縦型のショート動画を活用して、CVを伸ばすD2C企業も登場しています。InstagramやYouTubeなど、4つの動画広告プラットフォームの傾向や特徴について解説します。
通販企業がショート動画を活用して、月間4,000件獲得した事例を解説しました。
4,300本以上の動画を制作して分かった、売れるシナリオとテストのコツもまとめています。
⇒解説資料はこちら
縦型ショート動画の市場規模は、昨年対比1.5倍と急成長
縦型のショート動画広告をInstagramのリールや、YouTubeショート、TikTokなどで配信してCVを伸ばす事例が、D2C企業でも増えています。これまでも静止画のバナーから縦型ショート動画に予算を移動して、CPAを20%改善した事例などをお伝えしてきましたが、その傾向が2024年になってますます顕著になっています。
ショート動画からのCVが伸びやすい商品の特徴は、使用時の変化やビフォーアフターがわかりやすいもの。また、“しずる感”など動画で表現することでより効果がわかりやすいものです。
たとえば、メイクアップコスメや食品、ダイエットサプリなどでは、ショート動画からのCVが伸びやすい傾向がわかっています。中には「新規獲得件数が、月間4,000件超え」「目標CPAをクリアして、1ヶ月で広告費5,000万円以上」のような成功事例が生まれています。
ショート動画からのCVが伸びている背景には、スマホに適した縦型の動画の中でも、短い動画を好んで視聴するユーザーが多いことがあげられます。多くのユーザーが動画視聴に時間を使うようになったのに合わせて、プラットフォーム側も縦型ショート動画の広告配信面を拡充させる動きが出てきました。
通販企業がショート動画を活用して、月間4,000件獲得した事例を解説しました。
4,300本以上の動画を制作して分かった、売れるシナリオとテストのコツもまとめています。
⇒解説資料はこちら
InstagramやYouTubeなど、プラットフォームごとの傾向を比較
このように縦型ショート動画の市場が拡大するなか、D2C企業ではどのプラットフォームで動画広告を展開していけばよいでしょうか?配信面として代表的な4つのプラットフォームをそれぞれ解説していきます。
Instagramリール(Meta広告)
Instagramのリール(Reels)とは、ショート動画(最大90秒)の視聴や投稿ができる機能です。アプリでは、画面の下方にある動画再生のアイコンをタップすると、スマホの画面いっぱいに縦型の動画が再生されます。ファッションや美容、暮らしのハウツーなど、さまざまなテーマで投稿されています。
Instagramの日本のユーザー数は、2019年時点で約3,300万とのことです。最新の公式発表はありませんが、コロナ禍を経てさらに増えていると予想されます。その中でもリールの成長は著しく、「ユーザーがInstagramに費やす時間のうち、20%はリールが占める」というデータもあります。
Metaでは、ブランディングだけでなく獲得型の広告にも注力しています。たとえば、コスメやサプリ、あるいは食品やファッションなどの広告が流れます。
広告配信については、AIによる機械学習の精度が高く、CVしやすいオーディエンスやタイミングで広告が配信されやすいことが特徴です。広告クリエイティブではユーザーに不快感を与えないか等の観点からの審査が厳しく、過激な広告が配信されにくくなっています。
YouTubeショート(Google広告)
YouTubeショートとは、最大60秒の縦型動画を視聴・公開できる、YouTubeの短編動画サービスです。従来のYouTubeは横型の表示が主でしたが、YouTubeショートはスマホでの視聴に適した縦型動画がメインになっています。YouTubeと同じようにクリエイターに収益が配分され、あらゆるジャンルの動画が配信されています。
日本のYouTubeの18歳以上のユーザー数は、2023年5月の時点で7,120万人以上です。高齢者も含め18歳以上の約66%に普及している状況です。そのなかでもYouTubeショートは、平均視聴回数が昨年対比で110%以上の増加と2倍以上に成長しています。YouTubeチャンネルの再生回数を観察すると、通常の動画よりショート動画の方が伸びやすくなっています。
参考: 2023 年の YouTube 視聴はますます多様に —— テレビデバイスで月間 3,800 万人、ショート動画も前年度より加速
ユーザーの増加と定着を受けて、Googleも広告配信を本格化しています。過去にはYouTubeというとブランディング目的の広告主が多く、顧客の獲得には不向きな印象もありました。しかしショート動画では、縦型動画に対応して配信する広告主が多くないことから、現時点では通常のYouTubeと比べて低いCPCで集客しやすい状況です。
Google広告では、Metaと同様に機械学習の精度が高いというメリットがあります。その一方で、AIによる最適化をフル活用するためには、アカウントの設計や運用の難易度が高い、というハードルの高さもあります。獲得型の広告としては、Google広告のなかでも、YouTubeショートを配信面の主力として強化していくことが有効という見方もあります。
TikTok(TikTok広告)
TikTokとは、「主に15秒〜10分の短い動画の作成・投稿に特化したショートムービープラットフォーム」です。2017年に中国でリリースされると、2021年9月までの短期間で世界全体の月間アクティブユーザー数が10億人以上になるなど急速に成長しました。
TikTokに投稿されているのは、歌やダンスだけでなく、美容や料理、商品レビューや仕事術などさまざまな動画が充実しています。「若者向けメディア」というだけでなく、35歳以上のユーザー比率が39%と、年齢が高めの層にも広がっている傾向です。日本のユーザー数の伸びも顕著で、2019年8月にはMAU(※1)約1,000万人だったユーザー数が、2021年8月には約1,700万人となり、その後も2024年2月時点では約2,800万人と拡大しています。
出典:「TikTok売れ」のメカニズムと、現代的な「HYPE」とは?
※1 MAU:月間アクティブユーザー数
広告の配信先はTikTok本体のほか、モバイル広告のプラットフォームでMAU5,100万人を保有する「Pangle」にも配信可能です。コスメやサプリ、金融など獲得型の広告も多く出稿されています。
TikTokでは匿名のユーザーが多いこともあり、デモグラ情報によるターゲティングの正確性や、機械学習の精度がまだ高くない一面があります。しかし、毎週のように機能のアップデートがあるなど急速に進化中で、今後が楽しみなプラットフォームです。
LINE VOOM(LINE広告)
LINE VOOMとは、LINEが提供する動画サービスです。LINEアプリで「トーク」や「ニュース」などと並ぶ「VOOM」のアイコンを押すと見ることができます。メッセージ機能が主体のLINEのなか、SNS的な機能をもっていた「タイムライン」がリニューアルされ動画プラットフォームになりました。VOOMではショート動画が中心にアップされ、友だちではなくフォローしたユーザーの動画を視聴できます。
投稿できる動画時間は、公式では60秒以内とのことですが最近ではもう少し長めの投稿も可能になっているようです。
VOOM単体のユーザー数は、まだあまり多くはないと思われます。しかし、広告在庫の多いトーク面(トークリスト)でも動画広告の配信が可能になったことを受け、LINE広告全体としては月間利用者数9,500万人(2023年3月時点)という膨大なユーザーにリーチできることが魅力です。
Yahoo!とLINEの経営統合に伴い、IDデータの統合も進行しています。今後は、機械学習の精度も高まっていくことが見込まれています。
通販企業がショート動画を活用して、月間4,000件獲得した事例を解説しました。
4,300本以上の動画を制作して分かった、売れるシナリオとテストのコツもまとめています。
⇒解説資料はこちら
D2C企業がまず押さえるべきは、Meta とGoogle
それぞれのプラットフォームの特徴を比較してきましたが、「これから縦型ショート動画に取り組んでいく」というD2C企業は何から着手するのがよいでしょうか。現時点(2024年春)では、リール面を主としたInstagram(Meta広告)への配信や、YouTubeショート面を主としたGoogle広告の配信に取り組むのがよいと捉えています。この2つを選択する最大の理由は、ショート動画のプラットフォームとして既に普及していることと、それに伴い広告配信ユーザー数が多いからです。
2022年8月に実施された意識調査によると、20-40代では約70%が短尺の縦型動画を「見たことがある」と回答しています。また、よく見るプラットフォームとして、女性ではInstagram(Reels)、男性ではYouTube(shorts)が1位です。
出典:SNSの縦型動画に関する意識調査|テテマーチ株式会社
SNSというと若年層向けメディアの感もありますが、総務省のデータをみると、50代60代のInstagram利用は年々拡大傾向で推移していることがわかります。特に女性ユーザーの伸びが全体を押し上げているものと考えられます。
縦型ショート動画に限定した最新ユーザー数は各プラットフォームとも公開していません。しかし、「週に3回以上利用するサービス」として1位がYouTube ショート、2位はInstagramリール、という調査結果も。
出典:「ショート動画白書 vol.2」
さらにMeta広告・Google広告はともに、機械学習の精度が高いこともあり、クリエイティブの成功パターンを作れれば、獲得効率を担保しながら配信量を拡大していきやすいのも大きなメリット。
Instagram リール | YouTube ショート | TikTok | LINE VOOM | |
---|---|---|---|---|
ユーザー規模 | ◎ | 〇 | 〇 | △ |
機械学習の精度 | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
運用の難易度 | ◎ | × | 〇 | 〇 |
現状では、TikTokやYouTubeの攻略はまだできていないD2C企業も多いようです。しかし、TikTokではユーザー数の拡大が続いていますし、機械学習の精度が上がることも予測され、動画広告のプラットフォームとしての成長が見込まれます。YouTubeについては、運用の難易度が高いことがあげられますが、成功事例が増えてくれば攻略の糸口も見つかってくることでしょう。
動画広告の各プラットフォームでは、短い期間でのアップデートなど変化が激しい状態が続いています。広告運用の現場では、最新の情報をキャッチアップしながら運用を調整しています。「ショート動画を活用したが、工数が多く取り組めていない方」「静止画広告のみで獲得件数が頭打ちになっている方」、縦型動画で新規獲得件数を増やしたい企業様は、ぜひお問い合わせください。
通販企業がショート動画を活用して、月間4,000件獲得した事例を解説しました。
4,300本以上の動画を制作して分かった、売れるシナリオとテストのコツもまとめています。
⇒解説資料はこちら