新プラットフォーム移行で、配信アルゴリズムの精度がアップ
2019年11月、Yahoo!の広告プロダクトが新プラットフォームへの移行を始めました。
名称はかつてのYDN(Yahoo!ディスプレイネットワーク)から「ディスプレイ広告」へ変更になりました。
これまでは予約型のYahoo!プレミアム広告と、運用型のYahoo!ディスプレイアドネットワークに運用アカウントが分かれていましたが、今回のリニューアルを機に1つのプラットフォームに。
単品リピート通販で主に利用される「運用型」については、すでに2020年7月1日から全てのアカウントで利用が可能になりました。

Yahoo! ディスプレイ広告 運用型のリリーススケジュール
一体、何が変わったのでしょうか?
Yahoo!が発表したリニューアルのポイントは、3つ。
「広告プロダクトのシンプル化」「広告管理ツールのリニューアル」「配信アルゴリズムの刷新」です。
中でも広告主として抑えておきたいのが、「配信アルゴリズムの刷新」です。
今回のリニューアルでは、配信先ユーザーやクリエイティブなど”自動最適化”の精度が大幅にアップしました。

Yahoo! ディスプレイ広告 リニューアルのポイント
たとえば広告の日予算についてみてみると、これまでの仕様では均等消化でした。
インプレッション数が少ない時間帯でも多い時間帯と同じ量が配信されていたため、効率が良いとは言い切れない状況もありました。
しかし、リニューアルに伴いインプレッションのボリュームに合わせて配信量の調整が可能となり、予算消化が効率的に行えるように。
CVRに繋がるユーザーに確度高くあてにいけるようになったのも大きな変更点です。
また自動入札機能も改善され、かつての「YDN」とは“別モノ”といえるほどに進化しました。
CV数やCPAはどう変化した?70以上のアカウントで検証
具体的にどのような変化があったのでしょうか?
リニューアルの前後で比較してみましょう。
CVRが130%アップして、CPAが従来の80%に
リニューアル後、弊社で運用している6割以上のアカウントで、CPAが大幅に改善していることが確認できました。
改善率に少し幅がありますが、CPAでは従来の50%〜90%前後にまで。
この数値を要素分解すると、CPC(※1)やCPM(※2)の変化はほとんどなく、CVRが従来の約1.3倍にまでアップしていました。
※1 CPC:「Cost Per Click」の略 1クリックごとの広告費 クリック単価
※2 CPM:「Cost Per Mille(コスト・パー・マイル)」の略 広告表示1,000回あたりの広告掲載料金
Yahoo!が公式に発表しているデータでも、商材に関わらず全アカウントでCVRがアップしました。

新アルゴリズムの効果実績 (Yahoo!計測)
つまり、「商品が合いそうなユーザー」「買ってくれそうなユーザー」に絞って広告を表示できるように、配信アルゴリズムが進歩したといえるでしょう。
表示される回数やクリック数は維持したまま、CVRを伸ばすこととなり、さらに確度高く顧客獲得ができるようになりました。
CV数が従来比2倍、月間10,000件超えも
これらの配信効率のアップを受けて、ディスプレイ広告での広告配信を強化する企業も出てきました。
早期に取り組んだ企業では、CPAを維持したままで、CV件数が「従来の2倍」など大幅に増やす事例が相次ぎました。
弊社では19年11月に限定リリースされた直後から、新プラットフォームへの切り替えをスタートしています。
運用をお任せ頂いているアカウントでも、自動最適化がかかるまでの最初の2,3ヶ月は調整のためCPAが若干上がりCV数も伸びないという時期もありました。
しかし、移行から3ヶ月以上が経った2020年2月以降には、6割以上のアカウントで移行前よりパフォーマンスが向上しました。
中でも健康食品・ダイエットサプリでCV数の伸びが顕著に。
お試しオファーではCPA5,000円以下、本品売りでもCPA20,000円前後などで獲得できたケースが数多くありました。
2019年8-10月の段階ではリニューアル前だったこともあり、YDN単体で月間1,000件以上を獲得できる企業は限られていました。
しかし、リニューアル後の4-5月は広告出稿控えや外出自粛などネット広告市場の環境好転も後押しして、月間CV件数1,000件超え、なかには10,000件超えの事例も出るほどとなりました。
弊社内でも、2020年上半期で最も獲得件数が伸びたメディアの1つといえます。
「50代以上」「男女」「2ステップ」に当てはまるなら、ぜひスタートを
これらの実績のとおり、リニューアルされたYahoo!のディスプレイ広告は、単品リピート通販企業にとってCPAを抑えた上で、CV件数の拡大が可能なメディアになりました。
WEB広告の担当者に伺うと「YDNはやっていたことはあるが、CPCが高いなど効率が合わずやめてしまった」という声をよくお聞きします。
しかし、今回の自動最適化の精度改善をみると、選択肢から外すのは大きな機会損失と捉えています。
特に以下3つのいずれかの条件に当てはまる企業は、ぜひスタートすることをおすすめします。
条件1:ターゲット顧客の年齢層が40代以上
たとえば、ユーザー増加が著しいSNSや動画メディア、キュレーションアプリなどの場合、メインのユーザーは10〜20代などの若年層ユーザーが多くを占めています。
拡大しているメディアでも、ユーザーの年齢属性など自社商材との関係から広告出稿には適さない場合も。
一方、Yahoo!は「40代以上のユーザー」が約63%と多い傾向にあります。
単品リピート通販におけるメインの顧客層は40代・50代以上のケースがほとんど。
中高年層のユーザーにとっては、PCを通して馴染みあるメディアというのも強味に働いていると考えています。
条件2:男女とも購入できる商材
同じくSNSやキュレーションアプリなどでは、女性が圧倒的に多いメディアもあります。
そのため、男性ユーザーの数は少なくなることも。
一方、Yahoo!の特徴は男性の割合が比較的高く、ユーザーの男女比はおよそ半々、デバイス別にみるとPCでは男性ユーザーが過半数を占めています。
このことから、他メディアではなかなか獲得が難しい育毛剤など男性向けの商材でも獲得がしやすいという結果が出ました。
そのほか、シニア向けの健康食品やお悩み解決系の商材など、男女を問わない商材でも拡大性が期待できます。
もちろん、ダイエットサプリやコスメなど女性メインの商材でも、獲得実績が出ています。
条件3:2ステップ販売をしている
Yahoo!広告で特徴的なのは、定期購入などへの「引き上げ率」の高さです。
参考:通販の「引き上げ率」とは?計算方法からマーケティング事例まで、3分で理解
原因はまだ定かではないですが、PCでの獲得比率が他メディアに対して高いのが特徴です。
PCを開くユーザーは腰を据えて吟味し購入に至るので、納得度が高いと言われています。
したがって、お試し購入時点でニーズが顕在化しており、「本気度」も高いユーザーが相対的に多いことも影響していると推測しています。
お試しオファーから定期購入などへの引き上げを行っている企業では、仮にCPAでは効率が合わなくても、CPOで見た時に効率が合うケースが多くみられます。
今回は、リニューアルされたYahoo!のディスプレイ広告についてご紹介してきました。
配信アルゴリズムの大幅な改善に伴い、これまでよりも高い精度でターゲットに広告をあててられます。
「新規獲得チャネルを増やしたい」「CPAやCPOを改善したい」とお考えのEC通販企業様は、ぜひ取り組んでみて下さい。