ネット通販で欠かせないのが、顧客からの問合せ対応に代表されるカスタマーサポートの機能。「1日に10件以上」などたくさんの問合せが寄せられるようになると、問合せ管理や顧客対応に課題が起こってきます。ネット通販10社以上のインタビューから明らかになった、7つの課題を解説します。
目次
課題1:「返信漏れ」と「二重返信」が多発
問合せ対応の課題、1つ目はメールの「返信漏れ」や「二重返信」です。
複数名のスタッフで分担して問い合わせに回答していくと、「誰が?」「どこまで?」対応したのかがわからなくなってしまい、返信漏れが多発してしまいます。
どのメールに返信すべきかのチェックを、各々スタッフがメールの件名を目視して行っていたため、返信モレや二重返信がよく発生していました。
特に週末明け月曜日の午前中はメールの件数も多く、お一人で何通も送ってこられる方もいるため、ミスが発生しやすかったです。
逆に、1人のお客様に2人のスタッフが別々に返信してしまう「二重返信」も、同じメカニズムのもとよく起こる事象です。
他によくあったミスは「返信かぶり(二重返信)」でした。例えば、カートシステムにある未対応のメールを返していくのですが、「こっちは僕が対応するから、下から◯◯さんお願いね」というように処理していくので、真ん中あたりで返信が被ってしまうんですよね。「あれ、◯◯さんのこのメール対応したの?僕も送っちゃったよ…」という感じで。社内スタッフ同士ですら二重返信があるので、外部に任せたらもっとミスが起きてしまうと悩んでいました。
課題2:顧客名や「●●」などの送信ミス
2つ目は、「お客様に誤ったメールを送ってしまう」ことです。
たとえば、お客様のお名前を別のお客様の名前と間違えたり、テンプレートにある「●●」をそのままの文面で送ってしまったりといったミスがよく起こります。
何個もウィンドウを立ち上げて作業している都合上、他のお客様に送らなければいけない文章を別のお客様に送ってしまったり、名前を間違えて送信してしまったり、問合せメールの対応ミスが1日数件はありました…
問い合わせが増え、スタッフがメールの処理に追われてくると、ケアレスミスに気づかなくなってしまうのです。
課題3:返信の遅れによって、クレームも発生
3つ目は、「メール返信が遅れてしまう」ことです。
メールの処理スピードが遅く生産性が低いと、必然的に返信が遅れてしまいます。
それでも、経験豊富なスタッフが1人で問合せをさばいていた時には、「大切なロイヤル顧客からの連絡」や「クレームにつながりやすい問合せ」は優先して処理するなど、臨機応変な対応をしていた場合が多いようです。
ところが、経験の浅いスタッフも分担して対応するようになると、優先順位を付けられずに返信が遅れます。
その結果、顧客の離反やクレームにつながってしまうこともあるのです。
スタッフによって問合せ対応の「優先順位」や「緊急度」の基準が異なるので、お客様からご指摘を頂いたり、クレームになってしまっていました。例えば、キャンペーンのクーポンが適用されていない事へのご指摘だったり、商品を使って肌に合わなかったときの相談など、適切かつスピーディーに対応しなければならない問合せが発生します。しかし、メール対応はブラックボックス化されているため、各自の判断によって対応が後回しになってしまい、クレームになったという事もありました。
課題4:スタッフの経験で、対応の質にムラ
4つ目は、「新人とベテランなどスタッフの経験によって、メールの文面など対応の質にムラが出てしまう」ことです。
経験の豊富なスタッフは、「お客様の困りごとに合わせたアドバイス」や「合わせてよく聞かれる質問への回答」、「気遣いのひと言や季節感のある挨拶」などを臨機応変に入れて、お客様と円滑なコミュニケーションをしています。
しかし、経験の浅いスタッフは、質問に答えるので精一杯。
テンプレートを用意していても、うまく使いこなせません。
特に課題だったのは、スタッフによって文面の質に差が出てしまうことでした。テンプレートを使うことでお客様に沿った顧客対応をしたかったのですが、テンプレート通りの対応を行うので精一杯で、お客様一人ひとりに沿った対応が出来ていませんでした
課題5:携帯キャリアメールなど「届かない」ことも
5つ目は、メールを送ったのにお客様から「届いてない」と言われてしまうことです。
特にお客様が、auやdocomo、ソフトバンクなどの携帯のキャリアメールを使用している場合には、高い確率で発生しています。
これまでメールが届かないお客様に対して、電話もしていたのですが出てもらえないケースも多く、わざわざ携帯電話に転送してそこからメールをお送りすることもありました。
なかには、「問い合わせへの返信のうち、2割~3割は届いていなかった」と判明した企業も。
理由は、PCからのメールを受信拒否の設定にしているお客様が多いからです。
課題6:コミュニケーションロスに夜、生産性の低下
6つ目は、「生産性が低下してしまう」ことです。
スタッフの作業時間が増えるのはもちろん、スタッフと社長や管理者のコミュニケーションが増えてしまいがちです。
お客様が増えるにつれてお問合せも増えていたのでスタッフを増員したのですが、問合せメールの対応状況をスタッフ全員で共有できないため、対応方法の指示やアドバイスを行うことにとても苦労していました。
対面や電話など口頭でのコミュニケーションはミスが起こりやすく、かと言ってチャットやメールでのやり取りも煩雑です。
社長や管理者が外出しにくくなったり、他の重要な仕事に時間を使いにくくなってしまいます。
ただ私が外出することも多く、難しい問合せやイレギュラーな問合わせがあると、電話やLINEでスタッフに何度も指示する必要があったので生産性が低かったですし、結果としてお客様へのご回答が遅くなったり、ミスが発生していました…。
課題7:業務の「ブラックボックス化」
7つ目は、「スタッフの誰がどんな対応をしているのか、見えないこと」です。
問い合わせの件数が増えると、管理者が対応状況を1件1件把握するのは困難になります。
ところが、スタッフ別や内容別などに現状を定量的に把握するのは、パーソナルなメールという仕組み上、難しいものです。
問合せ対応の状況を管理者がチェックすることが仕組み上できなかったので、顧客対応の質を上げることができない…そんな状態でした。ただでさえ経営者やマネージャーは外出や打合せが多く、電話やメール・チャットでの確認や指示が非効率となっていました。
またカスタマーサポートが全体的にうまくいっていない場合でも、「何が問題なのか?」が社長や管理者から見えにくくなってししまうことが多いようです。
最後に:メール共有システムが、7つの課題を解決
これまで見てきた、メールの「返信漏れ」や「送信ミス」、「生産性の低下」といった課題。
これらの課題をもし放置すると、「優良顧客の離反」や「スタッフの疲弊」、カバーする社長や管理者が「売上を伸ばす仕事に時間を使えない」といった重大な問題が起こってしまいます。