前回の記事では、大手メーカー通販が広告クリエイティブで、通販専業事業者の「売れるテクニック」を取り入れようとする動きを紹介しました。
ところが大手企業では、社内考査や業界動向を気にした自主規制などによって、テクニックをそのまま取り入れようとしても難しいことも。
そんなジレンマを打開するため、デザインのトーン&マナー(トンマナ)で印象を調整して、ブランドとレスポンスを両立する方法をお伝えします。
チラシ広告で優良顧客を獲得するための方法を分かりやすくまとめました。
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社内考査や自主規制、大手メーカー担当者のジレンマ
大手メーカー通販の広告制作をお手伝いすると、「社内考査が厳しいので、通せるようにトーン&マナー(以後トンマナ)を抑えてほしい」「ブランド・イメージがあるから、コテコテの通販っぽい広告はできない」といったご要望をいただくことが多くあります。
ところが、そのような制約条件をそのまま受け入れて広告を制作すると、レスポンスが落ちてしまうことが一般的です。
たとえば、ある大手メーカーで担当者からの要望によって、ブランド・メッセージの色合いが強い広告をテストしたところ、20%以上もレスポンスが落ちてしまったことがありました。
ブランドを維持しながらも、レスポンスの獲れる広告をつくることはできないのでしょうか?
トンマナの工夫によって考査基準を守りながらも、レスポンスとブランドを両立させるデザインのテクニックをご紹介します。
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トンマナを守りながらも「売れる」、3つのテクニック
前提として押さえておきたいのが、通販専業事業者と大手通販メーカーのトンマナの違いです。
たとえば色では、通販専業事業者では使用する色の種類も多く、原色など目立つ色も使用。
「通販っぽい」配色を好んで使います。
一方大手メーカーでは、色も2〜3種類程度で、原色よりはなじみが良い色が好まれます。
トンマナ、7つの違い
テキスト面でも、通販専業事業者では「ゴシック(太)」や「丸ゴシック」など視認性が高く、インパクトが強いフォントを使用。
ホワイトスペースを極力減らし、コピーを詰め込み説得材料を増やします。
対して大手メーカーの広告では、「明朝」や「ゴシック(細)」など落ち着いたフォントが好まれます。
またホワイトスペースも、一定程度は空けて品位を保つことが望ましいとされます。
このような大手メーカーならではのトンマナを活かしつつ、「売れる」デザインへと変換するためには、いくつかテクニックがあります。
法則1:キャッチコピーのジャンプ率を大きくする
広告のレスポンスを高めるために即効性があるのが、キャッチコピーを目立たせること。
通販専業事業者の広告では、キャッチコピー周辺だけ「ベースとは異なる色を使う」「フォントを変更する」「袋文字など遊びを入れる」など、目立つためのデザイン上のギミックが活用されます。
ところが大手メーカーでは、このようなデザイン上の処理は「ガチャガチャ」して「安っぽい」印象を醸し出してしまい、「ブランド毀損への懸念」や「社内のデザイン規定への抵触」などのため難しいのが実情です。
そのような制約条件のなかでも、キャッチコピーを目立たせるための1つのテクニックが、文字のジャンプ率を大きくすることです。
他の小見出しやテキスト箇所と比べて、キャッチコピーが大きくなるようにフォントを調整します。
そうすれば、通販専業事業者で好まれるデザイン処理をせずとも、キャッチコピーを目立たせられ、レスポンスへの好影響が期待できるのです。
法則2:「配色」「フォント」「コンテンツ」など要素を絞る
通販専業事業者の広告の特長は、ホワイトスペースを極力減らして、レスポンスにつながりそうな要素が「これでもか」と詰め込まれていることです。
コンテンツ量が増えても読みやすいように、ビジュアル面を工夫。
斜体などデザイン上の遊びを入れたり、原色など目立つ色も含め色の種類も多く使用されます。
ところが大手では法則1でも説明した理由から、デザイン上の「遊び」を取り入れるのは難しいことも。
色も2〜3種類程度で、原色よりはなじみが良い色が好まれます。
ホワイトスペースも適度に残した方がよいなど、デザイン上の制約が大きいのが特長です。
そこで必要なのが、配色やフォントを厳選するのに合わせて、コンテンツも絞ること。
「あれもこれも」と欲張らずに、レスポンスにプラスの影響を与える要素を厳選して載せるのがポイントです。
「お客様の声」や「成分の解説」、「研究者メッセージ」「販売実績」「開発エピソード」などさまざまな要素が候補として浮かぶなかで、特に大手メーカー通販でレスポンスが期待できるのは「成分」や「研究」などブランド力への信頼を喚起できるコンテンツ。
(参考:「レスポンスだけでなく引き上げ率も、クリエイティブしだいで改善する!?-「企業姿勢」を訴求した広告のテスト事例-」)
キャッチコピーやメインビジュアルだけでなく、コンテンツの差し替えでもA/Bテストを行い、ホワイトスペースや上品な色使いを維持しながらも、一歩ずつ「売れるチラシ」を形づくっていきます。
法則3:ネガティブとポジティブの使い分け
通販広告で一般的にレスポンスが獲りやすいのが、「ポジティブ」よりは「ネガティブ」な訴求と言われます。
通販専業事業者では、お客様に「悩み」を連想させる写真やイラストなどを、メインビジュアルとして用いる広告が多く見られます。
ところが大手メーカー通販では、ネガティブなビジュアルはブランドイメージの観点から好まれないことも。
そこで有効なのが、ネガティブとポジティブの使い分けです。
たとえば、不眠症の方が愛用するサプリを例に考えてみましょう。
ビジュアルは夜眠れずに悩んでいるシーンではなく、朝スッキリと起きているシーンを使用します。
一方コピーで、「眠れない」とネガティブな表現を用いて、読み手には悩みを想起してもらうことを狙います。
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レスポンスとブランドを両立して、対等以上の戦いを
これまで見てきたようなデザイン・テクニックを用いて、社内の考査や業界内の立場などをクリアできたことが多くありました。
一見「通販っぽくない」「コテコテではない」トンマナでも、レスポンスに貢献する要素はしっかりと残すことができるのです。
大手企業としての品位は保ち、ブランドは維持しながらも、「売り」の面ではできるだけ通販専業事業者に引けをとらない。
このような広告を制作できれば、大手メーカーにはこれまで築いてきた知名度やブランド力があるので、通販専業事業者の広告とも対等以上に戦うことができます。
大手メーカーでは社内でも通販事業への理解が浅く、レスポンスとブランドの両立に悩まれているご担当者が多くいらっしゃいます。
今回紹介したようなテクニックを、そのメーカーらしさを残した「売れる広告」づくりに役立ててもらえることを願っております。
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