台湾には、通販で「定期購入」をするという習慣はありません。
日本式の定期コースは、台湾でも受け入れられるのでしょうか?
定期コースの中国語名を考えるところから、コールセンターや広告での実験と結果に至るまで、定期通販というビジネスモデルを確立するための試行錯誤をレポートします。※2015年のレポートです。
目次
「定期コース」、中国語で何と呼ぶ?
定期購入という形態が一般的ではないなか、まずは「定期コース」という名前を中国語で考えるところからスタートしました。
最初に私たちが考えたのは、「毎月到貨價」(毎月届く価格)という名前です。
これを健康食品の広告に載せて定期コースを告知しましたが、お客様から、「どういう意味か?」と尋ねられる頻度が高く、コールセンターでの受電には、いつもの倍の時間がかかってしまうほどでした。
そこで再度、現地採用スタッフたちと何度も議論して、いくつかの候補を出しました。
・『毎月到貨價』(毎月届く価格)
・『毎月・到貨價』(毎月・届く価格)
・『毎月配送到府價』(毎月、家まで届ける価格)
・『毎月固定配送價』(毎月固定で、家まで届ける価格)
・『毎月按時到貨價』(毎月決まったタイミングで届く価格)
受注したお客様のうち、36.5%が初回から定期コースを選択!
そのなかから選んだのが、「毎月配送到府價」です。
初回から定期コースへと入会してもらうため、広告には必ず、
「什麼是『毎月配送到府價』?」(定期コースってなに?)
という説明をつけて、お客様が理解しやすいように工夫しました。
1・2回目の失敗を挽回するべく、3回目に挑んだその結果は・・・
なんと、受注したお客様のうち、定期コースを選んでくれたのが36.5%にも。
そのお客様には、「3回は続けてくださいね」とやんわりと「3回縛り」を伝えたのですが、どれくらい残ったかというと・・
3回目配送時点での継続率は、74%と想定以上の数字が出たのです。
しかし、肝心のレスポンスが○分の1程度・・
「台湾でも、定期コースという文化(購入習慣)を創ることができる!」
そんな手ごたえを、このプロモーションを通じて抱いたのとは裏腹に、大きな壁にも直面しました。
定期コースでの受注率や継続率は良かったのですが、肝心のレスポンス件数が、まったくふるわなかったのです。
時にはMRが2近くにものぼる、驚異的なレスポンスを台湾では叩き出してきたこと、これまでもお伝えしてきましたが、それらの平均値と比較すると、5分の1程度でした。
広告には、定期コースに誘導するオファーを載せています。
商品の魅力や定期コースという目新しさにつられてか、電話はたくさんかかってきます。
「このコースってなんですか?」興味津々で尋ねてくるお客さんですが、そのメリットはなかなか伝わりません。
その結果、受注を獲りのがす機会ロスも多く発生してしまったのです。
「初回定期」では、お客様が買ってくれない理由
定期コースを注文しなかったお客様に、コールセンターでその理由をヒアリングをしたところ、以下のデータが出ました。
<定期購入をしなかった理由>
・まだ初めてなので、まずは単品から試したい(68%)
・定期キャンペーンの値段がそんなに安くない(12%)
・自動で届くというがキャンセルしたい場合にその連絡を忘れるのが怖い(10%)
・その他(10%)
「まだ実感してないから、定期コースと言われても・・」
という声もよくお聞きしました。
定期購入の習慣が確立していない台湾では、新規購入から、いきなりの定期購入はハードルが高いものと判断して、「初回定期」狙いから方針を転換しました。
新規では、台湾では主流の「まとめ売り」で売って、お客様にはとにかく1回使ってもらい、実感してもらいます。
その後、2回目以降に定期コースに引き上げるような2ステップのコミュニケーションをとっていくのです。
これからいくつかのクライアントと一緒に、その成否を検証していく予定です。
定期通販という文化を創れば、“先行者利益”を得られる
日本でも、「初回定期」がここまで普及したのは、この数年間のこと。
多くの方が定期購入をして、その良さを経験しているからこそ、新しい商品でも、「いきなり定期コース」を選んでくれるのかもしれません。
「良いモノならばまた買いたくなり、買い続ける」という、消費者が本来持つニーズは、必ずどの国にも存在すると私は信じています。
(先ほど挙げた2ステップでの定期引き上げも、既に成功に向けた予兆が見え始めています。
また、はっきりした結果が分かりしだい共有したいと思います。)
そして、それをいち早く確立した通販企業は、大きな「先行者利益」を得られると考えています。
私たちと志をご一緒してくださるクライアントと、このチャレンジをできる幸せをかみしめながら、また明日から一歩一歩、定期コースへ入会してもらうためのノウハウ、定期コース継続の精度を高める施策を確立していきます。