中国ECにおけるプロモーションで最も注目を集めているのが「KOLマーケティング」です。
しかし、日本企業で費用対効果を合わせた成功パターンを確立した例はまだ多くはありません。
化粧品や健康食品など単品リピート通販における、KOLマーケティングの失敗・成功事例をテストから見えてきたポイントとともに解説します。
中国へ越境ECで進出する方法をまとめましました。
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目次
KOL(インフルエンサー)は、中国EC市場で”はずせない”販売チャネル
KOLとは、「Key Opinion Leader」の略です。
日本でいうところの「インフルエンサー」にあたり、芸能人やSNS上で一定数のフォロワーを抱えるなど影響力をもった人々のことです。
「インフルエンサー」と似ていますが「KOL」は「インフルエンサー」よりも特定の分野において高い専門性や知識を持っています。
Weibo(微博)、WeChat(微信)、TikTok(抖音)などのSNS・動画アプリを中心に、100万人ものフォロワーやファンを持つ方も。
中国では、商品について「調べつくしてから買う」という商習慣から、商品の情報や使用感などを発信するKOLが消費者に及ぼす影響は非常に大きいです。
トップKOLになればフォロワーの数は、Weiboで1,800万人、tiktokで3,400万人程にもなります。
そのためEC通販でもKOLに商品を提供、プロモーション費用を支払ってPR投稿をしてもらう「KOLマーケティング」が盛んに行われています。
日本のEC通販企業が中国市場で販売する場合も、広告費の約7割をKOLに割く企業もあるほど新規獲得に欠かせないチャネルです。
最近では、KOLによるSNS上での「ライブコマース」も盛んになってきています。
テレビショッピングやインフォマーシャル(CM)のように、WeiboやTikTok、RED(中国版Instagram)などの各プラットフォームからライブ配信を行うPR方法です。
KOLを使ったマーケティングは、ツールを問わず使われその影響力は絶大です。
たとえば、
・ライブコマースの配信1回で1,000万円の売上
・化粧品のライブコマースで15,000件を15分で販売
・健康茶のSNS投稿で、4,000件販売
など、大きく売上に貢献しています。
情報の信憑性が重要視される中国において、KOLの影響力はますます強くなってきていることがわかります。
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投資を”水もの”にせず、爆発的な売上を生み出す方法
しかし、KOLマーケティングは運用型広告とは異なり、勝ちパターンを見つけるのが難しく再現性や予測可能性が低い面があるのも事実です。
そのため広告の費用対効果の予測が外れることも。
なかには、「約4,000万円の費用をかけたにもかかわらず、CVは数件」といった日本企業での大きな失敗もありました。
KOLマーケティングは大きく拡大が可能ですが、いかに費用対効果を合わせられるかが成否をわけるポイントです。
そこでスタートアジアジャパンでは、ダイレクトマーケティングにおける運用型広告の考え方を、KOLマーケティングにも導入しました。
商材や顧客層に合わせて、最適なKOLはどんな人か、投稿する内容や発信のタイミング、適切な頻度を見つけ出すためにテストを重ねてきました。
ステップ1:フォローワー1〜5万人のKOLから、100万円前後の予算でテスト
テストの考え方は運用型広告と同じで、「小さく産んで大きく育てる」イメージです。まずはリスクを最小限に抑えるために、100万円程度の予算規模からトライすることをおすすめします。
中国はフォロワー数に応じて「KOL」のランクが分かれています。
まずは、「セミプロランク」と呼ばれるフォロワー数1~5万人のKOLから5~10人選びます。
一人に対しておよそ10-30万円ほどの費用を支払うのが相場です。
中国のKOLは個人やチームなど大小合わせて、1,000万人はいるといわれています。
その中から売上に貢献するKOLの選定ポイントは、フォロワー数の多さだけではありません。
投稿頻度や、いいね!の数またはコメントなどのリアクションの多さなど、フォロワー数以外の部分にも目を向けることが重要です。
また、フォロワーの帰属意識の高さはプロモーションの結果にも大きく影響します。
たとえば化粧品では、「ファッションやライフスタイルなどを発信して、40代から支持を集める女性」や「容姿もきれいで知識も豊富な20代の美容研究家」などの選定ポイントが考えられますが、ターゲット層によりフィットする方を選んでいきます。
KOLは個人の方や事務所に所属している方など、活動方法はさまざまです。
実際にPR投稿してもらうにあたっては、SNSのアカウントなどから直接連絡する、あるいは事務所経由で交渉します。
取引が成立したら商品を送付し、実際に使ってもらい商品の特性や使用感などを自身のSNS、動画アカウントで投稿という流れです。
主に使われるSNSは、TikTokやWeibo、Redなどです。
ステップ2:成功パターンを踏襲して、1,000万人のKOLから選定・拡大
テスト期での広告効果は、KOLによってばらつきがあります。
効果検証をして拡大期には売上の多かったKOLに再度投稿してもらったり、同じタイプのKOLを選んで広げていくのが王道です。
選定には年齢や性別、職歴などのほか、専門性や発信スタイル、フォロワーの属性などを検討して共通する方をチェックしていきます。
たとえばサプリのPR投稿にふさわしい人を探す場合は、
・ダイエット情報を発信している人
・体づくりやトレーニングに詳しい人
・学術的な知見がある人
・さまざまなサプリを試して体験談を投稿する人
などが想定されます。
そのなかでも、ステップ1で多く販売してくれたKOLから近い属性を持った人を選びます。
このようにKOLのオーガニック投稿をメインとして、月間1,000万円前後の予算をかけて、2,000~3,000万円前後まで売上拡大を目指します。
ステップ3:「1時間のライブ配信で数万件販売」など、PR効果は“青天井”
フェーズ2で費用対効果が合ってきたら、フォロワー数が1,000万人規模のKOLにも依頼し売上拡大を図っていきます。
費用感は、1投稿で数千万円から数億円程までに増えていきます。
さらにオーガニックの投稿に加え、PR動画(TikTok)やライブコマース(アリババ)、ニュースリリース(Weibo)などプラットフォーム側とのタイアップも行い、露出を拡大していきます。
「それだけの費用をかけてどれくらい売れるのか」という質問をよくいただきます。
しかし1回1時間のライブ配信で、「数万件の受注」や、「1億円以上の販売実績をあげた」というKOLも少なからずいて、PR効果は青天井といえます。
中国のEC市場規模は、2020年に約180兆円に到達するといわれています。
世界最大のプラットフォームを運営するアリババの売上は、「コロナ前後で約1.3倍にも伸びた」といわれておりまだまだ成長途上です。
参考:アリババグループの2020年4-6月期の決算
広告費のうち大部分をKOLに充てるのが主流になってきている点を考えると、約180兆円の半分近くの売上はKOLによる市場拡大といっても過言ではありません。
中国や米国など健康美容ECの先行企業では、すでに年商数千億円や1兆円にものぼる販売実績も出ています。
これから参入する日本企業も、早い段階で「年商30億円」を目指すことは十分可能です。
30億円のうち3分の2程、20億円の売上をKOL発信のプロモーションで作り出すことができます。
そのため、数億〜10億円の広告費用を投下しても十分に利益回収が見込めるラインであるといえます。
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広告費の7割をKOLに投資する企業も!口コミやリスティングで相乗効果も
中国でのEC通販では、新規獲得はKOLを中心に行っていきますが、せっかく投資した広告費を最大限に活用するためにも、同時並行で仕掛けていくことをお勧めしています。
プロモーション全体としては、モール内・外のメディアに分けることができます。
たとえば、モール内ではライブコマースやアドネットワークです。
TikTokやWeiboなどモール外部のメディアも組み合わせて配信を行います。
モール外:口コミの形成にも一定の投資をしてファンづくり
中国人は物を買う際に、徹底的に口コミサイトを調べてから購入することが習慣化しています。
そこで事業開始当初は、安定した評価を得るために口コミの形成に一定の投資を行う必要があります。
口コミアプリのなかでは写真投稿が可能な「RED(小紅書/レッド)」と呼ばれるものが主流になっています。
REDはInstagramのような仕様でECとしての利用率も高い、さまざまな商品の口コミ投稿ができるプラットフォームです。口コミ機能がある中では中国最大級といえ、まずは、ここへの露出を目指します。
KOLマーケティングで直接のCV獲得はもちろん、認知度を高め口コミ投稿が増えれば、プロモーションの相乗効果も期待できます。
中国でのプロモーションは費用対効果が予測しづらいとお伝えしましたが、一方で施策が当たれば数万件と爆発的に売れ、「売り切れ」になるケースもあります。
KOLの影響力やSNSの拡散性を土台とし、ダイレクトマーケティングの再現性を組み合わせることで、日本製品の販売促進を図っていきたいと考えています。
モール内:リスティング・アフィリエイト広告で刈り取り
前回の記事でも紹介したように、中国ECの主戦場は自社サイトではなく「Tmall」(越境ECはTmall Global)に代表されるモールでの販売です。
モール内でも広告メニューが豊富でリスティング (直通车)、アドネットワーク(钻展)、ライブコマース(直播)、アフィリエイト(淘宝客)の実施が可能です。
モールでの販売当初は、リスクを抑えるためにリスティングやアフィリエイトを中心に確実に売上を積み上げていくことが重要です。
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低リスクで中国本土へ進出するなら
2020年現在、中国のEC市場は大きく発展。
更に海外企業の受け入れを推奨する国の政策なども追い風となり、日本企業が進出するには絶好の時期が到来しています。
日本企業の中国進出をご支援するなかで、リスク低く進出するには越境ECが最適と考えています。
なかんずく、越境EC市場の7割を占めるアリババが運営するモール「Tmall Global(天猫国際)」への出店は鉄板ともいえます。
私たちスタートアジアは今年、このTmall Global(天猫国際)のビジネスパートナーとして最高ランクの5つ星の評価を頂きました。
星を保有する世界中のビジネスパートナー4,000社の中で、日本企業で5つ星は2社のみです。
また日本で唯一、モール運営からプロモーションまでを一気通貫でご支援できる体制を構築しています。(弊社調べ)
「越境ECに興味がある」「自社ブランドを中国で展開したい」「海外に売上を分散したい」などの企業様はぜひご相談ください。
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