新規顧客の引き上げ率や定期顧客の継続率に、大きな影響を与える「同梱物」。お客様と通販企業の距離を縮めて親しみをもってもらい、リピート購入を促すために有効な、同梱ツールの事例を紹介します。
目次
初回同梱物のリニューアルで、引き上げ率が1.5倍に
「引き上げ率を高めたい」といったご相談をいただくとき、その企業様が商品発送時に同梱しているチラシやパンフレットなどを見せていただきます。
その時によく出くわすのが、企業として発信したいメッセージとターゲット顧客の気持ちや知識レベルがズレているように思えるケースです。
ある健康食品企業では、悩みや効果効能について具体的に説明しづらいのが難点でした。
成分も、その分野で有名な成分と比べて、認知度は劣る成分。
そのため、「成分の効果を知ってもらいたい!」という思いを反映させて、初回同梱ツールを作っていました。
この成分を、なぜお客様があえて選ぶのか?
購買動機を深掘っていくと、ある理由が判明しました。
「○○(=認知度No.1の成分)を買って、周りにバレると恥ずかしい」
「△△(=その企業が商品化した成分の原料素材)なら、安心感がある」
といった理由でした。
そこで、同梱ツールを全面的にリニューアルすることに。
お客様にとって「商品を続けることで、生活がどのように変わるか?」が分かりやすいように、マンガを取り入れたストーリー形式の冊子などを制作したところ、引き上げ率が1.5倍(健康食品通販)にアップしたことがありました。
敷居を下げた同梱ツールの事例、4タイプを紹介
先ほどの事例のように、企業としては商品や成分に思い入れがあったり、お客様には「こう使ってほしい」「こうなってほしい」という想いが強かったりします。
しかしお客様にとっては、成分についての本格的な説明は難しかったり、企業が推奨する「正しい使い方」はハードルが高く思えたりすることも。
そこで有効なのは、マンガや情報誌風、絵本などを取り入れて、敷居を低くしたコミュニケーションです。いくつか事例を紹介しましょう。
「ストーリー漫画」で、ハッピーな未来を見せ、継続を促す。
企業視点ではなくユーザー視点、スペックの理解より悩みへの「共感」や解決への「憧れ」。
それらを表現したツールとして有効なのが、「マンガ」です。
堅い内容ではなく、少し砕けた感じのテイストにすることで、お客様にも楽しんでもらえるように展開します。
購入1回目では前篇の記事でも解説した基本ツール5点を入れたうえで、2・3回目にはマンガを取り入れるなど、バランスをとるとよいでしょう。
特にマンガが有効なのは、具体的な効果効能でBefore-Afterの変化を表現できない商材。
たとえばダイエットやコンプレックス系のサプリメントです。
お客様の変化をストーリー形式で伝えられれば、「商品を使い続ければ、どんなハッピーな未来が待っているか?」をイメージしてもらいやすくなります。
また、20〜30代など若い顧客には、マンガがより馴染みやすいでしょう。
「使い方ツール(ウラ技編)」で、実感を高め、継続使用を促す。
商品をしばらく使ったお客様が、購入をやめてしまう理由として多いのが、「実感がない」です。
したがって購入2回目以降も、効果を高める使用方法を引き続き伝えましょう。
購入1回目でオーソドックスな使い方を伝えたなら、2回目は「ウラ技」などバリエーションを広げるとよいでしょう。
特に化粧品で効果的なのが、「スペシャルケア」。
定期コース離脱の原因として多い、「商品が余ってしまった」が起こらないための解決策は、顔以外にも使ってもらうことです。
「お顔以外の肌も乾燥しています。保湿をぜひ!」や「肘やデコルテにも塗ってみてください」など、見えない部位のケアの大切さと正しい方法を伝えましょう。
スタッフとの「コミュニケーション冊子」で、お客様と“心の距離感”を縮める。
リピート促進にあたって効果的なのが、スタッフとのコミュニケーションなどによって、売り手である会社に親近感を抱いてもらうことです。
そこで有効なのが、「健康コラム」や「美肌 BOOK」といった、リーフレット形式の「コミュニケーション冊子」です。
載せる内容は、必ずしも商品に関連するテーマ出なくてもよいでしょう。
ダイエットに良い情報からスタッフの紹介など、商品購買ではなく、お客様とのコミュニケーションを目的とした展開にしましょう。
スタッフ個人個人にも、写真やイラストで出演してもらえると、より身近に感じてもらいお客様個人とスタッフ個人とのつながりも生まれやすくなります。
新規のお客様専用に情報量を絞り込んだ「入門編冊子」
商品パンフレットやコンセプトブックを見ると、初めて買った方にとっては不必要なほど、商品や成分の解説が詳しすぎる場合があります。
特にシニア層には、文字が小さいと読みにくくなってしまう弊害も。
そこで、テキスト量を思いきって減らし、「イラストを挿入する」「マンガ形式にする」など工夫を取り入れると、冊子の印象は大きく変わりぐんと読みやすくなります。
イラスト・マンガを交えた「入門編冊子」
企業が伝えたい情報VSお客様が求めている情報、ギャップはないですか?
これまで紹介した4タイプをご覧になって、「こんな内容を伝えてしまっていいんだ!」と驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
同梱ツールでは、時には、商品から離れてしまっても構いません。
美容・健康情報がお客様の役に立てたなら「良いことを教えてくれる会社」と喜んでもらえますし、スタッフ紹介を読んだ方からは「親しみがもてる企業」といった印象を抱いてもらいやすいでしょう。
冒頭でも述べたとおり、「クライアントが商品から伝えたいメッセ—ジ」(企業視点)と「実際に購入した人が求めている情報」(お客様視点)は異なるものです。
もちろん企業として伝えなければいけないメッセージもあります。
初回同梱物の基本5点についての記事でも解説しましたが、「挨拶状」や「商品パンフレット」など「企業視点」の情報はしっかりと押さえて用意しましょう。
それらの基本ができたら、企業視点から離れて「お客様が何を求めているか?」「どんな情報を好むか?」「どうすれば、より分かりやすく伝えられるか?」という視点から考えてみるのもよいでしょう。
商品について必要性を理解してもらい、継続することの価値を認識してもらえたら、次に大事なのはお客様との心理的な関係構築です。
今回紹介したような事例も参考に、「お客様との絆を深める方法」を考えてみてください。