単品リピート通販の事例から、

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中国越境EC、日本企業の売上成長率は年間500%!「脱・定期モデル」でも伸びる理由

越境ECの中でも中国市場が参入に絶好のタイミングを迎えているのは、過去にもレポートしたとおりです。

日本製品の人気に加え、中国国内の所得水準アップや政府の輸入規制緩和が行われ、日本企業にとって進出しやすい環境が整ったことが理由です。

2019年など比較的早い段階で事業を始めた日本企業の中には、「1年後に年商6億円」など、ハイスピードで成長する事例がみられました。

中国市場での販売を試行錯誤するなかで、日本の「定期購入モデル」とは異なる収益モデルがフィットすることが分かってきました。

広告投資で、MR(メディア・レーション)は2以上と高水準

 
中国越境ECにおいて最も特徴的な点は、広告の投資効率の高さです。
 
広告実施の費用対効果をはかる指標にはMR(メディア・レーション)が使われますが、中国越境ECでは「 MR2以上」が一般的です。
つまり100万円の広告費をかけた場合、200万円の売上が初回購入で達成できるということです。
いわゆる「一発回収」が可能となり、広告費をかけた分だけ事業拡大につながります。
 
 

初回は“お試し”ではなく、数千円の本商品を購入

 
日本では初回購入の際に、本商品よりも安価なお試し商品やトライアル・セットなどを販売するケースがよくみられます。
そして初回で出た赤字分は、定期コースをはじめとしたリピート購入で回収するビジネスモデルが一般的です。
 
一方中国では、「お試しオファー」から購入する顧客もいますが、商文化の違いから多くの中国人ユーザーは初回から本商品を購入する傾向があります。
口コミサイトなどで商品を入念に調べ、良いものであると確信できれば一定の価格を超える商材でも初回から本商品を購入します。
 

日本と中国の通販文化の違い

日本と中国の通販文化の違い


 
健康・美容のEC市場では、日本ほど競争環境が飽和していません。
そのため、数千円の化粧品・サプリなどが広告から次々と売れていきます。
 
さらに、1つのアイテムを購入する際にカート画面で「あわせ買い」をすすめると、追加購入する顧客の割合は30%前後にのぼります。
たとえば、「美容液を買ったユーザーが、洗顔用石けんも合わせて買う」などです。
日本ではクロスセルしにくい健康食品でも、「コラーゲンゼリーを買ったユーザーに、置き換えダイエットをおすすめして追加購入につながった」という成功事例も出てきています。
 
 

売上の40%を広告費に投下して、年商10億円近くまで一気に成長

 
このように、中国のEC市場では積極的に広告投資を行えば高いリターンを得ることが可能です。
最近では、進出してから約1、2年で年商5~10億円にまで拡大するなど、急速に売上を伸ばす企業も出てきました。
専門性が高い中国版のインフルエンサー「KOL」をうまく活用できている企業では、新規獲得件数が月間2万件ということも。
 
高いリターンが見込めることから、売上の40%を広告費として投下する企業は珍しくありません。
日本市場の水準を大きく超える比率ですが、思い切った投資を行っても一発回収を見込めるのが中国ECの特徴です。
高いMRで広告費を回収、さらに広告予算を増やして拡大というサイクルを繰り返すことで、倍々式の成長が可能になっているのです。
わたしたちスタートアジアで支援している企業の売上成長率は飛躍的に伸びており、直近1年間で平均400~500%に達しています。
 
 

定期購入が「事実上禁止」のなかで、リピートは?

 
一方、中国国内で難しいのが定期コースなど自動継続してもらうビジネスモデルです。
日本では単品リピート通販の収益の中心といえるほど一般的ですが、中国では事実上この仕組みが禁止されています。
過去に、課金詐欺などのビジネスがオンライン上で横行したことに起因しています。
同様の詐欺を防ぐために自動継続購入は禁止され、決済ごとに本人の購入意思確認が義務付けられました。
 
それでは定期コースに頼らず、顧客から自発的にリピート購入してもらうためにはどうすればよいでしょうか。
 
中国市場で2回目に購入するリピート(F2転換)率は日本より圧倒的に低く、施策を打たない状態での自然リピート率は10%前後です。
しかし、適切な施策の実施で30%ほどにまで改善した事例も出てきました
リピート率の改善が確認できた施策を2つご紹介します。
 
 

施策1:初回購入直後は、「ステップメール」をSMSで

 
中国の文化として、電話によるアウトバウンドコールやインバウンドコール、DMでのプッシュ施策は主流ではありません。
日本は電話でのお問い合わせが多いですが、中国では電話よりもチャットが使われています。
 
チャット以外のツールで活用されているのがSMS(ショートメール)。
他のツールから反応が得られない中国で、SMSの開封率は12%以上と比較的高い割合といえます。
日本では馴染みが薄いかもしれませんが、一度買ってもらったお客様に商品の良さや継続の必要性を伝えるなど、関係性を維持するのに有効なチャネルです。
 
実際にはECモール内のCRM機能を使って、ステップメールのように購入から3日後、7日後、14日後とSMSでアプローチしていきます。
 

SMSステップメールによるアプローチ

SMSステップメールによるアプローチ


 
 

施策2:キャンペーンや会員制度など、価格設計も重要

 
越境ECで成功の可否を決めるのが価格設計です。
 
中国では、年間を通してECモール全体でのキャンペーンが開催されます。
たとえば、有名なものでは11月11日に行われる「独身の日」キャンペーン。
1日の取扱高が楽天市場の年間流通総額に匹敵するほど大きな盛り上がりを見せ、日本のメディアでも報じられるなど世界的なニュースになりました。
 
中国の消費者もキャンペーンのことはよく知っていて、日頃から気になった商品は買い物かごに入れておき、キャンペーンの際にまとめて購入します。
 
キャンペーン期間中はCVRが普段の5倍近くになることも。
通常期が5-10%だった企業のCVRがキャンペーン時には30-40%になる事例も出ました。
 

天猫の1年間の売上推移

天猫の1年間の売上推移


 
キャンペーンに参加するには、モール側から一定以上の割引率が求められます。
そのため元の価格設定を低くしている企業では、キャンペーンではさらに大幅に値引きしなければならず売れば売るほど赤字になり、進出に失敗するケースも見てきました。
そこでモールで販売する通常価格は日本の定価より高めに設定して、キャンペーン時に日本の定価程度で販売して価格体系を維持します。
 
アリババ推奨の価格体系
アリババ推奨の価格体系
 
このような価格設計はロイヤルティ・プログラムなどの会員制度や、ポイント制度の活用にも有効です。
 
GMOリサーチ株式会社が行った日中における「ポイントサービスに関する実態調査」によると、日本では店舗で食料品を購入する際にポイントを貯めるという回答が最多でした。
一方で、中国ではネット通販での買い物が上位を占めることから、通販におけるポイント制度による購買行動の促進が期待できます。
また、景品の交換を目的としている消費者が多いこともわかっています。
 
具体的には、購入回数や消費金額に応じて会員レベルを設定します。
会員レベルに応じて、「○○会員さま限定プレゼント」や「○○会員様だけ××%OFF!」など特別な対応をすることで帰属意識を高め、自発的なリピート購入につなげられます。
 
 

中国市場への参入にはECモールやKOLの活用を

 
過去の記事で台湾や香港、東南アジアなどでは、日本の定期購入モデルが成功したとお伝えしてきました。
しかし、これらの国以上に商慣習が異なる中国では、全く違う事業モデルや販売方法が必要なことがわかってきました。
 
「自社サイトでの販売よりモールで販売」や、中国版のインフルエンサー「KOL」といった日本とは異なる要素を、ダイレクトマーケティングの文脈にうまくフィットさせられるかが成功を左右していきます。
 
他にも成功している日系企業の特徴として、日本の実店舗をもっていることがあげられます。
実店舗を訪れた中国のユーザーの「本当にあった!」や、「よかった!」などのポジティブな口コミが多くなると、信頼度が上がり獲得件数にも反映されるようです。
「日本ブランド」は中国でも強力な武器になります。
 
そのため日本に実店舗を持たれている場合や、商品点数を豊富に揃え「合わせ買い」に対応できる通販企業様は、進出後に一気に拡大できる可能性があります。
 
新規獲得の効率アップとリピート購入を促す施策、両面から売上アップをはかっていければ中国市場参入のチャンスをものにできるのではないでしょうか。
 
中国進出をお考えでしたら、ぜひ大幅な成長が期待できるこのタイミングでご検討してほしいと考えます。