定期購入をやめるお客様にその理由を尋ねて、離脱理由の1〜3位を集計したところ、興味深い分析結果が分かりました。
1ステップ/2ステップなど売り方によっても、上位の理由が異なるのです。
定期顧客の「やめる理由」と、離脱を防ぐためのコミュニケーション施策を合わせてお伝えします。

目次
定期顧客の離脱を防ぐために、シンプルだけど大切なこと
単品リピート通販企業にとって、大事なのが定期コースのお客様です。
それだけに、定期顧客の離脱に頭を悩ませている企業も多くいらっしゃることでしょう。
定期コースへの引き上げを工夫して、せっかく定期顧客が増えても、離脱するお客様も同じように増えていては、収益は安定しません。
どうすれば、せっかく購入してくださったお客様の継続率を高めることができるのでしょうか?
一番のヒントは、お客様が「なぜ定期コースをやめたのか?」の理由を知ることだと思います。
そこで、「たまごリピート」を利用している化粧品・健康食品の通販企業合計8社様について、定期コースの離脱理由を聞きました。
はじめに、全体としてのデータをご紹介しましょう。
定期コースの離脱理由、多い順に並べてみました
・1位:「体に合わない/効果が実感できない」(54%)
・2位:「商品が余っている」(27%)
・3位:「価格が高く続けられない」(19%)
あくまで8社のデータですが、皆さんの会社と共通しているかもしれませんし、「商品が余っている」の方が離脱理由として多い会社も、いらっしゃると思います。
この数字を、お客様の継続回数ごとに分類してみます。
1位の「体に合わない/効果が実感できない」は、定期コース初回~3回目のお客様に多いことが分かりました。
一方、「商品が余っている」は、定期継続回数が多いお客様ほど、解約の理由として答えられることが多くなるという傾向も見えました。
ここまでは、予想通りの方もいらっしゃると思います。
今回調査対象とした8社は、「売り方」によって2つに分類できます。
・1ステップ:初回から定期コースへ誘導
・2ステップ:サンプルなどから定期コースに引き上げ
この2つに分けてみると、1ステップ/2ステップの販売手法で、離脱理由が異なっていることが分かりました。
1ステップと2ステップ、売り方によって離脱理由にも違いが・・
まずは、1ステップ販売の傾向からです。
定期コース1・2回目で、「体に合わない/効果が実感できない」という理由で離脱する人が多い、という調査結果が出ました。
たとえば健康食品で、「体に合わない/効果が実感できない」と解約理由を答えたお客様の割合を、比較してみましょう。
・1ステップ販売 ー 1回目(88%)、2回目(70%)、3回目(57%)
・2ステップ販売 ー 1回目(60%)、2回目(55%)、3回目(50%)
「インバウンド・アップセル」や広告での「初回定期誘導」など、一発で定期コースに引き上げる仕組みが発達しているからかもしれません。
せっかく初回から定期入会したものの、やっぱり「体に合わない」「効果が実感できない」とすぐにやめてしまうお客様が増えているのです。
では、このようなお客様には、通販企業側はどのように働きかけていけばよいのでしょうか?
「本当に、買い続けてよいのか?」という不安を払拭する情報
定期コースを注文して1~2回目のお客様の気持ちを、察してみましょう。
「買ってはみたものの、本当に良かったのだろうか?」という漠然とした不安を恐らく持っているはずです。
そのようなお客様には、同梱物やDM・アウトバウンドなどで、不安を払拭してあげるのが有効です。
・実際に効果が出るように、使ってもらう
→正しい使い方を、会報誌やパンフレットで解説したり、電話でオペレーターがレクチャーする
・既に少しでも効果が出ていることに、気づいてもらう
→「チェックシート」などを同梱して、小さな変化に気づきやすいきっかけをつくる
・これから効果が出るという、期待感を持ってもらう
→「初めは不安だったけど、○カ月目から効果が出た」「あきらめずに続けて、良かった!」などお客様の声を紹介
などの考え方と手法があるでしょう。
ある化粧品会社では、正しい使用量と使用方法を細かくレクチャーしている同梱物を入れていました。
・ステップ1:ぬるま湯を使って・・・
・ステップ2:やさしく円をかくように
と、イラスト付きで解説していました。
他の化粧品企業では、定期2回目のお客様に「定期コースを5回続けて、やっと効果を実感できた」というお客様の“喜びの声”を同封して、悩みが解消されたイメージを喚起するような施策を行っていました。
2ステップ販売では、「商品が余っているから」の増加が顕著
次に、2ステップ販売の会社に顕著な傾向です。
「商品が余っている」から解約すると答えたお客様の比率が、定期継続回数が多いほど高まる、という全体の傾向はお伝えしましたが、その傾向が1ステップ販売に比べて、2ステップ販売の方が顕著だったのです。
たとえば化粧品で、「商品が余っているから」と解約理由を答えたお客様の割合を、比較してみましょう。
・1ステップ販売 ー 1回目(48%)、2回目(66%)、3回目(76%)、4回目(79%)、5回目(79%)
・2ステップ販売 ー 1回目(16%)、2回目(29%)、3回目31%)、4回目(33%)、5回目(39%)
定期コースでのお届け回数が増えて、商品が余っていれば、「使い切るまでは、次の商品はいらない」と思うのは当然の心理でしょう。
「余っているから、解約したい」というお客様に、あえてお薦めすること
ここで活躍するのが、アウトバウンドのオペレーターです。
定期4回目以降のお客様には、「ご様子お伺い」のために、あえて電話をする企業もあります。
正しい使用量を使っているか?を確認したうえで、それでも余るなら、
「1度注文をお休みして、2ヶ月後に再開してみましょう」
「お届けの頻度を、30日から60日に伸ばしてみましょう」
と提案します。
もちろん、これまでどおり定期コースを続けてもらった方が売上は上がります。
そんななか、あえてお届けの回数を減らすことで、継続率を伸ばすことに注力して、長期的に売上アップをはかるのです。
「マイページで、定期コースのお休みや、お届け頻度の変更ができること」を伝えるために、DMを送付している企業もありました。
このように「余っているから、やめよう」というお客様を無理に説得しようとせず、お客様の状況に寄り添って“商品との一番良い付き合い方”を提案することで、離脱率の低下をはかっている企業もあるのです。
いかがでしたか?定期顧客の離脱理由が分かれば、自社のお客様の特徴に合った施策を打つことができます。
皆様が自信を持って薦めている商品を、できるだけ長くお客様に使っていただけるように、ぜひいろいろな方法を試してみてください。