単品リピート通販の事例から、

売れる仕組みのヒントをお届け

リスクはないと安心してもらう ―定期コース誘導の顧客心理2―

健康食品や化粧品など「単品リピート通販」と呼ばれる会社にとって、収益の源泉となるのが定期顧客。
CRM施策が上手と言われる通販会社の商品を購入して、DMや同梱物、アウトバウンドなどの事例を調査しました。
シリーズでお届けしている、お客様を定期コースへと誘導するのが上手なCRMの共通点、3回目は「リスクはないと安心してもらう」ことです。

「お休み制度」の効果

 

健康食品の定期コースを申し込もうかと考えているお客様が気にかかるのは、「本当に続けられるのか?」「毎月たくさん届いて飲みきれるのか?」ということだと思います。

 

そこで「1ヶ月お休みし、翌々月からお届け」というような制度を用意している会社も多くありました。
定期コースの説明の横に、以下のような文言が添えられているDMもありました。

 

迷ったら中止してみましょう。
何でも「続けるということは根気のいることです。
それをストレスに感じたり、迷ったときには、気軽に中止してみて、自分なりの実感度を確かめてみましょう。

 

定期コースの解約理由で多く聞かれるのが、商品を飲みきれずにたまってしまったことです。

 

「もったいない」と感じるケースを先取りして、リスクを回避できることをあえて教えてあげることで、定期コースへの心理的ハードルを下げようという狙いなのでしょう。

 

 

最低回数の「縛り」の実際は?

 

定期コースを申し込むお客様で気になるのは、何回までは注文をしなくてはならないのか?ということです。
各社がどのような「縛り」を設けているのか、一覧表にしました。

 

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やはり目立つのが、3回届けるまでは解約できないという規定です。

 

新規加入者のためのハードルは下げたいが、解約者がたくさん出ても困る…このようなジレンマのなかで、解約規定について上手に伝えている事例がありました。
以下のアウトバウンドのスクリプトをご覧ください。

 

 

「言い方」によって変わってくる

 

前回○○様、1回ずつのご注文ってことで定価の3,100円でお取り寄せ頂いてますので。
もし、もうしばらくお続け頂けるんでしたら、2,630円で毎月1袋ずつお送りすることができるんですね。
毎月1袋ずつのお届けなんですが、4回目以降でしたら、いつでもお止めすることができますので。

 

ここで言っている、「4回目以降はいつでも止められる」は、「3回目までは解約できない」と全く同じ意味です。
ですが、プラスの側面を強調すると、お客様に与える印象は変わるでしょう。
身近な例では、スーパーの牛肉のコーナーでPOPに「赤身80%」と書かれているのと、「脂身20%」とでは、前者の方が売上が上がるそうです。

 

 

コラム :「 2割引」と「2千円の値引き」で印象が違う?

 

上の傾向を実証する心理学の面白い実験があります。
ある伝染病に1,000人の人間が感染したと想定します。
放置すると全員が死亡する。
対策案としてA案とB案が提示されました。

 

・A案:300人が助かる。
・B案:70%の確率で全員が死亡する。

 

A・B案とも同じことを言っているのですが、多くの人がA案を選ぶそうです。
このように、論理的には同じでも表現や状況の違いによって、心理的な解釈が違ってくることを、「フレーミング効果」といいます。
同じ金額の割引でも「2割引」と「2千円の値引き」とでは売り上げが変わってくるかもしれません。

 

 

定期コースの離脱率を下げる「特典」の使い方

 

定期コースを導入する各社がよく悩まれているのが、3、4回目になると離脱してしまいがちなお客様をいかにつなぎ止めるか。

 

このためによく使われるのが「特典」ですが、その活用法で対照的な2つの事例を見つけたので、本論とは直接関係ないですが、ご紹介します。

 

1つ目は、健康食品で定期コース加入時にプレゼントが告知されていたケース。

 

初回購入商品の同梱物にあったのが、「今月定期コースをご購入頂きますと、定期お届け3回目に○○手延うどんのセットをプレゼント致します!」という文言。
定期コースへの加入してもらう、そして続けてもらうためのインセンティブにしようという狙いでしょう。

 

2つ目も、商品である健康食品とは直接に関係のない発芽米の贈呈なのですが、上記と異なるのは告知するタイミング。

 

3回目の商品を送る際に、サプライズで同梱されていたのです。
挨拶状にも、「いつも『定期購入制度』をご利用いただき、誠にありがとうございます。今回はその節目として、心ばかりのプレゼントを同封いたしましたので、ご笑納ください。」という言葉が添えられていました。

 

プレゼントを初めから伝えて目標にしてもらうのと、サプライズでの贈呈、どちらの方が効果があるのでしょう?

 

定期コースの継続という点ではどちらも甲乙つけがたいのかもしれませんが、よりロイヤリティの高い顧客を育てたいのなら、後者が良いのかもしれません。
というのも、事前に告知されている場合、お客様は当然の権利として受け入れ、印象に残らなくなってしまう可能性がありますが、告知をせずに送った場合には、驚きや喜びが生まれるからです。