「バナー・ブラインドネス」という言葉をご存知ですか?
見栄えの良い凝ったバナーを作っても、それが広告だと分かると、本能的に無視されてしまいます。
では、どのような広告をつくればクリック率が上がるのでしょうか?
目次
バナー広告が「無視」される理由
「バナー・ブラインドネス」という言葉をご存知ですか?
バナーを出稿する側としては、カラフルで見栄えの良い画像にすることで、もっと多くクリックしてもらえるはず、と考えがち。
なかには、FLASHなどで動きを付けた、凝ったバナーも。
ところがユーザーはというと…
ひとたびバナーを広告と認識してしまうと、本能的に無視する、いやむしろ目にすら入らないという習慣を身につけているのです。(参考記事はこちら)
ユーザーは、「情報」を求めてインターネットを見ています。
ひとたび「自分と無関係な広告」と認識されてしまうと、せっかく労力をかけて作ったバナーが素通りされてしまう…
そんなことが現実に起こっています。
クリック率が劇的に上がる、2つの原則
ではどうすれば、そのクリック率が上がるのか?
九州を拠点に健康食品や化粧品の大手通販会社などのネット広告を支援されてきた、加藤公一レオ氏によると、「広告が無視されることを前提にバナー広告を制作すると、クリック率は劇的に上がる」というのです。
そのための原則が以下の2つです。
1.特定のターゲットのみを狙う
2.続きが気になるようにじらす
同書であげられているのが以下の例。
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「情報」を求めているネットユーザーには、いきなり「商品のセールストーク」ではクリックされません。
それを逆手にとって、特定の悩みを解決する情報や、欲求を満たす情報を“チラ見せ”。
その後で、“続きはこちら”とじらすと、ランディングページへスムーズに誘導できるのです。
※以前に書いた記事に載せた、“ツァイガルニック効果”と似ていますね
たった一言を加えるだけで… キャッチコピーのA/Bテスト
クリック率の高い広告として、もう1つレオ氏が指摘するのは、
「対象とするターゲットが具体的に明記された、募集広告のようなコピー」
この考え方はネット広告に限らず、古くから実践されていますね。
以前に「育毛剤広告のA/Bテスト、レスポンス結果は?」でもご紹介した事例をもう一度…
「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケープルズ)という本に載っていた、「ガソリン添加剤」の広告です。
【10ガロンにつき1ガロンのガソリン節約になります】
この見出しでも商品サンプルにたくさんの応募があったみたいですが、ある1フレーズを見出しに追加して、元の見出しとスプリットランテストを行いました。新しい見出しとは…
【ドライバーのみなさん!
10ガロンにつき1ガロンのガソリン節約になります】
このように1語を加えただけで、元の広告と比べて20%もレスポンスが高かったとのこと。びっくりです。
“まるで自分のことを言われているような錯覚”
では、なぜターゲットを明記したコピーの反応が良いのでしょう?
「自分が関心のあるテーマにアンテナを立てていると、情報が飛び込んでくるようになる」
と自己啓発本などでよく言われます。
ということは…逆にいえば、アンテナを立てているような意識の高い人を除けば、多くの人には見えてない情報が多い、ということ。
では、その他大勢のなかにいる、隠れた見込み客に振り向いてもらうためにはどうすればよいか?
その人に対して呼びかければいいのです。
当たり前ですが人は、「自分に対して呼びかけられている」と感じると、どうしても注意が向かってしまう、という性質があります。
特に、ターゲットは絞り込めば絞り込むほど「まるで自分のことを言われているような錯覚」に陥り、広告に目を向けざるを得ない心理状態になるのです。
健康食品の新聞広告に応用すると…
ちなみに私は… 最近、健康食品の広告を作ることが多いのですが、レオ氏の本から学んだ考え方を、こっそり応用させてもらっています。
たとえば、全5段の新聞広告の場合・・・
1.特定のターゲットのみを狙う
:「○○な方へ」というように呼びかけたり、
ターゲットの悩みを代弁するようなフレーズを
一番目立つように表示して、まず目にとめてもらう
2.続きが気になるようにじらす
:今度は悩み解決のヒントになるような情報を“ちょい出し”
本文コピーを読んでもらうように誘導する(クリックの代わり)
この手法で制作した広告で、費用を回収できるくらいのCPOが出たこともあり、これからさらに仮説検証していければと思っています。