日本の通販・EC企業の海外進出先として、実績が多い地域が中華圏。
中国には越境ECを中心に多くの企業が参入し、台湾やシンガポールでも複数の企業での成功事例が聞かれるようになりました。
次の展開先として検討する企業が増えている市場が、ASEAN諸国など東南アジアです。
そのなかでも、人口の多さや平均所得の高さなどから特に注目されているタイ市場について、化粧品・健康食品などECビジネスの可能性を消費者リサーチをもとに探りました。
アジア進出を成功させた企業のノウハウを1つの資料にまとめました。
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化粧品ECビジネスは、タイ市場で成り立つか?
日本の通販・EC企業にとって「海外市場に進出するどうか?」を決めるためには、「通販ECのビジネスモデルが成立するか?」を判断しなくてはなりません。
特に東南アジアについて参入ニーズをよく伺うこともあり、タイで簡単なインターネット調査を行うことにしました。
調査を依頼して共同で実施したのは、株式会社DI Marketing様。
ドリームインキュベータ社のグループ会社として、東南アジア諸国でソーシャルマーケティング・調査事業を行う会社です。
2016年6月にタイ女性573人を対象に、化粧品の利用実態などを聞きました。
(※2016年7月20日に開催したセミナーでお話しした内容をベースに、調査結果を公開しています)
ネット調査という特性上、回答した女性は普段ある程度インターネットを利用する方々です。
年齢は、10代から50代以上までさまざまですが、31歳以上が約50%を占めています。
この調査結果から分かったことを、お伝えしていきましょう。
7割以上が、化粧品のEC購入経験有り
はじめに、「化粧品をECで購入したことがあるか?」の質問には、約75%の方がスキンケア用品・メイクアップ用品ともに「購入経験あり」と回答しました。
EC市場が小さいと言われるタイではありますが、少しづつ浸透していることが数字でも見てとれます。
この数字は、対象を「30歳以上」に絞っても変わりません。
すなわち、「化粧品をECで購入したことがある女性が多い」傾向は、年代を問わずに変化しないと分かりました。
5割以上は、3,000円以上の化粧品のEC購入経験有り
次に、購入した化粧品の価格について聞きました。
タイには、「1,000バーツの壁」という言葉があります。
「1,000バーツ(=約3,000円)を超える商品は、オンラインショップでは売れにくい」という意味ですが、ECで低価格の商品しか購入されないようなら、たとえ参入しても採算が合わないでしょう。
調査結果からは、約53%の女性が「1年以内に1000バーツ以上の商品の購入経験がある」と判明。
つまり、3,000円以上の高価格帯の化粧品を半数以上が購入していると分かりました。
“自然由来成分”や“オールインワン”の化粧品が、売れている
では、どのような成分の化粧品が多く購入されているのでしょうか?
1位は、日本でもおなじみのカタツムリ由来成分を配合した化粧品で、64%が利用経験有り。
2位はプラセンタクリーム、3位はキャビアのクリームと続きます。
ちなみに別の調査では、オールインワン化粧品も「ECで57%が購入経験有り」という結果が出ました。
高級化粧品が売れるといっても、途上国では「デパートなどの店頭において、シャネルなど有名ブランドばかりが売れている」という場合もあります。
一方タイでは高級化粧品でも、“自然由来成分”や“オールインワン”がECで売れていることが分かり、ECでもビジネスチャンスがあると胸躍らされました。
デパートやショッピングセンターなど店頭にも、高級化粧品の品揃えが豊富
また私自身も、バンコクを中心にショッピングセンターやデパート・路面店などを歩き回って、店頭での販売状況を自分の目で確かめてきました。
カタツムリ由来成分の化粧品など韓国製品が、数多く並ぶ
カタツムリ由来成分を配合した化粧品は、タイでも以前にブームが起こったようで、現在でも多くの商品が並んでいます。
「SNAIL WHITE」というタイのブランドが、韓国の女性を起用した広告クリエイティブで人気を集めていました。
2016年6月に私がバンコクを訪問した際には、屋外広告でも数多く掲示されていて、認知度も高いように思えます。
韓国系ショップも、ショッピングビルの1階に店舗を構えていました。
カタツムリ由来成分の化粧品のほか、数多くの商品が陳列されていました。
タイ発の化粧品企業も、高品質商品を展開
タイ発の国産化粧品についても、高品質な商品が並んでいました。
たとえば左上の写真の店舗では、ボディクリームが1,500円〜2,000円で売られていました。
これらの販売現場の様子を見て、タイでは高級化粧品や外国製の化粧品のマーケットが、既に十分に形成されているような感触を持ちました。
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健康食品のEC市場は、タイで既に形成されているか?
続いて健康食品についても、インターネット調査を行いました。
化粧品と同じく、2016年6月に株式会社DI Marketingと共同で調査を実施。
タイ人女性573名を対象に、健康食品の利用実態などを聞きました。
健康食品も、5割以上がEC購入経験有り
はじめに、「健康食品をECで購入したことがあるか?」の質問には、53%が「購入経験あり」と回答しました。
この数字は化粧品の75%と比べると低いですが、私が予想していたよりは高い数値でした。
なお年代を30歳以上に絞ると、購入経験は約55%と高くなり、40代以上では67%まで上昇します。
したがって、年齢が高い方ほど、健康食品をよく購入していることが分かります。
47%が、3,000円以上の健康食品をECで購入経験有り
今度は、店舗を含む購入経験について聞きました。
健康食品の購入自体は、約9割が「購入経験有り」と回答。
さらに、6割以上が「1,000バーツ(=約3,000円)以上の商品を購入したことがある」と答えました。
化粧品と同様に、「1,000バーツの壁」を超えて高額商品を購入した方の比率が高いことが分かります。
マルチタイプを好む傾向は強いが、目・脳など個別課題解決商品も利用者は多いという調査結果
では、どんな商品が売れているでしょうか?
1位は「スキンケア」のサプリ、2位は「健康サポート関連」と悩みを特定しないタイプの商品が上位を占めています。
3位は「目のサポート関連」、4位は「脳」、5位が「骨のサポート関連」。
これらの商品のように、個別の健康課題に対応する商品も、売れているようです。
店頭では、化粧品と比べると品揃えが少ない印象
ドラッグストアを中心に、店頭も回って商品の陳列状況を観察しました。
健康食品でのコーナーでは、ビタミン系のサプリメントが中心に陳列。
「BLACKMORES」(オーストラリア発)や「NATUREMADE」(アメリカ発)など外国製品に混じり、「MegaWeCare」や「VISTRA」などタイ国内のメーカー製品も多く見かけました。
健康食品市場は、4,000~7,000億円以上の市場規模が推定(※)されており、化粧品よりも市場規模が大きいと考えられますが、店舗に陳列されている商品数は、化粧品と比べると多くはないように感じられます。
※市場規模の推定は、調査元によっても異なります
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日本製品は、タイで売れている?参入のチャンスを探る
最後に、日本の健康・美容関連製品はタイでは売られているのでしょうか?
店頭とWEB上の両方で、分かる範囲で調べてみました。
店頭では、よく見かける日本商品
たとえばバンコクの代表的なショッピング街であるSiamやPhromPhong駅周辺では、日系のドラッグストアはもちろん現地の富裕層向けスーパーマーケットにも、シャンプーやボディソープなど日本製品が置かれていました。
なかには、 1,000円〜1,500円程度の高額商品も見かけました。
日本製品を購入できるECサイトも
化粧品・健康食品など単品リピート通販で、タイへ進出している日本企業は現時点ではほとんどありません。
したがって、一般的にはネット上で日本製品を買う公式なルートは多くはないようです。
ただし、個人の方などが日本から商品を持ち込み販売しているサイトや、何らかのルートで仕入れて販売しているサイトも見つかりました。
また、日本の有名企業の化粧品の広告が、タイの美容関連のキュレーションサイトに出ているのを見つけたことも。
店頭での販売状況を見ると、日本の健康・美容製品へのニーズは十分にあるように、感じられました。
一方ネット上では、日本製品を購入する間口は、多くのお客様には開かれていないようです。
日系企業が少ない今こそ、参入のチャンス!?
今回の記事では、ネット・店頭調査から、化粧品・健康食品ともにタイでは購入経験やECの利用経験が一定以上あることをお伝えしました。
私たちは、複数の化粧品・健康食品企業からご相談をいただき、タイ市場への進出をお手伝いしています。
テストマーケティングを既に行った企業もいくつかあり、興味深い結果が出てきています。
ある化粧品企業では、広告でMR(=初回売上÷広告費)が1を超える高いレスポンスが出ました。
日本の健康・美容製品へのニーズについて、手応えを感じているところです。
タイ市場への参入は、進出している企業が少なく希少性がある今こそ、参入のチャンスかもしれません。
ご興味のある方は、気軽にお声をかけてください。
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