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シュガーマンに学ぶ、「欠点の告白」で信頼性を高める売り方

自社商品のメリットだけを述べている広告が一般的ですが、売り手が欠点をあえて自ら述べることで、逆にお客様から信頼を得られることがあります。
ダイレクトマーケティングの巨匠、シュガーマン氏がつくったコピーの事例と、現代の通販広告で見つかった事例を合わせて、「欠点の告白」を「買いたい気持ち」へと転化する方法をお伝えします。

チラシの隅にあった、違和感のある表現

 

育毛石けんのチラシなのですが、お客様が気になってしまうだろう点を、Q&Aという形式でまとめたコーナーがあります。

 

2つ並んだ質問を斜め読みしていたときに、違和感を抱いてしまった表現が見つかりました。

 

 

Q.髪がパサつきませんか?
A.頭皮の脂や汚れをしっかり洗浄しますので、パサつきが気になる方もいらっしゃるかもしれません。パサつきが気になる場合は、頭皮につかないようにリンスやトリートメントなどご使用ください

 

 

あれ… 人によっては商品の欠点として捉えられる点を、あっさり認めてしまっています。

 

これを見て、「やっぱりパサつくんだ」と購入をやめてしまった方もいらっしゃるかもしれません。

 

ほとんどの広告は、商品の良い部分しか載せていないもの。
なぜあえて、欠点を自ら言ってしまうのか…?

 

 

と思ったときに、ふと思い出したのが…

 

対面の営業を受けるときには、製品やサービスのデメリットを正直に話してくれる営業担当者の方が、信頼できるのでは?ということ。

 

「もしかして、広告でも同じなのかもしれない?」と思ったときに思い出した先例があります。

 

 

「臭いものにフタ」をしない

 

米国のダイレクト・マーケティングの巨匠、シュガーマンが「マジックスタット」なる温度計を販売したときに採った戦術です。
(「シュガーマンのマーケティング 30の法則」より)

 

このマジックスタット、デトロイトの小さな会社が作った製品ですが、彼いわく「超ダメ品」。

 

名前も覚えてもらいにくいし、プラスチックのケースも安っぽい。
「エジソンの時代の商品」と思うほどだったそうです。

 

 

そこで、彼は商品の欠点をあえて隠すことなく、真っ先に伝えることに。

 

「私自身もマジックスタットを見たとき、商品のカッコ悪さと変なネーミングに幻滅した」

 

と、初めに書いてしまいました。

 

 

商品の欠点をあえて提示すれば、

「お客は初めに持っていた警戒心を解いてくれる。そして、あなたのことを人をだます人間ではなく正直者とさえ思ってくれる」

 

というのが彼の狙い。

 

まずは会社への信頼性を高めて、その後のコピーで商品の本当に優れた特徴を取り上げて、初めに挙げた欠点を打ち消してしまったのです。

 

 

「欠点の告白」の有効性を高めるテクニック

 

この「欠点の告白」ですが、ちょっとしたテクニックを使えば、さらに有効性を高めることができます。

 

メッセージが伝えるマイナス面に、プラス面とはっきりとしたつながりがあったときに、より意図通りの伝わり方をします。

 

 

社会科学者のゲルト・ボーナーらの研究で、あるレストランの広告を3種類作りました
(「影響力の武器 -実践編-」 N.J. ゴールドスタイン 他より)

 

 

1つ目は、くつろいだ雰囲気などプラス面だけを載せた広告。

 

2つ目は、プラス面とそれに無関係なマイナス面を載せ、「当店はくつろいだ雰囲気ですが専用駐車場はありません」としました。

 

3つ目は、マイナス面とそれに関係したプラス面を載せ「当店は狭いですがくつろいだ雰囲気です」に。

 

 

結果は、2つ目と3つ目のマイナス面を載せた広告が、レストランの信頼性を向上させました。

 

この2つのうち、どちらがより評価が高かったかというと…
3番目です。

 

プラス面とマイナス面をつなげて考えることができたからだと理由が分析されています。

 

 

「炭の匂いがする石けんなんてダメ」

 

とはいっても…

 

たとえ心理学の研究では有効とわかっていても、あえて短所を載せるのは、広告を作る側にとっては抵抗感があるもの。

 

私も怖気づいてしまいがちなので、イメージを湧かせるために、「他にそのような広告はないのか?」探してみたところ、数は多くはないですが、見つかりました。

 

 

たとえば、ある洗顔石けんのチラシには、こんな記述が。

 

「最近では竹酢液の良さも認知されてきましたが、石けんメーカーの担当者からは、『まず売れないだろうね。
ものが良いのと売れるのは違うんですよ。』とか、『炭の匂いがする石けんなんてダメ』と断言されるほど。」

 

 

同じく洗顔石けんの新聞広告(別の会社ですが)にあったのは…

 

「ローカルなネーミングには、若干うさん臭さを感じつつも」

 

という、体験者の抱いたマイナスの印象が初めに書いてあります。
その後に体験者が、“地方の小さな工場で丁寧に手作りをしている”という事実を知り、納得している描写があります。

 

冒頭の不信感を、読み手に理由を示すことで逆にプラスイメージに転換するのが上手だな、と思いました。

 

 

他にも、「名前を知らなかった会社」や「値段が高い」など、お客様がネックになりそうなことを先取りして、理由を説明するパターンもありますね。

 

 

両面提示の効果は○○と相関関係に?

 

ちなみに、このように+-の両面を提示する説得手法、相手によっても効果が異なるようです。

 

アメリカ陸軍情報教育部が行った実験によると、教育水準度の高い人ほど、一面的な説得には応じにくく、メリット、デメリットの両方を提示した方が説得に応じやすいことが確認されているそうです。(参考記事

 

逆にいうと、ターゲット(や広告スペース)しだいでは、メリットだけで押していくのが現実的な場合も
あるのかもしれませんね。