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定期購入サービスで解約率(離脱率)を下げるための、改善事例3選

定期購入(サブスクリプション)サービスで重要なのが、既存顧客の継続率を高くキープすること。データ分析やA/Bテストなどを活用して、解約率/離脱率を低く抑えるための改善施策が、多くの企業で試みられています。携帯電話・食材宅配(ネットスーパー)・インターネットプロバイダーの3つの業種で実際に行われた、成功・失敗事例を紹介します。

事例1:携帯電話の解約率が上がってしまった、失敗施策

 

1つ目に紹介するのが、「ハーバードビジネスレビュー」(2016年4月号)に載っていた事例。
南米のある携帯電話事業者が、65,000人を対象に行ったテストです。

 

「もっと通話時間の長いプランの方がお得」だと考えられた顧客、つまり料金の支払額が大きくて損な使い方をしてしまっている顧客の一部に、別のプランを紹介しました。
(追加インセンティブとして金銭クレジットを提供して、アップグレードを推奨。)
対象顧客のうち一部には、何のアプローチもせず、施策の効果の有無を比較できるようにしました。

 

3ヶ月後、何もしなかった顧客(後者)のうち6.4%が、解約に至りました。
一方、お得なプランを推奨する施策を行った顧客(前者)については、10%が契約を解除してしまいました。

 

つまり、わざわざ施策を行うことで、解約率/離脱率を低くするどころか高めてしまったのです。

 

この理由として分析されているのが、以下の2つの分析結果です。

 

多くの顧客が最善ではないプランにとどまっているのは、単なる惰性である。
そこへ他の選択肢を検討させると、惰性がなくなってしまい、顧客は現在の業者のメニューだけでなく、競争相手のメニューにまで目を向けるようになる。

 

通話時間の超過を強調すると、それがきっかけで顧客はお金をかけすぎていることに気づき、解約に至ってしまう。

 

 

この失敗事例を踏まえ、解約率(離脱率)の改善にはどのような考え方で臨めばよいのでしょうか?

 

同社において顧客セグメントごとに行動データを分析、改めて見い出されたのは「毎月の割り当て時間を大幅に超過していた顧客や、利用頻度に大きなばらつきがある顧客は、キャンペーン後に解約する確率が高かった」という傾向でした。

 

このようにデータから「危険信号」を発見して、解約率/離脱率の高いセグメントに絞って施策を展開すれば、キャンペーンが“裏目に出る”確率は低くなるというのです。

 

 

事例2:オイシックスが、データ分析にもとづき解約率を2割低減

 

同じような考え方でデータ活用によって、今度は解約率/離脱率の低減に成功した事例が日本でもあります。
「週刊東洋経済」2017.6.3号 より)

 

有機野菜などのEC(ネットスーパー)で有名なオイシックスは、会員向けに定期的に食材を配送するサービスを展開。
定期会員の継続率を重要なKPIとして、事業を展開しています。

 

 

会員の解約理由は「引っ越しをしたから」などさまざまですが、同社CMOの西井敏恭氏によると、これらのアンケートでは出てこなかった傾向をデータから見い出したそうです

 

オイシックスの定期配送では、商品発送前に注文内容を変更・キャンセルできるが、(本当は変更したかったのに)変更なしのままで届けられてしまうことが解約につながる要因だと、データから分かった。(西井氏)

 

そこで、「注文変更期限を10時へと遅くする」や「締め切り前にメールを出す」といった施策を実行。
現在は、LINEでも事前確認の連絡を送っているそうです。

 

これらの施策を実行した結果、解約率/離脱率がなんと2割ほど下がりました。

 

 

事例3:解約率に2.5倍の差!解約した顧客に共通する“ある行動”

 

最後に、少し古いですが興味深い事例を「データドリブン・マーケティング」という本から紹介します。

 

米国の通信企業アースリンク社が展開していた、「ダイヤルアップ接続サービス」。
全顧客のうち5.2%が、新規契約から60日以内に解約してしまっていました。

 

そこで顧客セグメントごとに解約率/離脱率を分析していくと、ある1つの行動によって数字に大きな差が出ていることが判明しました。
それは、顧客がコールセンターに電話して、「ブロードバンド接続のサービスを利用できるか?」と聞くこと。

 

電話をかけてきた顧客の解約率/離脱率が12.8%に対し、電話をかけてこなかった顧客は4.2%
つまり、サービスについて電話で質問した顧客が解約する確率は、全顧客平均の2.5倍近くに高まっていたのです。

 

電話をかけた顧客は、「ダイヤルアップ接続からブロードバンド接続サービスへのアップグレードを検討していて、各社のブロードバンド接続サービスを比較検討している可能性がある」と考えました。

 

同社ではこのように、顧客セグメントごとに「なぜこの2つのグループの解約率/離脱率に差がつくのか?」を考える、「決定木(けっていぎ)分析」を数週間おきに実施
解約のリスクが高い顧客層の特徴を、特定し直していきました。

 

「解約する可能性が高い」と判明した顧客層には、以下のように特別なプレゼントも用意。

 

・感謝を示すために、スターバックスの5ドルまたは10ドルのギフトカードを贈呈
・優先サポート用コールセンターの電話番号を伝える
・ブロードバンド接続サービスに関する割引を提案

 

このようなマーケティング活動を行なった結果、メッセージを受け取らなかった比較対象用グループと比較して、120日間でほぼ20%(30日間では44%)の解約率/離脱率の削減が見られたそうです。

 

 

顧客データにもとづいた仮説検証が、解約率(離脱率)抑制のポイント

 

3つの事例からも分かるように、顧客データにもとづいて施策を立てていけば、解約率(離脱率)を下げる成功確率は高まります。

 

たとえば顧客の行動や属性ごとに、さまざまなセグメントに分類。
解約率/離脱率の差が高いセグメントと低いセグメントが判明すれば、数値が高くなってしまう原因の仮説が浮かびます。

 

そのセグメントを念頭において顧客が継続してもらいやすい環境を整える、すなわち「解約理由を消していく」施策をとっていけば、解約率/離脱率は改善に向かうのです。

 

AmazonのペゾフCEOも愛読したという本(事例3の参照元)

 

 

あなたの会社でもぜひ、データ分析にもとづいて施策を立案して、仮説検証のサイクルを回していってみてください。
今回紹介した3つの事例が、解約率/離脱率を下げるために役立つことを願っております。