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ケーススタディから学ぶ通販企業の成功までのロードマップ

ある健康食品の通販事業を行っている企業が、Web戦略の見直しとクリエイティブの改善を進めた結果、Web経由の売上を大幅に伸ばし、最終的にWeb経由の売上30億円を突破した成長の過程をまとめました。

ケーススタディから学ぶ 通販企業成功までのロードマップ

 
 

年商35億円へ成長したものの、Web広告はアフィリエイトとリスティング以上には拡大できずにEC売上が停滞

 
健康食品の通販事業を手がけるA社は、2000年代の健康・美容通販市場の成長に乗って急速に売上を伸ばし、年商35億円に達していました。
 
新規顧客獲得においては、メインターゲットの年齢層が高かったため、オフラインチャネルが主力で、創業当初から新聞折り込みチラシや新聞・フリーペーパーに広告を掲載し、主に50〜60代の顧客をターゲットにレスポンスを獲得。
 
この数年間は、インフォマーシャルで効率的にレスポンスを獲得できており、特に、コールセンターのインバウンド時のアップセルや同梱物・DMを活用して、定期コースへ引き上げるビジネスモデルがうまくいっていました。
 
一方、Webチャネルの強化は進んでおらず、Web広告で出稿していたのは、アフィリエイト広告とリスティング広告が中心に。
 
販売対象商品は4,500円/月の本商品で、CPO約10,000円とほぼ目標値で獲得できていましたが、広告費は月間300万円弱、新規顧客獲得数は300件以下と、オフライン広告と比べて規模が充分ではありませんでした。オフライン広告からWebでの自然検索経由の受注分を含めても、Web単体の年商は約3億円程度でした。
 
株式会社ワンスターでは、営業担当1人につき1〜2社を支援する体制のため、深く入り込んだ支援が可能です。既存の体制に課題を感じている場合は、是非ご相談ください。
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広告代理店からの提案を受けメディアを広げるも、CPAが高騰して中止に

 
そんな状況でも、主力顧客の年代が50〜60代と高いことをよいことに、社内での危機感は薄かったそうです。

  • 「Webの強化の必要性は以前から議論されているが、主力のインフォマーシャルの効率がよく規模も維持できているため、Webにリソースを割けない」
  • 「ネットに精通した人材もいないし、具体的にどうすればいいか分からない」

という状況でした。
 
そんな中でも、数年前にWebへの出稿拡大に挑戦したことはありました。リスティングの運用を任せている代理店の提案で、ディスプレイへの配信を強化しましたが、検索連動型広告(サーチ)と比べるとCPAが3倍近くに上がってしまい効果改善が見込めなかったそうです。ポイントサイトやブログなどの純広告も他代理店の提案を受けて実施したものの、なかなかコンバージョンを獲得できませんでした。
 
目標値で獲得できた媒体もありましたが、その多くは初回購入から定期コースに引き上がる割合が低くなり、リスティング・アフィリエイトの平均CPOが10,000円前後だったところ、この水準を大幅に上回り、打ち切らざるを得ない結果になりました。
 
アフィリエイトとリスティングだけでは、効率は良いが獲得件数を拡大できない
「かといって、別の媒体にチャレンジするとCPOが高騰してしまう
そんなジレンマに悩まされていたときに、株式会社ワンスターからの提案がありました。
 
株式会社ワンスターでは、営業担当1人につき1〜2社を支援する体制のため、深く入り込んだ支援が可能です。既存の体制に課題を感じている場合は、是非ご相談ください。
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クリエイティブの徹底的なテストで、訴求メッセージの開発に成功

 
まずクリエイティブの徹底的なテストを提案。リスティングやアフィリエイトでは、自発的に商品を探し求める顕在顧客が多くなります。中でもA社は、テレビや新聞の広告を見て「指名検索」で流入するユーザーの割合が4割以上と高い状況でした。
 
しかし、メディアを広げると、ニーズが顕在化していない潜在顧客の割合が高くなります。顕在顧客に対して訴求するメッセージをそのまま潜在顧客にも伝えても、効果が得られないケースが多く、CVRが大幅に低下、CPOが上昇してしまいます。
 
そのため、潜在顧客に対しては別の訴求メッセージを開発する必要がありました。メディアの拡大に伴い、リスクをとりつつ獲得件数を増加させていきました。
 
※以下はユーザーの関心度ごとに展開をおすすめするメディアの例です。
 現在の情報のため、本記事の事例を実施当時の媒体とは一部異なります。

ユーザーの関心度と適切なメディア
 
まずは、「潜在顧客にはどのような訴求メッセージが効果的か?」を確かめるためのテストを開始。短期間で多くのクリエイティブをテストするため、誘導枠(広告バナーやテキスト)に焦点を絞ってテストを行いました。
 

  • ターゲット顧客の悩みを表示するタイプ
  • ターゲット顧客に呼びかけるタイプ
  • クイズ形式の問いかけタイプ

 
など、さまざまなタイプのバナーやテキストを制作し、合計100パターン以上のクリエイティブを作成しました。
 
誘導枠のテストによって訴求メッセージがある程度固まった段階で、LP(ランディングページ)のテストにも取り組みました。LPも短期間での改善が必要だったため、ファーストビューやオファーの表現などを複数パターン制作、A×A、A×B、A×Cなど掛け合わせることで、いわゆる「多変量テスト」を行いました
 
誘導枠とLPのクリエイティブでABテストを重ね、メディア運用もしながらPDCAサイクルを回してきてここまでで一定の成果は見られましたが、数倍の効果を生むような大きな改善には至りませんでした。
 

  • 新しいバナーでCTRが向上したが、他のメディアでは異なる結果が出たため、媒体ごとに最適化が必要
  • キャッチコピーの変更によってCTRやCVRが一時的に向上したものの、効果は1ヶ月ほどしか持続せず、次のクリエイティブ開発が必要

 
など、改善の兆しが見えながらも、大きな改善には「もう一歩」という状態でした。
 
しかし、従来とは異なる画像のバナーを思い切って導入したところ、CTRが大幅に向上し、「当たり」のバナーが生まれました。このバナーを他のメディアでも展開したところ、どのメディアでも高いCTRとCVRを維持することに成功。
 
また、バナーで良い結果が出た訴求をLPのファーストビューにも組み込んだところ、CVRがさらに向上し、良い循環に。CTRが上がったことでいくつかの運用型広告ではインプレッション数が増加し、月間の獲得件数を大幅に伸ばすことができました。
 
これにより、初めに目指していた「勝ちクリエイティブ」の方向性がようやく明確になりました。
 
株式会社ワンスターでは、営業担当1人につき1〜2社を支援する体制のため、深く入り込んだ支援が可能です。既存の体制に課題を感じている場合は、是非ご相談ください。
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2ステップ方式に切り替えて、高速PDCAを実現

 
さらに、これまでWebでの販売方法も変更。「比較検討」がしやすいWeb広告でLPを閲覧した後にそのまま購入に踏み切ってもらうためには、オファーの価格を低く設定し購入ハードルを下げる必要があります。
 
4,500円の本商品を1ステップで販売していましたが、潜在顧客向けのLPでは500円のお試し商品を用意しました。目標CPAを3,000円に設定し、見込み客を獲得して定期的な引き上げを狙う2ステップ方式に変更しました。
 
この変更はクリエイティブテストにも良い結果が出ました。同じ広告費を使ってもCPAが下がり、コンバージョン数が増えるため、テスト結果が早く得られるため、PDCAのサイクルが加速しました。その結果、誘導枠やLPの改善が進み、CPAがさらに低下。かつてCPAが合わなかったメディアにも出稿できるようになりました。
 
その後、A社ではYahoo!広告やキャリアメールなどの「純広告」にも挑戦しました。いくつかのメディアでKPIを達成できたため、獲得件数を大幅に増やしました。純広告の増加により、リターゲティング広告に使える広告費も増加し、Facebook広告やディスプレイ広告でも想定以上にコンバージョンを獲得できました。
 
メディアとクリエイティブの両軸で高速にPDCAを回すことで、月間の見込み客獲得件数を6,000件まで増やすことができました。「獲得件数の増加」と「優れたクリエイティブの開発」が急速に規模を拡大することができた要因です。
 
CPAも目標値の3,000円には届かないまでも、合格範囲内で推移しました。懸念されていた定期引き上げ率も、この段階では30%程度であり、許容範囲に。広告費を投入すればするほど見込み客が獲得できて、一定の割合で定期顧客が増えるという仕組みが確立できました。その結果、3年間で定期顧客は20,000人に増加し、Webからの売上は3億円から15億円にまで増えました。
 
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定期引き上げ率が下がったため、広告を縮小

 
ところが、顧客の獲得規模が拡大するにつれて、定期引き上げ率が低下してしまうという問題が発生しました。分析の結果、スマートフォンからの獲得顧客はPCから購入した顧客と比べて引き上げ率が低くなる傾向があることがわかりました。
 
A社は、オフライン広告の効果が低下している期間、効率の良いWeb広告に広告費を重点的に投入することで全体の最適化を図ってきました。このままでは拡大傾向にあったWebを縮小させなければならなくなります。
 
そこで、スマートフォンからの引き上げ率を改善するため「フォローメールの徹底的なABテスト」を実施しました。
 
スマートフォン経由で獲得した顧客だけに、別のクリエイティブでメールが配信されるように設定。

  • 「件名」
  • 「差出人」
  • 「メールの長さ」
  • 「送信頻度」

などで徹底的なABテストを実施したところ、スマートフォンからの引き上げ率が少しずつ改善しました。
 
さらに、「Webから獲得した顧客でも、引き上げ率の高い顧客と低い顧客は異なるのではないか?」という仮説が浮かんだため、顧客データを分析し、「獲得したメディア」「クリエイティブの訴求」「オファー」「獲得時期」「決済手段」などの要素別に分析しました。
 
すると、見込み客が目にしていたクリエイティブによって定期コースへの引き上げ率が異なることが判明しました。効果への期待を煽るようなクリエイティブのランディングページ(Aパターン)は、低いCPAで獲得できるものの、定期コースへの引き上げ率は低いという結果に。一方、商品の利点を具体的に伝えるランディングページ(Bパターン)はCPAは下がりにくいものの、商品の効果を実感しやすく、引き上げ率やLTVが高くなっていました。そこで、LPのクリエイティブをBパターンに切り替えたところ、CPAは若干上昇したものの、定期引き上げ率が改善されました。
 
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一時の停滞から成長軌道に、Web経由の売上は30億円を突破

 
他にも、「クレジットカードで支払う顧客のLTVが高い」という分析結果をもとに、定期コースの申し込み時にクレジットカード支払いを推奨する施策を実施したり、低CPAで獲得できているものの引き上げ率が低いメディアは、出稿先から除外することにしました。
 
これらの施策により、引き上げ率が向上し、Webへの広告投資を再開することができました。さらに5年後にはWeb経由の売上が30億円に到達。売上は一時的に停滞しましたが、その後右肩上がりで成長。
 
ただし、中長期的な売上拡大に向けて異なる施策が必要なことは確かです。将来に対する不安がある中でも成長を続けるために、海外進出やマーケティングオートメーションの導入、新たな商品開発などの議論が出ています。
 
しかし、A社では5年間の取り組みで意識が変わり、テストと検証を徹底的に行い、新たな施策にチャレンジすることで困難を乗り越えられるという自信が生まれました。
 
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成功のポイント

 

  • メディアの拡大にともなって、LPや誘導枠などクリエイティブを徹底的にテスト
  • 広告だけでなくCRMも含めて、Webマーケティング全体のプロセスを改善
  • 顧客群ごとにLTVを分析して、新規顧客獲得時の優先順位付けに反映

 
※本ケーススタディは、複数の企業を支援するなかで起こった問題や実行した解決策など、実際に弊社が体験した内容を抽出・加工して構成しています。守秘義務契約などのため、個別の事例やクライアント社名の公表を差し控えている事情がございます。このような制約条件のなかでも、同じような課題に直面した企業にとって、汎用的な解決策として役立つように、上記のような編集を経てケーススタディとして公開しています。CPAや引き上げ率など登場するKPIも、業界における実績と鑑みて妥当な数値を置いています。
 
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