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定期購入・サブスクリプションの解約を防ぐには?顧客対応の事例3選

継続的な売上の発生する、会員制のビジネスモデルで収益を左右するのが、解約するお客様を減らすこと。

コールセンターはじめCS(カスタマーサポート)の顧客対応では、「解約抑制」「退会抑止」が課題になります。

有料放送や携帯電話など月額課金(サブスクリプション)型、あるいは化粧品・健康食品など単品通販の定期コースとそれぞれ異なる業界からピックアップして、解約を防ぐ方法論と事例をご紹介します。

WOWOWの「V字回復」を支えたコールセンターには、“神対応”を支えるレコメンドシステム

 
1つ目の事例は、有料テレビのWOWOW(ワウワウ)です。
 

WOWOWがとるのは、会員制のビジネスモデル。
収益を左右するのは、月額2,300円からの料金で視聴を継続する会員数をいかに純増させるか?です。
 

1991年の開局から20年間、総加入件数を伸ばし続けていたWOWOWですが、2002年度を境に反転。
4年連続で、総加入者数が減少してしまった時期があったそうです。
 

その理由は、解約者の増加。
WOWOWのV字回復の舞台裏を追った本、「売上の8割を占める優良顧客を逃さない方法利益を伸ばすリテンションマーケティング入門」(大坂祐希枝)によると、「無料視聴期間や代理店の手数料アップで新規加入を増やしたことは、『無料期間が終わったら解約してもよい」と意識づけされた顧客を増加させた』とのこと。
 

 

そんな「大量加入、大量解約」の悪循環を断ち切るためにとった施策の数々のなかで、私が特に印象に残ったのが、コールセンターの「リコメンドシステム」。
 

解約の引き止め(=リテンション)に成功した、その要因をデータ化して蓄積。
顧客の態度変容のきっかけになった会話やコミュニケーターの提案の仕方などを分析し、「こういう人には、こういう提案が成功する」という形でデータベースに整理しました。
 

「解約したい」という電話が顧客からかかってくると、オペレーターのPCには、その顧客の「加入時期」や「加入動機番組」などが表示されます。
そこで、オペレータがレコメンドシステムを活用して提案、その顧客がツイートして反響を呼んだ事例が・・
 

『WOWOWに解約の電話かけて解約理由(テニミュ特集終わったから)を答えたら、「テニスの王子様に出演されていた松岡さんが主演のNARUTOの舞台が01月に放送されるのですが、松岡さんのファンではございませんか?」って間かれてちょっと笑いそうになった…wWOWOWすごい』

 
自分を知るはずのない解約窓口のオペレーターに、自分が好きな俳優について質問され、その俳優が出る番組を薦められたことへの驚きがつづられていました。
データから潜在ニーズを予測して、顧客に寄り添った提案をすることで、「無理やり引き止められた」という感覚を抱くことなく、翻意する顧客を生み出しているそうです。
 
このように大規模なシステムは、もちろんどの企業でも構築できるものではないはずです。その他にも解約率を抑えるために著者がトライ&エラーした施策の数々が同書では公開されていますので、実践できることが見つかるかもしれません。
 
・優秀なオペレーターのトークスクリプトを全員に共有。解約リテンション施策の平均成功率はそれ以前の5〜6%から、10%を超えるように
「サンクスコール」の実施有無で解約率を比べたところ、架電したグループの方が高くなってしまったので中止(解約タイミングを思い出させてしまった?)
・「無料期間が終わったからもう止めます」という解約を根元から断つため、新規獲得時の無料特典を無くす経営的な意思決定を敢行 など
 
 

携帯電話のMNP転出阻止、「解約前提」の電話を覆したカウンタートーク

2つ目は、携帯電話の事例です。
 
「通信キャリア」と呼ばれる企業がとるのは、通話料などが毎月発生する定期課金のビジネスモデル。
最近では、MVNO(いわゆる「格安SIM」)に乗り換える顧客が増えている事情もあり、解約の抑制が収益を左右する重要なテーマです。
 
定期購入の解約阻止は携帯電話会社が上手い!?」(定期通販ラボ)で取り上げられていた、転出阻止のトークスクリプトが秀逸でしたのでご紹介します。
 
筆者がMVNOへの乗り換えるため、契約している事業者のコールセンターへ「解約前提で」電話。
「ナンバーポータビリティ(による番号の転出)を希望する」とオペレータに伝えたところ、「あまりにも完璧な応対・切り返しの連続により、オペレーターさんと携帯電話会社に好感を抱き、解約を翻意」してしまったそうです。
 
オペレータから「移転先のキャリア」と「格安SIMの利用経験」を質問された後に、「実は1つだけお伝えしたいことがあります」と返ってきたのが・・
 

今、格安SIM業者への転出者様も多いのですが、先に転出された方がまた最近お戻りになられている現象をご存じでしょうか?(中略)
実は格安SIMは一分あたりの通話料が割高であったり、回線速度が遅くSNSを快適に利用できないなどの理由で再度弊社へお戻りになられる方も多いのです。

 
このトークに惹かれた筆者が、「基本使用料」や「端末料金」などコスト面を質問していったところ、以下の事実を伝えてネガティブな印象を払拭。
 
・○回程度の電話なら、弊社の方がコストが低い
・××割というプランが適用され、機種変更代□□□□円が無料に
 
さらには、「通信制限が嫌だ」や「コールセンターにつながらない」といった懸念もクリアするカウンタートークを用意。
「解約前提で」電話したにもかかわらず、「今のままの方がお得かも」と思わせることに成功したそうです。
 
「解約したい」「現状のプランが不満」といったお客様のマイナスの感情に寄り添って、まずは希望を受け止める。
そのうえで、お客様の知らない意外な事実を述べて、興味を惹きつける。
前のめりになったお客様の懸念や不安を、1つずつ丁寧にクリアしていく。
 
詳細は、リンク先の記事をご覧いただきたいのですが、お客様と向き合うオペレータの姿勢やカウンタートークの練り具合が伝わりますね。
 
さらに驚いたのは、これらの転出阻止トークが、電話(コールセンター)だけでなく、チャットでも同様に展開されているということ。
カスタマーサポートに、LINE@はじめチャットの窓口を導入する企業も増えてい ますが、解約の連絡がチャットで届いてしまう例も。

「リアルタイム」や「双方向」という点で電話とチャットは共通しています。
電話で培った転出阻止の仕組みがチャットでも展開できるなら、将来的な収益貢献も期待できるでしょう。
 
 

化粧品の定期コースで、継続率がアップ!休会をお薦めする理由

 

最後にご紹介するのが、単品リピート通販の「定期コース」の事例です。
 
化粧品や健康食品の通販では、定期コースでの解約は「電話のみ可能」と規定。
「解約抑止率」といった指標を設けて、電話をしてきたお客様のうち「○%を引き止められた」と競う企業も見られます。
 
そんな引き止めが度を越えると、会社への心象が悪くなってしまう心配も。
こうした指摘とともに、「商品力に自信のある会社は、無理な引き留めをせずに、快く休止・解約を受け付けるように心掛けています」と自身の著書で述べるのが、化粧品・健康食品など通販企業のコンサルティングを手がける辻口勝也氏です。
 


 
では、解約の抑止をせずに顧客の意向に沿うだけで、売上は確保できるのか?
ある化粧品通販の会社では、「適度に定期コースを休止するお客様の継続率が高い」と気づいたそうです。
 

お客様は商品が余ったら休止し、使い終わったら再開するという自分のペースで定期コースを続けているのです。
商品は気に入っているが、消費量とお届けのサイクルが合わないことから、お届けのタイミングをお客様が調整しているのです。
(「通販会社・ネットショップのための「リピート客を育てる技術」」(辻口勝也)より)

 
そこで、この会社では「休止・解約をするお客様を無理に引き留めず、気持ちよく休んでもらえるように対応を心がけている」とのこと。
その他にも同書では、現場ですぐに活用できる以下のような事例が載っています。
 
WEBのマイページで定期コースの休止・解約ができるようにしているが、「商品情報」や「使い方」をもう一度表示し、お客様に理解を促す工夫を
・定期コースのお休みやお届け間隔の調整の方法を解説したツール(チラシ)を商品お届け時に同梱する
・電話で解約の連絡をくれたお客様には、オペレーターが会話の最後に「寒くなってきましたので、お体にお気をつけください」といった一言を添えて、お客様の印象が良いまま電話を終える
 
これまで3つの異なる業種の事例をもとに、解約抑止の方法論をお伝えしてきました。
引き止めの強弱や押し出すポイントなどそれぞれ異なりますが、共通するのはお客様の視点に立っていること。
 
一度は「やめよう!」と思ったお客様にも、「やっぱり続けたい!」と捉え直してもらう。
そんなきっかけを提供するためには、どんなトークスクリプトやオファーが有効か?
 
自社の顧客層や商品に合った仕組みを考えるため、参考にしていただければ嬉しいです。