「プロダクト・ライフサイクル理論」はご存知ですか?導入期→成長期→成熟期→衰退期と
商品や成分が4つのステージをたどるなかで、どのようにマーケティング戦略を適応させていけばよいのか?単品リピート通販業界に当てはめたケースと各ステージの特徴、さらには成熟期の企業が取るべき戦術を解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
KPIの用語説明や使い方だけでなく、通販のビジネスモデルについても解説しています。
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目次
「プロダクト・ライフサイクル理論」とは?導入期から衰退期まで
「プロダクト・ライフサイクル」という言葉は、マーケティングや経営に携わった方なら、必ずといってよいほど聞いたことがあるでしょう。
商品が初めて売り出されてから、人気を集めて市場が広がっていき、やがては時代遅れになって姿を消していく。
その一連の流れのなかで、どんな商品でも「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」の4つのステージをたどるという原理です。
「製品ライフサイクル」や「商品ライフサイクル」も同じ意味ですし、成長曲線の形状に注目して「S字カーブ」と呼ばれることもあります。
単品リピート通販に目を移して、「グルコサミン」を例に市場の推移を見てみましょう。
1990年代にアメリカで人気成分となったグルコサミンですが、日本でサプリメントとして注目が集まったのは、2000年代に入ってからでしょうか。
認知度が高まり、導入期から成長期へ移行。
市場拡大の波に乗って、いくつかの企業が爆発的な成長を遂げた姿は、覚えてらっしゃる方も多いでしょう。
成功事例に乗り遅れまいと、同業他社が類似商品を発売。
さまざまな商品の広告が、新聞やテレビを賑わします。
認知度の拡大もひととおり落ち着いたところで、今度は成熟期が訪れます。
ニーズの低下と供給の増加によって、広告のレスポンスも一時期の勢いは弱まり、CPOは悪化します。
ふしぶし系サプリメントの市場全体では、コンドロイチンやコラーゲンだけでなく、プロテオグリカンやUC-Ⅱなど新興成分との競争も激化。
今グルコサミンは、成熟期にあると言えるでしょう。
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4つのステージによって、マーケティング戦略は異なる
このプロダクト・ライフサイクル理論をもとに、あなたの会社がどのようなマーケティング戦略をとるべきか?を考えていきましょう。
ぜひ押さえていただきたいのが、導入期から衰退期までどのステージにいるか?によって、選ぶべき戦略や打ち出すべき広告表現もまったく異なるということ。
60分間企業ダントツ化プロジェクト
このプロダクトライフサイクル理論を、ビジネスの現場の視点から論じていて分かりやすいのが、「60分間企業ダントツ化プロジェクト」(神田昌典)という本。
この本の記述も参考に単品リピート通販での実体験も入れて、それぞれの市場の特徴と、押さえるべき戦術をまとめてみました。
「導入期」は、広告のレスポンスは悪くPRなど中心
導入期の商品で難しいのは、新しい商品で誰も知らないために、市場で認知されるまでに莫大なマーケティング費用がかかること。
さらに、商品開発の途中ということもあるので、開発費もかかります。
したがって市場規模としても小さく、「競合はほとんど存在しない」と言っていいこともあります。
事業の売上も低水準、この時期に参入した事業は、赤字となることが多いでしょう。
この段階では、広告を出してもまだレスポンスが悪く、採算が合うような水準にはなかなか達しません。
(もしくは、認知度の高い商品カテゴリとの比較など、クリエイティブを工夫する必要があります)
マスメディアへのPRや講演・イベントなど、教育啓蒙的活動を中心に商品認知を高めていく施策を取る会社もあります。
「成長期」は、CPAも下がり売上は急拡大
導入期にあった商品が、なんらかのきっかけで成長期に入ると、広告のレスポンスが突然に上がってきます。
たとえば導入期にはCPRで10,000円程度だった広告が、5,000〜8,000円などと大幅に下がります。
成長期は、新規客を増やすのに最も適した時期。
「広告を出せば出すほど、儲かる」という状態で、獲得件数も急激に拡大します。
売上が急拡大するため、それにともなって競合の参入も相次ぎます。
「成熟期」は、競合との差別化がポイント
成熟期に入ると、広告の反応も悪化。
たとえば成長期にはCPRが5,000円程度だった広告も、その2-3倍、10,000-15,000円にまではね上がってしまうことも珍しくありません。
ベネフィットの可視化やターゲットの絞り込みなど、競合との差別化の視点から、新たなクリエイティブを開発しなければ生き残れません。
競合他社との競争が激しくなり、新規顧客の獲得は苦戦します。
売上の伸びも頭打ちになりますが、収益の柱になるのが成長期に獲得した既存顧客。
既存顧客からのリピート購入の比率が高まるため、広告費用がかからない分、収益性は高まることもあります。
「衰退期」は、市場規模も縮小し撤退の判断も
衰退期に入ると、広告のレスポンスはますます悪化します。
たとえば、全盛期は5,000円だったCPRが、20,000円を超えてしまうケースもあるくらいです。
市場規模も全体として縮小、事業の撤退を始める会社も出てきます。
新規顧客の獲得投資を抑えながら、リピートしてくれる保守的顧客を中心に販売を続けている会社が多いでしょう。
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「成熟期」でも売れ続ける広告表現は?3つの戦術
この導入期から衰退期まで、あなたの会社の商品はどのステージにいるでしょうか?
化粧品や健康食品など単品リピート通販の場合、成分や商品によっても異なりますが、恐らく成長期の後半から成熟期の前半にさしかかっているケースも多いのではないでしょうか?
先ほど紹介した本の著者によると、成熟期においてオーソドックスな方法は、事業の撤退を準備して、成長期に差し掛かる事業のタネを見つけること。
ですが商品の売り方を変えたりすることで、新しく成長カーブを描いていくことができると言います。
戦術1:専門化する
1つ目は、特定の分野に特化すること、「専門化」です。小売店では、ダイエーやイトーヨーカドーのような総合スーパーの成長が鈍化してくると、次に出てきたのがマツモトキヨシやユニクロ、ニトリなどの専門店だったとのこと。他に挙げられていた例では・・
例えばリフォームの場合は、いままでの総合リフォームという切り口から、たたみ・ふすまに特化したチラシを配ったり、増改築のような高額リフォームに特化して、新規客を集めるとうの工夫を行う。
単品通販業界でも、この数年間で小資本から成長している通販会社を見ると、たとえば化粧品では「背中ニキビ専門」や「まつ毛美容液」など、悩みやターゲット、使用シーンなどを特定した商品が目立ちます。
戦術2:ナマケものの欲求を満たす
2つ目の「ナマケもの欲求」とは、「できるだけ頭を使わない、できるだけ工夫しないで生活を送りたいという欲求」のこと。
その欲求を満たし、不便と感じているものを一切なくしてしまうことで、商品が蘇るケースがあると言います。
甘栗は成熟商品の最たるものであるが、2000年ごろに、皮むき栗が市場に現われると、再び大きな成長を遂げ、2002年にはほとんどのスーパーや駅の売店に並ぶようになった。
またリンスとシャンプーがひとつになった、リンス・イン・シャンプーも同じ流れである。
化粧水や美容液などを1つにまとめた「オールインワン」化粧品が、かつて爆発的に伸びたのは、「肌のお手入れが面倒」「朝の忙しい時間帯を時短で乗り切りたい」という女性のニーズを捉えたと言えるでしょう。
青汁でも、「飲みにくさ」や「苦さ」といったイメージが強いなかで、「飲みやすさ」や「美味しさ」を強調した商品が売れているのも、この流れから見るとよくわかります。
戦術 3:成長している媒体に乗る
3つ目は、成長媒体への参入、著者の言う「小判ざめ戦法」です。
成熟した商品を扱う会社が、成長している媒体に参入することにより、次の成長カーブを描けることがあります。
ほとんど知られていなかった通販化粧品のDHCが、コンビニに参入することによって、数年間で、全国ブランドとして認知されるようになった。
完全冷凍のラーメン、うどんを製造した会社も、同様にコンビニに流通させることによって、一気に躍進している。
この1-2年間に成長している媒体というと、デバイスではスマホ、そして獲得チャネルではアフィリエイトやネイティブ・ソーシャル広告などでしょう。
「3年間で年商10倍」と急成長している健康食品通販企業の経営者のお話を伺う機会がありましたが、断言していたのは「スマホで広告予算を月間1,000万円以上使える媒体でないと、出稿しない」ということ。
それだけ成長している媒体に、リソースを集中して投資していると言えます。
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参入タイミングや顧客獲得方法を、ご自身の事業に当てはめて考える
成熟期の戦術としては他にも、「パッケージ商品を販売する」「こだわり商品に特化する」「社会的ミッションを持った会社をつくる」など合わせて8つの戦術が紹介されていました。
ご興味のある方は、「60分間企業ダントツ化プロジェクト」(神田昌典)を詳しく調べてみるとよいでしょう。
プロダクトサイクルを学ぶことで、参入すべきタイミングやステージに合わせた顧客獲得方法を知ることができます。
あなたの商品は、導入期から衰退期までどのステージにいるか?
そしてどの戦術をとるべきか?
ぜひご自身の事業に当てはめて、考えてみてはいかがでしょうか。
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