「1家族さま3個まで」という、個数制限のオファー。
元々1つしか買わないつもりが、ついつい上限個数まで買ってしまった経験もあるかもしれません。
「制限」や「禁止」が逆にアップセルを生む理由を、心理学の「カリギュラ効果」の観点から考察しました。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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目次
自然なアップセルに、ついつい…
さて、先日ある健康食品を電話で注文したときに、「ぎょっ」となってしまったことがありました。
名前や住所、媒体名などを答えた後に、声から熟年と思われる女性オペレータから切り出されたのは…
「お一人さま3箱までとなっておりますが、山内様は3箱のご購入でよろしかったですか?」
自然な話の流れで「3箱が当たり前」のようなトークだったため、途中で気づいて慌ててしまった私。
「えっ、いや、まずは1箱にしようと思ってたんですけど…」
と気弱に告げると、さらに切り返しトークが。
「1箱の場合ですと、○○円にさらに送料600円がかかってしまうんですが、よろしいですか?」
「○○円は初回特別価格でして、2箱目からは少しお高くなってしまいますが、よろしいですか?」・・・
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「1家族さま○個まで」 個数制限のオファー
「どうせなら割引で買った方が得だし、3箱…?」と気持ちがぐらつきながらも、頑なに「いえ、1箱で大丈夫です」と回答。
私が気を持たせてしまったのか、その後もマシンガンのようなアップセル・トークが。
“さらに定期お届けですと~”と続いたのを何とか切り抜け、電話を切りました。
「お1人さま○個まで」このような個数の制限は、広告のオファーでよく見られますね。たとえば、
・通常商品(90粒入)3150円が、今なら「お試し(30粒入)サイズ」でお手頃価格980円。
しかも送料無料キャペーン中
初回限定 ※お一人様(一家族)3袋まで。(口臭サプリ)
・お試し価格 通常1袋1470円→1000円
<初めてご購入のお客様限定・一家族様3袋まで!>
(アイケアサプリ)
元々は、安価な(もしくは無料の)サンプルをあまりたくさん注文されないように、制限を設けたという会社が多いかもしれません。
ところが制限個数ギリギリに買う方の比率が増え、自然にアップセルになるという話もよく伺います。
制限個数のギリギリ一杯まで買いたくなる。
このような消費者心理は、どうやって生まれるのでしょう?
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「禁じられたおもちゃ」が。逆転劇のウラには…?
禁止されると逆に欲しくなってしまうのは、どうやら人間の本能のようです。
ある心理学の実験を紹介します。
実験対象となったのは、母親と子ども。
まず母親が、5種類のオモチャで子ども(3~5才)を自由に遊ばせて、その後にオモチャに好きな順位をつけさせます。
次に母親は子供が2番目に好きとしたオモチャで遊ぶことを強く禁じ、「触らないように」と言いついてけおきます。
こうしておいて、母親は子供を残し10分間部屋を出るのです。
子どもは一応母親との約束を守ります。でも内心では、「使ってはいけない」と言われたオモチャが気になってくる。
10分後、部屋に戻った母親は禁止を解いて、しばらく自由に遊ばせます。
その後、もう一度子どもに好きな順に順位をつけさせると、このとき子どもが1位に選んだのは・・・
あの「禁じられたおもちゃ(10分前は2位)」でした!
同様の実験を別の10名の子供に行っても結果は同じで、「禁止」によって、好きな順位が逆転してしまったそうです。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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「買ってはいけない」ベストセラーの秘密
このように「禁止」や「制限」によって、逆にその行動をついやってみたくなる傾向を、心理学では、「カリギュラ効果」と言います。
そういえば、過去のベストセラーのタイトルでも・・・
「買ってはいけない」(約200万部)
「千円札は拾うな」(30万部突破)
「英語は絶対、勉強するな」(80万部突破)
など、行動を禁止するタイトルがいくつかありましたね。
他にも、週刊誌の中吊り広告では、「禁断」や「極秘」「隠された」などのフレーズは常套句ですし、
流行となった「R25」も、元の意味は「25歳以下禁止!」です。
(「R18」と聞いてどうしても見たくなったという青春の思い出(?)がある男性も、きっといらっしゃるはずです!私の他にも・・)
これは広告にも応用できるようで、「家はまだ建てるな」というキャッチコピーの不動産チラシが、一世を風靡したという話も聞きました。
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強力なテクニックも、誠実さがないと・・・
ここまで調べて、
「禁止や制限は効果がありそうだ!今度使ってみよう」
と安易に早合点してしまった私。
そんな折、Twitterで偶然見かけた言葉に、冷や水を浴びせられたような気分になりました。
「『○○に興味のない方は読まないで下さい』というDMをたまに見る。
一瞬の興味を唆るかもしれないが「ならば送るなよ」と思ってしまい個人的には逆効果。
入り口は入ってきたとしてもこれほどまで口コミが多発していると、
改めて誠意あるものしか残らないことを気づかせてくれるDMだった。」
はい、たしかにおっしゃる通りです。
「制限」「禁止」「限定」などは一見強力ですが、そうしなければならない一貫性のある理由がないと、お客様には信頼されないのかもしれません。
「テクニックに頼ってはダメなんだ」という私自身の気づきとともに、今回は締めさせていただきます!
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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