私たちの行動1つ1つは、無意識のうちにさまざまなできごとの影響を受けています。
そんな人間心理の法則を通販広告に応用すると、どんな効果があるのでしょうか?
あるスキンケア化粧品のチラシでテストした事例から、ご覧ください。
目次
スキンケア化粧品、顧客属性を分析して判明した1つの事実
あるスキンケア化粧品の新規顧客獲得をお手伝いしたときのことです。
クライアントからお話を伺ってみると、商品を利用されているお客様には、ある特定の職業の方が多いとのこと。
媒体選びを考えたとき、思い浮かんだのが、その職業の方だけに向けて発行されている、通販カタログです。
そのカタログにチラシを同封して、リストをとっていくことにしたのですが、チラシでは、その職業のお客様に、体験談として登場してもらうことにしたのです。
結果、レスポンスは上々。
もちろん↑だけが原因ではないと思いますが、「自分と同じ仕事をしている人も、同じ悩みがあったんだ。この商品を使っているんだ」という共感が生まれたのかもしれません。
「自分と関連のある」というだけで惹かれてしまう
前編の「「神話の法則」からひも解く、通販広告の“体験談”」でもお話しした体験談。
登場してもらう人の選び方は非常に気を使っているのですが、特に考えているのが、「ターゲットに親近感を感じてもらえるか?」という観点です。
そのためのポイントが、当たり前かもしれませんが、登場する人をお客様ターゲットの属性に近づけること。
というのも、何かちょっとしたことでも、自分と関連のあるものに人は惹かれやすい、ということが、社会心理学の研究によってわかってきているからです。
それを裏付ける複数の実験のなかで、特に意外だったものをご紹介します。
似ている名前と、似ていない名前。実験結果の違い
まったく知らない人びとに調査票を送り、記入・返送への協力を依頼する、という実験が行われました。
(出典:「影響力の武器 実践編」 N・J・ゴールドスタイン 他)
調査票の中身は全員同じですが、1つだけ違いを作りました。
郵送した際に、一方のグループではその差出人として、受取人と似た響きの名前を使い、もう一方のグループでは、似ていない名前を使用。
調査票に記入して送り返してくれた人の割合を2つの条件で比べてみたところ、なんと2倍近くも違いが…
名前の響きが似ていない場合が30%だったのに対して、似ている場合だと、56%も返送してくれたのです。
さらに面白かったのですが、返送してくれた人には、協力すると決めた理由を、調査終了後に答えてもらいました。
すると、協力した理由として差出人の名前を挙げた人は、一人としていませんでした。
つまり、「自分と相手の共通点があるかどうか?」がその人の行動に強く影響を与えていたものの、当の本人は、それを認識していなかった、ということがわかります。
クリエイティブと媒体を連動させて、ターゲットを絞り込む
これを通販広告に応用して考えると、レスポンスに影響を与えると考えられるのは、属性の近いお客様から寄せられた声。
ということで…
たとえば美容系商材では、ターゲットの年齢と近い方を選んだりetc
他にも細かい工夫をいろいろとしています。
ちなみに、これを媒体選びとも連動させてみると。
会員誌などへの「同封・同梱」広告に、弊社は詳しいのですが、これを使うときに良いのは、「通販マインドの高い40代女性」や「60代以上のシニア富裕層」など、セグメントのはっきりとしたリストに対して、広告を打てることです。
例をあげると、高級和菓子の新規顧客獲得に際して、富裕層マダム向け趣味会員誌など、ニッチな媒体を選定。
ターゲットを絞り込んでチラシを制作し、その結果、レスポンス率が1%近くになったこともありました。
通販で反響のとりやすい広告媒体の選び方についても、タイミングをみてまたお伝えしていきたいと思います。