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「共感してもらう」―”売れている広告”は「売り込み」から入らない vol.3ー

「”売れている広告”は「売り込み」から入らない」をテーマにお届けしている連載記事。
注目してもらい、関心を得ることに成功したら、次は読み込んでもらい「買おうかな!?」という気持ちになってもらうことです。

 

そのために有効なステップ、「共感」してもらうための工夫を解説します。

行動や感情のリアルな描写

 

「このシチュエーション、私もわかる!」
「この人もこんな風に悩んでたんだ…」
「これを使えば私もうまくいくかも」…

 

このように思ってもらうために一番シンプルですが効果的なのは、健康食品や化粧品など「悩み解決型商材」では、読み手の悩みにフォーカスして、共感することでしょう。

 

 

悩みにフォーカスするといっても、薬事法の制限のなかでは、症状や部位を書いてしまうことはままなりません。

 

一方、ある程度「強い」「インパクトのある」表現をしないと、読み手の心に残りにくいのも事実。
多くの通販広告担当者が悩まされるこのようなジレンマのもと、どのような打開策をとればよいのでしょうか?

 

体験談を注意深く読むなか見つかったのが、直接的な悩みの描写はそこそこにとどめ、それによって生じてしまった行動の変化や、感情の揺れ動きをリアルに描写することです。

 

なかでも読み手の感情を揺さぶるのが、映画やドラマの出だしで典型的な、
それまで幸せだった生活が、ある出来事によって一変。不幸な出来事に襲われる」
というストーリー
でしょう。

 

たとえばある耳サプリメントの広告では、「お客様の声」が以下のような構成で展開されます。

 

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同じような悩みを抱えている方なら、感情移入してしまいそうな逸話ですね。
このように、自分のつらかった過去を具体的なエピソード付きで、商品の使用者に語ってもらうというのが、特に健康食品の広告でよく見られます。

 

 

「恐怖訴求」はなぜ有効か?読み手を揺さぶる、赤裸々な描写

 

たとえばカルシウムのサプリメントのチラシには、骨折したという80歳強の女性の話として、

 

「なぜここまで放っておいたんですか!』と強い口調で告げられ、もう愕然とし、全身の血の気がサ~っとひいてブルブルと震えが止まりませんでした。」

 

という赤裸々な描写が見つかります。
家族が健康を失ったことに伴う悲劇がつづられている、酵素の健康食品の新聞広告もあります。

 

ある時、主人が体調を崩してね。
あの時は本当に大変だったわ。
毎日一緒に食事したり、楽しく出掛けたりしていた生活が一変。
工場は閉めなくちゃいけないし、毎日、朝から晩まで付き添う日々が続いてね。
お金もどんどん飛んでいって、旅行や趣味に時間を使うなんてとんでもない!って状態になってね。
私自身、心もからだも疲れきって・・。
暗い家に独りで帰ってきて、自然と涙がぽろぽろ、なんてことが何回もあったわ。

 

これらは、「恐怖訴求」と呼ばれるような、マイナスの感情の強い表現です。

 

ここまで極端な境遇に実際に陥った方は、読者のなかでもほとんどいないでしょう。
もしかしたら、「私にも分かる」という共感を期待するのは難しいかもしれません。
ただし、このような不幸話は、読み手の“感情を揺さぶる”という点で効果的なのかもしれません。

 

脳科学の研究では、人間が欲望を感じるとき、脳の中ではドーパミンという興奮物質が放出されることがわかっています。

 

下記のように、生理的な興奮が恋愛感情に結びついたという実験結果もありますが、購入判断に影響を与えると考えられるドーパミンを脳内で発生させるためには?を脳科学に基づいて研究するのも、今後のレスポンス広告の向かう先の一つとして考えられるでしょう。

 

 

コラム: 恋の吊り橋実験

 

生理的な興奮が恋愛感情に結びつく、という心理学の実験を紹介します。

 

ある渓谷に、2つの橋がかかっています。1つは、不安定に揺れる吊り橋。
もう1つは、安定している木の橋です。

 

ハイキングという名目で18~35歳までの独身男性を集め、この2つの橋を歩いてもらうのですが、彼らが渡りきったところである仕掛けをします。
若い女性アシスタントが男性に独りずつ話しかけて、簡単なアンケートに答えてもらい、別れ際に電話番号を書いた紙を渡しました。

 

後日、男性から女性に電話がかかってきたかというと、安全な木の橋を渡ってきた男性からは、約1割しか電話がかかってこなかったのに対して、不安定な吊り橋を渡った男性は、半分が電話をしてきました

 

どうしてこのように大きな違いが生まれたのでしょう?

 

不安定な吊り橋を渡る際に、男性には生理的な恐怖が生まれます。
このような緊張・興奮状態で放出される脳内物質が、恋愛をしたときに分泌する物質と同じだそうです。

 

なので、男性はその女性の魅力に対して興奮していると勘違いしてしまう、という原理です。
(参考:「あなたはなぜ値札にダマされるのか?」 オリ・ブラフマン 他 )

 

 

“二次的な悩み”に触れる

 

体験談を読むとよく語られているのが、
「悩みを解決しようと対策をすることによって、新たな悩みが発生する」という記述です。
このような“二次的な悩み”が共通して語られているのが、ムダ毛処理のためのローションの広告です。

 

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この場合“一次的な悩み”はムダ毛でしょうが、悩みはこれだけではありません。
ムダ毛を手入れしようとすると、「カミソリで肌が荒れる」「毛抜きが嫌だ」などの悩みが生じます。

 

これにも言及することで、「たしかにたしかに!」と共感してもらいやすくなります。

 

 

周りからのドキッとする指摘

 

また、体験談によく見られるのが、「問題には薄々気づいていたけど、他人から指摘されて改めて深刻だと実感した」という記述です。

 

コラーゲンゲルの広告に載っているお客様の声につづられていたのは、「老けている」と言われる悩み。
それをより強く感じるようになったきっかけとして、自分の子どもからの指摘が描かれています。

 

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言われてから、「さらに落ち込んだ」という感情が描写されることも多くあります。
以下は、口臭サプリの体験談からです。

 

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「そんなときに商品を知って使い始める」というストーリーが、この後に展開されます。

 

 

“敵”を設定する

 

「敵」となるような美容法や健康法、商品カテゴリなどを設定し、
「間違った○○のせいで、あなたの△△は効果が出てなかった」と訴えるパターンもあります。

 

たとえばある洗顔石けんの広告でよく登場するのが、「ゴシゴシ洗顔は美肌の大敵」という記述です。
洗顔の際、肌の汚れを落とすために、顔をゴシゴシこすっていると、肌が傷ついてしまいま
す。
そのため、陽射しなどのダメージを肌の中まで受けやすくなり、老けた肌の原因になるということが、わかりやすく語られます。

 

ここで読み手が共感してしまうのは、「あなたは悪くない」という隠れたメッセージでしょう。

 

自分の美容や健康が傷ついてきたのを、何か別のものに“責任転嫁”できれば、商品を買って新しい美容・健康法を試すのを、正当化できます。
このように、“悪者”に苦しんでいた自分が、“善い者”(広告の商品)の登場によって“ハッ
ピー”になるという構図は、他の広告でも見られます。

 

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このように単純化した「善悪二元論」の説明はわかりやすく、人々の心をとらえやすいのかもしれません。
「敵の敵は味方」ということわざがありますが、共通の敵を設定することで、お客様の「味方」として自分たちを捉えてもらい、親近感をもってもらいやすくなるのです。

 

 

コラム: ダイエー創業時の大反響チラシ

 

敵を設定することによって成功した広告として、「口コミ伝染病」(神田昌典)という本で紹介されているのが、創業時のダイエーで当時の社長、中内功氏が書いたというチラシです。

 

「見るは大丸、買うはダイエー 百貨店は歌舞伎座。ゆっくり商品を見る場所。
ダイエーはストリップ劇場。掛け値なしの裸の値段。
同じ品なら必ず安い。」

 

このキャッチフレーズが、当時大反響を巻き起こしました。

 

この言葉によって、中内氏は当時に不安の種だったインフレを敵に設定し、そしてダイエーは主婦の味方であると強調。
主婦は、自分たちの敵に立ち向かうものに共感する。

 

そして、その敵に立ち向かうために、ダイエーの店で買い物をしたというのです。
これは過激な言葉を使った例ですが、敵を設定するのは、ミッション(使命)と裏腹の関係にあるといいます。

 

「既存の製品ではなく私たちの商品をお薦めしたいのは○○だからだ」
「○○からお客様を救いたい」
「○○のような商品は断固拒否する」

 

このような、情熱をもって伝えたい創業時の想いを広告表現に落とし込めれば、お客
を惹きつけることができるのかもしれません。
(出典:「口コミ伝染病」 神田昌典)

 

 

“共感”を“購入”まで落とし込む、「PASONAの法則」™

 

これまで、共感を得る表現を紹介してきましたが、いくら共感してもらっても、商品を「買う」という行動には転換しにくいもの。

 

ここで、”共感”から”購入”まで、「橋渡し」のシカケとして、「PASONAの法則」TMを紹介します。
これは、以下の順番でコピーを展開していくと、不思議と売れやすい、という広告表現のパ
ターンのことです。

 

・P:問題の提起    (Problem)
・A:問題のあぶり出し (Agitation)
・So:解決策の提示   (Solution)
・N:限定、緊急、絞込み(Narrow down)
・A:行動の呼びかけ   (Action)

 

たとえば、ある「美容液オイル」の記事体広告のコピー構成を分解して考えてみます。
「”あぶら不足”、50代女性に急増」というキャッチコピーで初めに強調されているのが、皮脂の不足が肌の乾燥を招くという事実。
それが、肌悩みの原因になりかねないことが解説されます。
これが問題提起(P)です。

 

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次に示されるのが、「皮脂量は30代をピークに一気に減少し、50代ではなんと30代の半分以下にまで低下」するという客観的なデータです。
そのため、どんなに水分や美容液で肌をケアしても蒸発してしまう…これらが、問題の深刻さを理解してもらい、今すぐに解決すべきと実感してもらう、あぶり出し(A)の役割を果たします。

 

ここでやっと商品が登場します。
不足した皮脂を補うために開発されたとして、美容液オイルを紹介。
肌に潤いを保つ効果が謳われます。
これが、解決策としての商品(So)です。

 

その後は典型的な通販広告と同じで、期間限定(N)のオファー(A)です。
「本日より3日間、200名限定」で10%引きというオファーに落とし込まれます。

 

このように、悩みへの共感によって読み手の心をつかみ、その後で苦しみから救い出してくれるものという位置づけで商品を差し出すことによって、セールストークが心理的に受け入れられやすくなっているのです。

 

 

最後に:セールストークの下準備まで

 

今回紹介した事例の多くは、「説得型」と言われる表現形式。
もちろん商品についてストレートに語り、勢いで買わせるというタイプの広告も、特に有名な会社やよく知られている成分合など、有効かと思います。

 

一方、画期的な製品で使ってみると良さが実感できるのだけど、その良さを伝えるまでは大変…という場合に特に役に立つ手法は?という意識を念頭に調べるなかで、本稿を執筆いたしました。

 

ちなみに、ここまで述べてきたのは、主に商品の説明やオファーの前の下準備として読み手の心をつかむ段階まで。

 

ここまで成功しても、セールストークを展開して、商品を注文してもらうまでには、まだまだ関門が待ち構えてます。
その次のステップ、つまり商品をほしいという欲求を持ってもらい、安心感をもって注文してもらうには、どのようなステップをたどるのか?を今後、検証していきたいと思います。