20世紀の米国、通信販売業界で活躍した伝説的なコピーライター、ジョン・ケープルズ氏。
そのケープルズ氏が、数多くの“テスト済み広告”についての知見をまとめた著書「ザ・コピーライティング」のなかに、A/Bテストの興味深い結果を見つけました。
数十年前の広告のノウハウは、現代にも通じるのか?
21世紀の日本で出稿されている通販広告コピーとも照らし合わせながら、その考え方をひも解いていきましょう。
「テスト済み広告」の実例
今回は、クリエイティブのA/Bテストについてです。
通販の広告ご担当者様なら、試行錯誤しながら実践されてきた方もいらっしゃるかと思いますが、
コピーを考える際に私が手元に置いてよく読み返すのが、「ザ・コピーライティング」という本です。
(ジョン・ケープルズ 著、神田昌典 監訳)
この本には、<テスト済み広告>の結果が豊富に載っているのですが、その中から育毛剤広告のA/Bテストをご紹介します。
以下の2パターンのうち、どちらがレスポンスが高かったでしょうか?
よろしければ皆様も考えてみてくださいませ。
<コピー1>
・見出し:【30日以内に髪が生えてこなければ、この小切手を差し上げます】
・ビジュアル:こちらに小切手を差し出している育毛専門家
・コピー趣旨:この育毛剤の効果に満足できない場合は、小切手で返金すると説明している。
・オファー:無料パンフレット『最新の育毛法』
<コピー2>
・見出し:【60日前までは私が『ハゲ』と呼ばれていました】
・ビジュアル:男性が別の男性のハゲ頭を指差している
・コピー趣旨:この育毛剤でめざましい効果があった男性の話を伝えている
・オファー:無料パンフレット『最新の育毛法』
育毛剤の広告、A/Bテストの結果は??
答えは… <コピー2>の勝利ということです。
<コピー1>の方が、「返金保証」や「小切手」など強い表現があって、レスポンスがとれそうな気がしますね。
それなのに、なぜ<コピー2>が成功したかというと…
ハゲ頭の男性の写真と「ハゲ」という言葉で、適切なターゲットの目を引いたから、というのが、この本に書かれていた分析です。
(一方、<コピー2>はターゲットの悩みとは無関係な写真が載ってしまっている。。)
この本を読んで「なるほど!でもこの事例は、多分アメリカでの話。
日本の通販には応用できるのか?」と思ってしまった私。
さっそく、社内の制作チームにある保管棚にいって、新聞掲載の切り抜きやチラシなど、通販広告が大量に詰め込んであるファイルを何冊かパラパラめくっていると・・・
見つかりました。
見出しだけで、ターゲットの絞込みを見事に実践している広告が。
健康食品のチラシの見出しを並べてみました
複数の商材を出されている、ある健康食品会社さま。
いろいろなパターンのチラシがあったのですが、見出しだけあげていくと…
・朝から元気が出ない女性の方へ
・驚いたことに、40歳になってガクッときた
・○○(商品名)を試食したい女性の方へ
・昔より食べないのに、太りやすくなった
・忙しいお母さんにこそ試してほしい
・ごろ寝。運動不足。カロリーとりすぎ。
・近頃、ファンデーションが、小ジワにめりこむ
「~な方へ」「○歳」など直接的に呼びかけている表現もありますし、悩みを代弁するような間接的な表現もありますが、ターゲットだったら、思わず目をとめてしまうようなコピー作りが上手ですね。
私の場合、コピーを作っていると「どうすれば、商品のメリットを伝えられるか?」ばかり、ついつい考えてしまいます。
「一歩引いて、ターゲットに注目してもらえる言葉は?対象の悩みは?という視点から考えてみると、より刺さるコピーができるのでは!」
と気づきをもらいました。
1フレーズを追加するだけで20%も
ちなみに、先ほどの「ザ・コピーライティング」に載っていたA/Bテストをもう一つ紹介させていただくと…
「ガソリン添加剤」(←アメリカの例だと思います)の広告です。
【10ガロンにつき1ガロンのガソリン節約になります】
この見出しでも商品サンプルにたくさんの応募があったみたいですが、ある1フレーズを見出しに追加して、元の見出しとスプリットランテストを行いました。
新しい見出しは↓。
【ドライバーのみなさん!
10ガロンにつき1ガロンのガソリン節約になります】
これだけで、元の広告と比べて20%もレスポンスが高かったとのこと。
びっくりですね。