「口コミで、商品が広がる」
もしそんな状態をつくれれば、広告に費用をかけずに新規顧客を獲得できるので、理想的ですね。
そんな狙いをこめてか、数多くの企業が「お友達紹介キャンペーン」を展開していますが、実際にお友達へ商品を紹介してくれるのは、どのようなお客様でしょうか?
ある化粧品通販企業で、紹介者についてデータベースから分析したところ、意外なことが分かりました。
「鉄は熱いうちに打て」で、新規顧客が伝道師に!?
ある化粧品会社のご支援で、既存顧客への商品発送時に同梱するため、お友達紹介ツールを新しく制作した時のことです。
弊社スタッフの皮算用(仮説)がはずれてしまったことがありました。
「長くリピートしてくださっているお客様ほど、その良さを分かっているのだから、たくさんのお友達に熱を込めて口コミしてくれるはず」
そんな願いを込めてつくったものの、期待に反して購入回数の多いお客様からのご紹介による購入は少なかったのです。
ところが、意外なことに戻り率が高かったのが、1~3回目など購入回数が少なく、そして初回購入から時間の経ってないお客様でした。
お客様のテンションが、最も高まるタイミング
どうしてこのように、期待と逆のレスポンスが出たのでしょうか?
お客様の購入前後の心理状態を思い浮かべてみると、最も気持ちが高まっているのは、購入直後のこと。
また、たとえば化粧品の場合、効果を実感しやすいのは1~2週間後ともいわれます。
このようにお客様のテンションが高まっているタイミングでは、「つい買ってしまったの!」や「私、使い始めた化粧品があって、すごくいいのよ」など、その気持ちの高まりを誰かに伝えたいお客様が多いのでしょう。
このように口コミが起こりやすいタイミングで、お友達との間の話題へ確実に載せてもらうために、お友達紹介ツールのほか、チラシを複数枚同梱する事例が見つかります。
(主婦の方のなかでは、お友達へ「これ良いわよ」と紹介するときは、カタログやリーフレットよりは、チラシを見せることが多いようです)
お友達に紹介してくれなかった、“ロイヤル顧客”の本音
実は、このような事例をニュースレターで取り上げてみようと思ったきっかけは、本サイトでも何度か取り上げた「ロイヤル顧客インタビュー」でのこと。
お友達に積極的に紹介しているというお客様が、1割にも満たなかったのです。
「○○を買っているというのは、母や妹など家族には話したけど、友人や周りの人には特に聞かれないので話していません。」
「『知る人ぞ知る!』という感じが嬉しかったりします。
いろんな人が知ってしまうと、心が狭いけど嫌だなぁと」
数年来の定期購入をしているお客様にとっては、商品を使うのが「日常」になってしまっているもの。
これというきっかけがないと、会話のなかで購入体験を切り出すのは不自然なのかもしれません。
もちろん、なかば習慣的に熱心に周りに薦めているという方もいらっしゃいましたが、
「ロイヤル顧客」=「お友達を紹介をしてくれるお客様」
という単純な図式は成り立たないと実感した出来事でした。
口コミを、意図的に増やすメカニズム?
「既存顧客による紹介は、0円に近いCPOで、なおかつLTVが高い」
いろいろな新規顧客ご担当者とお話ししたなかで聞かれる声ですが、つまり、「口コミで広がる」を意図的に起こせれば、良質なお客様を低コストで獲得できるはずです。
一方、レスポンスとして明確な数字が出る広告とは異なり、紹介の場合、そのメカニズムは見えにくいもの。
いつ?どこで?誰が?どのような言葉で?
お友達に紹介してくださっているのか?
そのために、売り手の側はどのような工夫をすればよいのか?
またこのブログでも、ご紹介していきたいと思います。