コロナ禍での健康意識の高まりなどで、追い風を受けたサプリメントなどの健康食品通販。コロナ禍が明けたことが日常になりつつある2023年後半、マーケットはどのように変化しているでしょうか?レスポンスの変化や各プレイヤーの動向、当たっているクリエイティブの傾向をオフライン広告の事例を元にお伝えします。
売れるチラシクリエイティブを作る方法をまとめました。
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規制の厳格化や競合の参入増加で、“差別化”に苦戦
コロナ禍では、健康食品を扱う通販企業の多くは、免疫力アップを目的とした健康意識の高まりや「コロナ太り」解消のためのダイエット志向も高まり、これらの追い風を受けて売上が好調でした。
しかし、2023年のレスポンス率はコロナ禍以前と同水準に戻ってきています。薬機法など広告表現規制が厳格化していることや、競合の増加などその他の課題も重なり、苦戦する企業も少なくありません。
特に競合数の増加により、同じカテゴリーでの商材数が増え、悩みや機能、効果効能についてクリエイティブで「言えること」も各社似通ってきました。以前から重要ではありますが、より差別化できるか?がポイントになっています。
たとえば一部の大手メーカーや、通販専業企業の歴史ある企業では、
- 企業規模や認知度を訴求
- 研究結果の裏付けの提示
- “売れてる感”を出すため販売実績の強調
- 芸能人の起用
など、長年培ったブランド力や資金力を活かして広告を展開するケースが見られました。
このように、各社とも差別化の方向性を試行錯誤しています。
※画像はイメージです。実際のクリエイティブのキャッチコピーとは異なります。
ただ、上記のような訴求にも疲弊が起きており、これまでのようなクリエイティブの工夫だけでは違いを出しづらくなってきています。
では、それ以外の方法はないのか?といくつもテストを重ねる中で、クリエイティブの表現方法を工夫することでレスポンスがアップできた事例が複数出てきましたので表現のパターンをまとめました。
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潜在層の悩みを喚起して、レスポンスを高めたチラシ事例
何を工夫するか?というと、悩みやニーズの顕在度がまだ浅い「潜在層」へアプローチする場合の表現です。この数年間は、ブランドの信頼性や商品の優位性をわかりやすく端的に示す、顕在層向けの広告がよく出稿されていました。
ただ、競合も増え、今までのやり方では差別化に苦戦するケースも増えています。
そこで、潜在層向けに「消費者に新しい事実を伝えて、興味関心を高める」「ネガティブな情報によって、消費者の悩みを喚起し、自分ごとだと気づいてもらう」アプローチがうまくはまる場合もあります。
具体的なパターンを2つご紹介します。
パターン1:情報誌風のクリエイティブ
1つ目は、チラシのファーストビューでは、あえて商品のベネフィットや差別化ポイントを示さないパターンです。
B3サイズの二つ折りチラシの場合、一見チラシっぽくない情報誌のようなデザインにして、オモテ面では商品についてはほとんど解説をせず、「〇〇の数値を下げる方法とは?」という見出しに「マル秘情報」や「実はみんな知ってるあの△△」といったキーワードを散りばめます。
商品の購入までは検討していないけれども、漠然と悩みを感じている人や、関心がある人の目に止めてもらいます。
具体的には、チラシの中面に悩み解決の手法を書き、読み込んでもらい商品への理解を深めてもらう、という仕組みです。
中面は、たとえば
1. 「悩みの解決には○○の成分が有効」
2. 「でも、○○を食事だけからでは、△△をx本分など大量の摂取が必要」
3. 「そこで、◻︎◻︎(商品名)なら○○を1日に必要な量だけ簡単に摂れる」
といったロジックで、商品の必要性を感じられる流れに落とし込みます。
実際にこの流れでチラシを作成したある健康食品では、変更前のクリエイティブと比べてレスポンス率が130%アップしました。
デジタル広告でも、潜在層向けの広告では、バナーから商品LPへ直接誘導するより、記事LPを介して必要性を理解してもらった方が獲得効率が良くなる傾向もあります。
デジタル広告での知見を逆輸入しオフライン広告でも同様に、中立的な情報で興味関心を惹きつけてから、商品のベネフィットを啓蒙することで売れているといえます。
パターン2:消費者に問いかけるキャッチコピーに
2つ目は、「どうして〇〇なの?」「〇〇なのはなぜ?」など、消費者がよく抱く疑問をメインのキャッチコピーにする方法です。
たとえば、「〇〇値が高い、でもこれって何が悪いの?」「頑張ってるのに▲▲が減らないのはなぜ?」などの疑問を投げかけます。そして続きとして「実は、□□が…」「□□が足りていないから」など答えを記載します。悩みの解消方法をフックに読み進んでもらうことを意図している点は、パターン1と同様です。
広告では、「〇〇の吸収を抑える」「△△が消えた」などの商品のベネフィットを中心に悩みを解決する『答え』表現が提示されることが多いですが、「うさんくさい」「どうせ嘘でしょ」と疑念を抱きやすい層も少なからずいます。
そこで、逆に多くの消費者が疑問を抱く『問い』を出して、もしその問いがインサイトを捉えていれば、通常の広告では反応しない層にも注目してもらいやすくなります。ある健康食品商材では、この方法でレスポンス率が150%アップしました。
また、販売個数が多く認知度が高い商品では、「○○(商品名)って効果あるの?」といったコピーもくり返し出稿されていました。これも消費者の疑念に対してアプローチしていて、広告を見て気になっているけれど特に調べておらず「怪しいのでは?」と思っている方に購入まで踏み切ってもらう意図ではないかと考えています。
注意点:ブランドや商材ごとに異なるテスト結果も
ただし、上記のような方法論が全ての商材で当てはまる訳ではありません。
たとえば、ある商材ではパターン1の情報誌風のチラシでレスポンスが高まったので、近いカテゴリーの別の商材でもテストを行いました。その結果、従来の商材優位性と効能効果が一目で伝わるタイプのチラシが依然としてレスポンスが良い、というケースもありました。
ブランドや商材によって、ターゲット顧客は異なるため、どの訴求軸・表現手法が適するか?は異なります。まず最初のテストで複数の方向性を試しておくことが、自社に合った方法を見つける近道だと考えています。
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オフライン広告から、LTVの高いシニア顧客を獲得できる
新聞折込や同封同梱、新聞掲載などオフライン広告のご相談をいただくとき、必ずといってよいほど「デジタル広告と比べてCPAはどうですか?」という質問をいただきます。正直にお答えすると、デジタルと比べてオフラインの効率が良いケースはほとんどありません。
では、それでもオフライン広告に取り組む企業が何を評価し実施しているのかというと、大きく2つ。
1つは、シニア顧客へのアプローチです。シニア層のスマホの普及率は年々伸びていますが、使いこなせるか?というその割合は減ります。
電通の調査によると、週1回以上インターネットの検索・閲覧をする方は約65%、インターネットショッピングとなると約35%にとどまります。その点、紙媒体は身近で依然としてシニア層にリーチしやすいメディアです。
(参照:シニアのスマホライフ実態調査)
もう1つは、引き上げ率やLTVの高さ。特にカタログや配達物にチラシを同封する同封同梱は、“質の高い”顧客層にもリーチしやすくなります。届ける媒体ごとに読者の特徴があり、高所得者や帰属意識が高いEC通販会員などにアプローチできるため、デジタルやテレビなどよりもLTVが高くなる傾向があります。これは、複数の企業の顧客データの実数値でも明らかになっています。
実は、直近1年間で健康食品・サプリの有名企業がオフライン広告に参入するケースが相次いでいました。
たとえば、デジタル広告を中心に売上を伸ばしてきてWEBでの獲得が踊り場に来ている企業が顧客層や獲得チャネルを広げたいというケース。その他にも、健康や美容の悩みが深くなるシニア層の獲得をしたいとご相談をいただくケースもあります。
ターゲットがそもそもWEBでリーチできない商材へのアプローチはもちろんのこと、事業規模の拡大を目指されている企業様は、オフライン広告を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
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