実感していない人が少なからずいます。
それでも、ポジティブな気持ちと連動して体調が良くなったと実感されるお客様が多いのは、なぜでしょうか?
医学研究で明らかになっている「プラセボ効果(プラシーボ効果)」や、その効果が現れにくい条件など、解説します。
目次
「なぜこの商品を買い続けていますか?」
今までこのブログでも何度かレポートしてまいりましたが、通販で化粧品や健康食品をくり返し購入されている20名の”ロイヤル顧客”へのインタビューを行いました。
「なぜこの商品を、ずっと買い続けているのですか?」
そんな質問を40~60代の女性たちに問い続けて、ひとつ意外だったことありました。
「効果がある」と明確に認識していないお客様が少なからずいらっしゃったことです。
たとえば、ある会社から10年間以上、ローヤルゼリーを購入し続けている主婦の方(54歳)のコメントです。
“調子がいいんだ”“元気になるんだ”という感覚があるの
「薬ではないから、すぐに治るのは難しいとわかっていますよ。長い目で見ないと。
これを飲んでるとね、『調子がいいいんだ』『元気になるんだ』という感覚があるの。
やっぱり飲んでいると安心だし、風邪もひかないし。
もう10年間ですから、良さがわかるんですよ。」
健康食品を定期購入している他の女性でも、
「飲み続けないと不安だから」「お守り代わりで安心」「なんとなく元気になった気がする」といった、現実の効果とは離れた“気持ち”に関係するフレーズが、口々に聞かれました。
このように、ポジティブな気持ちと連動して体調が良くなったと実感されるお客様が多いこと。
これこそ有名な「プラセボ効果(プラシーボ効果)」のなせる業かと思いました。
プラセボ効果で、「症状の改善まで」という医学研究も
「プラセボ効果」
この名前はお聞きになったことがある方も多いと思います。
プラセボとは、“実際には効き目のない偽の薬”のこと。
医学研究では、このプラセボを投与しても、効き目があると感じる患者さんが多いことが判明していますが、
さらに驚きなのが、医学的効果のない手術をしても、それだけで本当に症状が改善してしまう患者さんも出てくるという実験結果も出ていることです。(参考記事)
サプリメントの場合でも、もちろん成分そのものが良い働きをすることが前提ですが、プラセボ効果も相乗して、お客様に実感してもらい、摂取を続けてもらい、精神的・肉体的にもプラスになってくれれば嬉しいですね。
しかし、もう少し調べてみると分かったのが、このプラセボ効果、ある条件のもとでは、その効果を発揮しにくくなるそうです。
値引きがもたらす“落とし穴”
学生たちを対象に行われた実験です。
(出典:「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー)
「ソービー・アドレナリン・ラッシュ」という栄養ドリンクを飲んでもらい、その後にテストを解いてもらいました。
そのうち、学生の半分は「定価」を支払ってもらい、あとの半分は、定価の3分の1という「大幅値引き」で買いました。
すると・・・
定価で買った学生は、値引きを受けた学生より、「疲れが少ない」と回答した割合が高かったのです。
ですが、さらに驚いたのは、このように主観的な回答だけでなく、テストの平均正解数にまで影響を受けていたことです。
・定価で買った学生 :9問 正解
・安売りで買った学生 :6.5問 正解
このように、プラセボ効果は値段と正の相関関係がある、つまり、値引きによってこの効果が薄れてしまうことがあることが実験によって分かっているのです。
「すぐに実感できないから」とやめてしまうお客様に
「効き目がなかったので、1袋でやめてしまいました。」
「一生懸命飲んでいたけど、効果を感じなかったので、やめてしまった。」
薬とは違って短期間では効果の見えづらい健康食品でも、「すぐに実感できないから」とやめてしまうお客様も、残念ながらいらっしゃいますね。
リピートの有無が、効果の実感に大きく影響を受けるとしたら、「効果の実感を、お客様の感情面からどうやって高めるか?」が大事なテーマに。
今回は、価格の心理的影響を紹介しましたが、それ以外にも、プラセボ効果が働きやすい条件はあるようです。
たとえば医学界では、治療者への“信頼”がプラセボ効果(プラシーボ効果)の変数となるとも言われています。
会報誌やアウトバウンドなど、顧客との感情の結びつきを強めるためのCRM施策を各社とも実践していますが、それが「効果の実感」にもどのような影響を与えるのか?
難しいテーマと思いますが、今後も何かヒントになりそうな情報があったら、皆様にお伝えいたしますね。