通販ビジネスの現場でよく使われる、「引き上げ率」というKPI。
具体的には、何を表す数値なのでしょうか?
引き上げ率の定義や計算方法から、その背景にあるビジネスモデル、引き上げ率アップのための方法まで解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
KPIの用語説明や使い方だけでなく、通販のビジネスモデルについても解説しています。
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目次
引き上げ率の計算方法は、見込み客の人数÷新規顧客の人数
通販やECでは、「お試し商品」や「トライアルセット」を販売して見込み客を集めている企業も多くあります。
その見込み客が、「どの程度の割合で本商品を購入しているのか?」を表すのが、引き上げ率です。
たとえば、お試し商品を100人が購入したとします。
そのうち30人が、本商品も購入したとします。
その場合は、30人÷100人=30%
この30%が「引き上げ率」にあたります。
この引き上げ率を高めるための施策を「引き上げ」、お客様が本商品の購入へと転換することを「引き上がる」とも言います。
通販のなかでも、化粧品や健康食品など「単品リピート通販」と呼ばれる業態で一般的です。
この引き上げ率を高めるために、通販企業はメールやDM、同梱物やアウトバウンド(電話)など、見込み客とのコミュニケーションにさまざまな工夫を凝らしています。
ところが、このように引き上げを前提とした販促方法は、初めから本商品を売る場合と比べて、手間もコストもかかります。
なぜ多くの通販企業では、「引き上げ」を重視して、KPIの管理や販売促進に投資しているのでしょうか?
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「2ステップ」のビジネスモデルと、「オファー」の進化が背景に
化粧品や健康食品でも、かつては多くの企業が本商品を直接に販売していました。
ところが市場の成長とともに参入が増え競争が激しくなると、本商品を直接に売る「1ステップ」では広告の反応が悪くなってきます。
そこで始まったのが、まずは「無料サンプル」や「お試しセット」などで見込み客を集めて、見込み客にリピート販売をする「2ステップ」のビジネスモデルでした。
たとえば数千円から1万円以上など決して安くはない商品の場合、お客様の立場からは、初めて見た広告で知らない会社から注文するのは、勇気がいるでしょう。
もし「500円」や「1,980円」など安価に試すことができれば、気軽に注文できます。
企業にとっても、気に入ってリピートしてもらえたら利益は後で確保できます。
こうして2ステップモデルが一般的になっていきましたが、お試し品だけを使って、その後は何も買わないお客様ばかりになってしまうと、多額の広告費を回収できずに「赤字」になってしまいます。
そこで多くの企業では、引き上げのコミュニケーションを工夫するようになりました。
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DMやメールなど、引き上げに効果的なコミュニケーションは?
それでは、引き上げのためにはどのようなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
一般的に用いられている5つの方法を紹介します。
同梱物
お客様にとって気持ちが高まるのは、商品が届いたときです。
そのときに、商品の効果や開発への想い、正しい使い方などを伝えましょう。
「挨拶状」や「お客様の声」、「定期コースのご案内」などを入れるのが一般的です。
DM(ダイレクトメール)
「お試し品を使い終わったら、本商品/定期コースを買ってください」とプッシュするのも有効です。
「○月○日まで1,000円割引」「今なら△△をプレゼント」など、お客様にとって“今買わなければならない”理由を付けると、レスポンスが高くなりやすいでしょう。
ステップメール(フォローメール)
DMと同様に、オンラインでもコミュニケーションをしていきましょう。
郵送とは違って配信コストが低いので、何通にも分けて「使い方」や「効果」を啓蒙したり、複数回の締切を設けてキャンペーンを設定するなど、柔軟な方法がとれます。
アウトバウンド
こちらから電話をかける「アウトバウンド」も、引き上げのために強力な方法です。
特に健康食品などシニア顧客が多い場合には、有効です。
インバウンド
お客様が電話をかけてくる「インバウンド」時に引き上げる方法もあります。
広告を見てサンプルを注文してきたお客様に、「お得な定期コース」や「2個注文するともう1個プレゼント」などを薦めます。
「インバウンドアップセル」とも言われます。
その他にも最近では、LINEを使ってステップメールを送ったり、SMSやチャットなどを活用する例も出てきつつあります。
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引き上げの成功パターンは、企業によってさまざま
このような引き上げの方法は、広告のオファーや商品の特性も相まって、企業によってさまざまです。
たとえば化粧品を販売するある企業では、広告では1,980円のトライアルセットを販売。
5000円前後の本商品を売るためにDMやメールなどで、引き上げを行っています。
また健康食品を販売する企業では、500円前後の安価なサンプルで見込み客を集め、毎月約2,000円の定期コースへと引き上げています。
この場合は、「定期引き上げ率」(=見込み客の人数÷新しく獲得した定期顧客の人数)というKPIを定めます。
さらに、2000円の本商品を「半額1,000円」など割引を使って新規顧客を集め、電話をかけてきたお客様に「さらにお得な定期コース」を案内する会社もあります。
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単品リピート通販では、引き上げ率は何%以上を目指せばよい?
最後に、「引き上げ率は、何%になればよいですか?」「どれくらいだと、収益が安定しますか?」という質問もよくいただきます。
引き上げ率の適正な水準は、商品の価格や広告のCPA、定期コースの平均継続回数などによって異なってきます。
ですが、化粧品や健康食品など単品リピート通販では、成功していると言われる通販企業では、30%以上の引き上げ率を確保している場合が多いようです。
うまくいっている企業では、業界での成功パターンを研究したうえで、自社でも徹底的にテストをして、引き上げ率などKPIをみながら検証・改善を繰り返しています。
このブログでも、引き上げの成功事例やノウハウなどを共有しているので、よければご覧になってください。
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