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台湾進出で成功している健康食品企業の事例3選!成功するための条件も解説

毎年成長を続けている、台湾の健康食品市場。魅力的に思う一方で、輸入審査や関税などのハードルが高く、本当に成功できるのか?を疑問に思われているでしょう。そこで、この記事では台湾へ進出して事業拡大を成功させた日本企業の事例や、輸入の際に気をつけたいポイントを紹介します。

台湾進出で成功している健康食品企業の事例3選!成功するための条件も解説(サムネイル)

台湾で商品を売るときに押さえたい「売れる要素」を分析し、レポートにまとめました。
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台湾進出で成功している健康食品企業の事例3選

 
初めての市場へ商品展開をする際、「その市場で成功できるか?」が一番の関心事でしょう。弊社でも、すでに進出している企業の成功事例を知りたい、というお声を多く伺います。今回は健康食品で台湾へ進出した成功企業に的を絞り、事例だけでなく成功要因や躓いたポイントまであわせて解説していきます。
 
台湾で商品を売るときに押さえたい「売れる要素」を分析し、レポートにまとめました。
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事例1:進出3年で年商7億円の「乳酸菌サプリ」

 
この企業は、独自開発した乳酸菌サプリを販売し、日本では数十億円の売上を達成している企業です。
 
 

台湾進出の背景は、独自成分の海外でのポテンシャルを試すため

 
この企業の商品は、独自開発した免疫に作用するといわれる乳酸菌を配合しており、日本でも他社の乳酸菌サプリとは差別化された商品だったため、すでに数十億円を売り上げるヒット商品になっていました。独自開発した成分のため、海外にも販売しているメーカーが存在しないことからポテンシャルがあると考えて海外進出を決定。
 
台湾では乳酸菌を配合した商品の場合「腸内環境を整える」というような広告表現ができます。そのため、もしも免疫訴求が難しい場合でも腸内環境の改善を意識した商品としても売り出せるという背景から、台湾市場の選択となりました。
 
 

成功要因は、日本での成功シナリオを現地に合わせ転換したこと

 
日本での成功シナリオは、広告から独自成分を説明する情報ページへ誘導し、そこで成分やブランドの啓蒙をしながらリターゲティングリスト化。その後、メールによる継続的なナーチャリングによって新規顧客獲得をしていくという手法でした。台湾でも同様の手法で獲得する戦略で準備をしましたが、法規制の違いにより日本の成功パターンをそのまま使うことができません。
日本での成功シナリオ
しかし、独自性を持った成分であることから、どうしてもナーチャリングが必要です。そのため、日本での成功シナリオを応用できないものかと考えを巡らせました。重要なのは最初のアプローチ。独自成分や期待される効果を消費者に伝えられなければ購入してもらうことは難しい商品です。
 
そこで着目したのが、「テレビプレイスメント広告」でした。
 
テレビプレイスメント広告(TVPR)とは、情報番組やバラエティ番組内で、商品を紹介する5分〜10分程度の枠を提供するメニューのことで、番組出演者が商品について紹介したり、議論したりすることができます。このテレビプレイスメント広告は、広告枠ではあるものの番組内のコーナーとしての位置づけのため、表現内容にさほど大きな制限がかからないというメリットがあります。
 

テレビプレイスメント広告の撮影風景

テレビプレイスメント広告の撮影風景


テレビプレイスメント広告は、たとえば化粧品なら使用直後の肌の保湿度を計測して見せることや、健康食品ならしばらく飲んでみたらどうなったかの個人の感想を伝えることができます。この手法で最も重要なポイントは、どのように購入に結びつけるかの導線設計です。テレビで紹介するだけでは購入につながらないため、購入につなげるための導線をいくつも引いていきます。
 
この商品の場合は、番組内で連呼したキーワードへのリスティング対策、番組終了直後からのFacebookへの広告投下など、テレビプレイスメント広告を視聴した消費者が取りうる行動を想定し、導線を張り巡らせました。
台湾での導線設計
日本の成功シナリオと比べてみるとわかりますが、日本ではメーカー側がナーチャリングを主体的に行っているのに対し、台湾では消費者に主体的に行動を起こしてもらうための導線を引いています。新たな市場でも日本の成功シナリオを元に、現地の法律や広告手法に合わせて販売戦略を転換したことが奏功して確実に売上を伸ばしていきました。
 
このように、商品成分には独自性がある一方、説明しないと伝わらない商品の場合は、プレイスメント広告を多用して注文を獲得していくという方法が有効です
 
台湾で商品を売るときに押さえたい「売れる要素」を分析し、レポートにまとめました。
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台湾のテレビ事情 広告メディアとしての活用法3つ
関連記事 台湾のテレビ事情 広告メディアとしての活用法3つ 台湾のテレビ事情とD2C・EC企業が台湾で新規顧客を獲得するためのテレビプロモーションをご紹介します。日本では一部の大手企業が出稿するイメージがありますが、100以上ものチャンネルが存在する台湾ではテレビはポピュラーな広告メディアとして活用されています。

 

事例2:販売開始から1年で1億円の「コラーゲンパウダー」

 
化粧品を中心にすでに台湾及び東南アジアに進出しており、20億円以上の売上を海外で作っている企業の事例です。
 
 

台湾進出の背景は、健康食品での可能性を探るため

 
この企業は、商品の投下数を重視した販売戦略を立てており、日本で販売している化粧品を次々と貿易申請し、海外で通用するかを試しています。化粧品以外にも、アイケアや青汁、コラーゲンドリンク、コラーゲンパウダーなどの健康食品シリーズの商品も輸出しテスト販売できないかと考えていました。
 
しかし、サプリなどの健康食品を台湾やその他海外に輸出する場合、口から体内に取り込むため化粧品やその他の雑貨商品などとは異なる注意が必要です。
 
<台湾へのサプリ・健康食品輸出の注意点>

  • 輸入申請から販売開始までのリードタイムが、半年以上など長くかかる
  • 台湾の場合、卸値に対して30%と関税が高い
  • 日本では問題ない配合成分でも、現地の輸入禁止成分に指定されていれば輸出できない
  • 関税を含んだ販売価格となるため、現地市場価格に対して高値で販売せざるを得ない

 
そのため、せっかく長い時間をかけて現地での輸入申請を通したのに日本より価格が割高になるため売れにくいという現象が発生してしまいます。このような背景から、既存の健康食品商品を台湾で販売してもあまり実績が期待できないと考えていました。
 
一方で、台湾では近年コラーゲンの市場が急激に伸びていることをキャッチアップしており、競争市場ではあるものの、販売戦略によっては勝ち目があるのではと推測しました。コラーゲンは、肌や美容に良いというイメージが出来上がっている商品群のため、他社商品との差別化要素を打ち出すことで自社の商品へとスイッチングしてもらいやすい特性を持っていると考えました。
 
 

成功要因は、勝てる商品開発と現地製造という選択肢

 
まずは、台湾現地で販売している競合企業の状況を分析してみることにしました。
 

台湾のコラーゲン商品 主要メーカーの比較分析(抜粋)
A社B社C社D社
所在地日本日本台湾台湾
コラーゲンの含有量5,000㎎3,000㎎6,000㎎2,500㎎
形態個包装大袋個包装大袋
1ヶ月あたりの価格7,100円5,310円4,410円4,140円
その他の差別化要素ブランド力があるビタミンCを配合なしなし

 
競合商品の分析から、以下のような商品であれば勝つことができると考えました。
 

コラーゲンの含有量5,000mg以上が目安
形態個包装タイプであること
1ヶ月あたりの価格4,000円(≒1,000元)前後であること
その他の差別化要素コラーゲン配合量と価格以外に配合成分の充実による差別化

 
しかし、上記のような商品を日本で製造し、卸値の30%の関税を払って台湾へ輸入する方法では、コストと販売価格が釣り合いません。そこで、台湾で現地製造する方法を検討しました。
 
台湾の複数のOEM工場へ接触し、商品仕様とともに原価率を18%までに抑えて製造できないかを粘り強く交渉した結果、最小ロットの3,000個では難しいが、1万個の発注になれば原価率を合わせた製造が可能との回答に漕ぎつけました。
 
この商品は、販売開始直後から注文が殺到し、半年後には1ヶ月あたり1,500件の注文が入る商品にまで成長。また、最近はドラックストアとモールへの展開も開始し、たった1年で1億円を売上げるヒット商品になっています。今後3年間で、年商5億円の売上を目指す計画です。
 
 

Made in Japanでなくて良いのか?

 
日本ブランドを打ち出したい日系企業からは「日本製でなくて良いのか?」という懸念をよく伺います。しかし、実は”Made in Japan”は一定のアドバンテージにはなるものの、直接の購入動機に大きな影響がないと過去の実績からわかっています。さらに、なぜ台湾製造なのか?をきちんと消費者に説明することで、理解を得られることも検証できています。
 
この企業も、「高くて続けられないコラーゲンがある中で、続けやすい価格を実現するために、日本メーカーが日本と同じ品質で提供しています」という明確な理由を示して安心感を与えることで売上を伸ばしています。
 
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事例3:越境ECで成功している「健康維持サプリ」

 
販売難易度が高いといわれる健康維持系のサプリメントを販売し、台湾で4.3億円の売上をつくっている企業の事例です。しかも数少ない、越境ECモデル(日本から海外の消費者に商品を直送する方法)での事例です。
 
 

台湾進出の背景は、すでにニーズを確認できていたため

 
この企業の母体は健康食品の原料メーカーです。以前から海外向けに商品の原料を輸出しており、海外の売上構成比率は全体の40%にもなっています。つまり企業の認知度は低いが、輸出していた原料の成分名は海外、特にアジアでの知名度が高い状態にありました。
 
その子会社が、日本でも自社通販を行っており、成分の海外知名度の高さから必ずニーズがあるだろうと考え、海外進出をすることになりました。進出先に台湾を選択した理由は以下の2つです。
 

  • 既に知名度のある原料成分の輸出実績が多くある
  • 通販事業を行っている他社での成功事例が多い

 
自社製品を販売するにあたって、一般貿易を行い委託販売形式でローンチを進めていましたが、ひとつの問題が発生しました。
 

台湾進出の主な形態
現地法人・支店設立委託販売越境EC
進出までのコスト
進出までのスピード
事業開始後の収益性

 
自社製品の成分配合量が台湾における輸入規定値を超えていたのです。成分がもっとも効果的に働きかけてくれるよう日本で配合できる最大値まで配合していましたが、台湾をはじめ他国では、基準オーバーしてしまう値でした。
 
仕方なく、一般貿易をせずに販売できる越境ECモデルで進めることにしました。
 
越境ECは、正規輸入をせずに早く実施できるところがメリットです。一方で、決済方法が限定されるデメリットが存在します。越境ECでは、最もメジャーな代引き決済が使えないというビハインドを背負う形になりました。弊社のこれまでの実績から、すべての決済方法を選択できる現地への進出に比べ、越境ECの場合は広告効果が3割ほど落ちる傾向が確認されています
 
しかしこのクライアントは、難易度が高い越境ECという環境下で、たった2年で4.3億円を売り上げています
 
 

成功要因は、白衣の権威付け

 
成分の認知度はある、商品の差別化もできている、あとは「信用してもらえる要素」が必要と考えました。
 
この健康維持サプリは、疲れの予防、体力の維持、健康維持などの訴求で販売しています。台湾では、医師や栄養士に白衣姿で登場してもらうことが可能なため、複数人の「医師」「栄養士」に依頼し、彼らにこの商品を薦めてもらうプロモーションを展開し始めました。
 
すると、CPOは起用前と比較すると43%も改善、また顧客一人当たりの購入単価も1.2倍に増えました。多くの専門家が、白衣を着て商品のポテンシャルを説明することによって、この商品は本物だ!効果を期待できるんだ!と信用してもらえ、それが効果に直結しました。
 
直近のプロモーションでは、医師、栄養士のキャスティング数を増やして、「多くの著名な専門家が認める健康サプリ」としての地位を確立させつつ、コンテンツSEOの強化も行っています。「健康維持」、「体力低下の予防」などと検索すると、この商品の情報がしっかりと出てくるように設計しています。
 
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台湾で人気の健康食品のカテゴリとは?

 
2018年から2020年におけるサプリメント統計調査によってわかった成長率の高いサプリメントは、目、心臓、関節、骨に効果のある商品群です。

台湾での健康食品における新商品の数量統計

参考:Innova Market Insightsより作成


最近では特に、下の図のような成分に注目が集まっているようです。
 

成分カテゴリー求められる効果
ルテイン視力や見え方の改善
プロバイオティクス系
(乳酸菌や善玉菌など)
腸内環境の改善
抗体(免疫力)強化
フィッシュオイル系
(DHAなど)
高めの中性脂肪の改善

 
ルテインなどは、もともとスマホの使用時間が長いことに加え、コロナで勢いを増したオンライン化により、目を酷使する傾向になっているため、摂取したいと思う方は多いはずです。
 
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台湾の健康食品市場規模は?

 
台湾での健康食品市場規模は、年々拡大し続けています。2019年の1年間の台湾におけるサプリメント市場規模は、1,367億元(≒5,468億円)にも上ります。
※1元=4円換算
健康食品の売上高の伸びは、2009 年から2014年までは毎年平均22億元(毎年+5%以上)。2015年以降は毎年33〜55億元(毎年+10%以上)の驚異的な成長をしてきました。
 
この伸長率が示すように「台湾は、世界有数のサプリメント大国」であるといえます。

台湾での健康食品の市場規模推移

参考:《2019食品產業年鑑》食品所ITIS團隊統計(截至2019/06)より作成


サプリメントの中でも、2020年はランキング1位の乳酸菌(プロバイオティクス)は一年間で47億元(≒188億円)相当の売り上げ、2位の牛樟芝(キノコ類真菌サプリ)及び酵素も22億元(≒88億円)の売り上げです。
 
台湾では、今後の5年で超高齢社会に突入すると予想されています。さらにコロナ禍を経て自身の免疫力が重視されるようになったため、より一層健康食品への需要や期待も高くなっています。
 
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健康食品で台湾進出する際の注意ポイント

 
台湾で商品を販売するには、関税や輸入審査が必要です。特に健康食品(サプリメント)では化粧品などに比べ、相対的に難易度が高いといえます。健康食品やサプリメントは経口摂取するため、安全性を確認する必要から厳しいチェック体制がとられています。ほとんど関税がかからない化粧品などに比べると、健康食品の関税は、卸値の30%と高く設定されています。
 

台湾における食品・健康食品の種別と輸入プロセス
商品カテゴリー形状商品例輸入申請プロセス申請から輸入までの期間
健康食品錠剤
カプセル
錠剤のグルコサミン
カプセルの乳酸菌
台湾に輸入できるかどうかの成分と商品形状を確認する
医薬品に該当する成分を含む場合は、「医薬品」として申請する
医薬品に該当する成分を含まない、錠剤・カプセルの形状の場合は、「健康食品」として申請する
半年以上
食品その他
顆粒やゼリータイプなど
美容コラーゲンゼリー
顆粒の乳酸菌
など
台湾に輸入できるかどうかの成分と商品形状を確認する
医薬品に該当する成分を含まず、錠剤・カプセルの形状でない場合は、「一般食品」として申請する
1~2ヶ月

 
アジアの中でも、台湾は必要な申請書類を揃えれば「輸入難易度は比較的やさしい」といえるでしょう。ただし、輸入申請の手続きには成分表などを英語で複数準備することが求められます。そのため、必ず「同じ商品カテゴリーの輸入申請業務の実績がある会社」に依頼しましょう。
 
台湾の法律による輸入禁止成分に抵触してしまう商品については、台湾国内で製造することも検討してみましょう。
 
台湾で商品を売るときに押さえたい「売れる要素」を分析し、レポートにまとめました。
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台湾の関税率の調べ方と、成功している企業の販売事例
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日本で培ったノウハウを活かして台湾市場を攻略

 
私たちスタートアジアは、日本で培った通販事業に特化したマーケティングノウハウ、台湾現地の各種ネットワークを駆使して通販企業の事業成長を支援しています。通販だけにとどまらず、ECモールや店舗への卸売など販売網をマルチチャネル展開することで、小さな市場でも大きな利益につなげています。進出先の法律や広告規制の知見から、売れる商品開発やプロモーション設計、売上金回収業などまで事業全体でのご支援が可能です。
 
具体的には、以下のようなサービスを提供しています。

 
販売する商品と数百万円のご予算があれば海外進出が可能です。海外進出をご検討でしたら、まずはお気軽にご相談ください。通販企業の台湾進出に精通した社員が対応いたします。
 
お問い合わせ:https://www.tsuhan-marketing.com/service/asia/contact

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