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「続きを気にならせる」リード文・ボディコピー ―”売れている広告”は「売り込み」から入らない vol.2―

キャッチコピーや写真などで、広告に目を止まらせることに成功したら、次の主な目的はコピー読み始めてもらうことです。
売れている通販広告の事例から、「続きを気にならせる」ための、リード文やボディコピーの工夫を解説します。

「読まない人は買わない」の原則のもと、読んでもらうための工夫

 

「文字ばかりあっても読まないだろう」よく言われるこのような説に対して、反論となるのが以下の記述です。

 

そんな文章をいちいち細かく読まないだろう、と思ってはならない。
話は逆である。(中略)読まない人は説得されず納得しないので意思決定に達しない可能性が高い。
極端に言えば、『読まない人は買わない』のである。( 出典:「 通販術」 成瀬玄)

 

 

たしかに、売れている広告には“文字ばかり”のものも。
コピーで説得力の高いセールストークが展開されています。

 

一方、説明さえできれば関心を持ってくれそうなお客様がせっかくいても、興味がないとコピーすら読んでくれないのも事実
では、どうすればコピーを読んでもらえるのでしょうか?

 

その答えになるのが、序章で述べた「滑り台効果」です。
シュガーマンは著書「全米No.1セールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術」にて、

「コピーの第一センテンスを読ませる。
広告のあらゆる要素はそもそも、このたったひとつの目的のために存在する。」

と言い切っています。

 

出典:「全米No.1セールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術」ジョセフ・シュガーマン

出典:「全米No.1セールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術」ジョセフ・シュガーマン

 

(1)目を止まらせるでひきつけた読み手の目をコピー本文に向かわせるためには、どのような工夫をすればよいのでしょうか?

 

 

 “寸止め”で話の展開に引き込んでいく

 

まず、お客様の関心を引き込んでいくのが上手な新聞全15段広告(男性向けの体臭防止用石けんの)を例にとって説明します。

 

最初に目に入るのが、中央部に大きく目立つキャッチコピー。
ターゲットであろうお父さん世代の方なら、思わずドキリとしてしまいそうな表現です。

 

体臭石けん

 

「私が父に、あんな気持ちになるなんて初めてでした。」
というキャッチコピーに目をひきつけられて本文に目をやると、初めの見出しが
「すごい事、言っちゃった…私」ということで、やはり読みたくなってしまう仕掛けです。

 

リード文を読み進めると、これもまた面白いです。
「この商品が○万個も売れている」という実績を紹介した後に、その理由として、「ある父と娘の間で起きた話が話題になっている」という前フリ。

 

続くのは、「実態を調査すべく、本社のある○○に向かい、そのある話の体験者(女性社員)に話を聞くと…。『そんな事が!』と驚いてしまうような話を教えてくれた。」と続きます。

 

このコピーで秀逸なのは、「父と娘」「秘密」などの刺激的なフレーズと、「あんな」や「この話」、「そんな事」といった隠した表現を組み合わせて、じらしていることです。
答えを“寸止め”されると、気になってしまい記憶にこびりつく、という人間心理を利用しています。

 

 

コラム: ツァイガルニック効果

 

「ツァイガルニック効果」とは、未完結な情報や途中で中断された情報は記憶に残りやすく、反対に完結している情報は忘れやすい、という理論のことです。

 

情報を寸止めして”触り”だけ見せたり、「~~~は?」という問いかけだけで答えをわざと与えないままにしておくと、読み手には不快感が生まれます
そこで、そのゆがんだ状態を解消するため「疑問を解決したい」という欲求に駆られます。

 

ちなみに、1920年代の米国における音楽学校の通信講座の広告で、驚異的に反響が良かったということで伝説になっている「ピアノコピー」と呼ばれるコピーがありますが、これにもツァイガルニック効果が働いていると考えられます。

 

「私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると…!」

 

「続きはどうなったのか?」と気になってしまうのが、広告の本文を読んでみよう行動を起こさせる感情エネルギーを生むのです。
(参考:「ザ・コピーライティング」 ジョン・ケープルズ)

 

 

このように、初めに興味をくすぐって、芋づる式に読んでもらおうという工夫は、他にも見つかります。

 

たとえば女性専用育毛剤のフリーペーパー全面広告を手にとると、まず目に飛び込んでくるのは、「頭皮が透けて見えると、年齢は隠せない」と薄毛に悩む女性ならハッとするような表現です。

 

続いて、「女性の髪は、20代から70代で約27%も細くなる」や「頭皮が透けて見えるのは、髪が細くなっているから」と意外性のある事実が“ちょい出し”されて、本文に引きずりこんでいく設計になっています。

 

 

感情のバランスを崩す仕掛け

 

これまでの例からもわかるように、読み手の「感情のバランス」を崩して、続きを気になって仕方ない状態にさせるのは、読み込ませていくために有効な仕掛けの一つです。

 

次に紹介するのは、脳サプリメントの広告です。
複数あった広告表現パターンのなかで目についたのが、以下の表現です。

 

・歳のせいではない「物忘れ」
・歳だからとあきらめられない「物忘れ」
・物忘れを歳のせいにはしたくない

 

物忘れを自覚し始めた方からすると、「私も○歳になったからな」「歳には勝てないな」などと考えていることが多いでしょう。
そこに、「歳のせいではない」という文字を読むと、「えっ!?」という驚きが生まれます。

 

すなわち、“感情のバランス”が崩れます。
(ちなみにこれには、(1)で紹介した「認知的不協和」という心理学の原理が利用されています)

 

するとバランスを崩された人は、2つの矛盾する考えがそのまま頭に残っていたのでは居心地が悪いので、バランスを回復させることで精神を安定させたいと無意識に思います
そこで下にある記事を目で追っていくと飛び込んでくるのが、次の文言です。

 

 

・小見出し:「脳科学研究で意外な事実が発表」
・本文:『人間の脳細胞は年齢とともに減少し再生しない』という定説が覆された

 

 

これらに好奇心をくすぐられると、初めに気になってしまった人は、記事を読まざるを得ないように、上手に設計されています。

 

このように「通念を覆す新事実」、つまり読み手が「こうだろう」と何となく思っていたことを否定するような新しい情報を提示することが、読み手の感情のバランスを崩すのに有効な方法ですが、それを有効に表現できるのが記事体という手法です。

 

たとえば、ある黒酢サプリメントの新聞全15段広告をご覧ください。

 

ダイエットの失敗、「アミノ酸不足が原因!?」
~ダイエットがうまくいかない理由は?解決の糸口は”アミノ酸”~

 

「ダイエット」と「アミノ酸」という、多くの人になじみのある言葉で関心を引いた後に続くのは、アミノ酸が不足すると、「消費量と摂取量のバランスが崩れ、ためこみやすい体になってしまう」ということ。
そこで、「不足しがちなアミノ酸を補う方法はあるのか。長年の研究の末に到達した、驚くべき事実に迫る」ということで、記事広告の本文を読ませるようになっています。

 

研究対象となった新聞広告

研究対象となった新聞広告

 

ダイエットは多くの人が取り組みつつ、一方成功した人の割合はさして高くない悩み。
この広告のように「あるモノが欠けていると、効果がなくなってしまう」という提示は有効なのかもしれません。

 

 

情報と“錯覚”させる見せ方

 

このような「記事体広告」ですが、メディアによって有効性は異なると言われます。
折込チラシやフリーペーパーの場合、読み手は広告と分かって見ているので、このようにまわりくどい訴求よりストレートな訴求の方が反応が良いことも。

 

一方、新聞や雑誌では読者は情報を求めて見ているもの。
このようなメディアの方が、記事体の反応が良い傾向があります。

 

もちろん、「記事体広告」が氾濫してしまった今では、広告と気付かずに読んでしまう人は少数でしょう。
ただし、「私に役立つ情報が載っている」と認識してもらいさえすれば、読み進めてもらえるという説も成り立ちます。

 

その際に必要なのは、”あなたに役立つ情報”としての「記号付け」です。
たとえば、下の図のように「耳の悩み特集」と銘打って、特定の悩みを抱える読み手の興味を惹く見せ方をしている広告もあります。

 

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また、特定の商品でなく「美容法」や「健康法」という見せ方にすることで、「読むに値する情報」と判断してもらおうとする工夫も見られます。

 

以下は、(1)で紹介したダイエット食品の広告からです。

「お腹のブヨブヨどうにかしたい!!運動に食事制限に頑張ってみたものの…」

というコピーに続いて登場するのが、以下のサブコピーです。

 

・これが噂の酵母ダイエット
・これが噂の酵母式スリムケア
・これが噂の酵母式ボディラインケア

 

中立的な情報としての見せ方ですね。
ちなみにキャッチコピーはどれも同じだったのですが、サブコピーは「ダイエット」「スリムケア」などさまざま。
余談ですが、どの表現が響くのをテストしているのでしょうか。

 

 

あきらめていた願望をくすぐる

 

これまでは「記事体」と呼ばれる広告の事例が多く紹介してきました。

 

「意外性のある事実」の提示という方法は、このように情報としての見せ方だけでなく、ストレートに商品の説明をするケースでも使われています。

 

あるヒアルロン酸サプリの新聞広告では、以下のように「続けられる」を含んだキャッチコピーが使われています。

 

・価格がもう少し安ければ続けられるのに…1日わずか○○円のヒアルロン酸!?
これなら続けられる
・「もう歳だから…」「高くて続けられない」と、あきらめていた人に朗報!!

 

 

膝の悩みを抱える方には、ヒアルロン酸などサプリメントを買ったことがある方も多くいるでしょう。
そのなかでも、価格が高くて買い続けられなかった方もいると考えられます。
上記のキャッチコピーに惹きつけられた方がリード文を読むと、書かれているのは「“ヒアルロン酸は高い”というイメージがあるようだが、品質が確かで、値段が手頃なものがある」

 

「もうダメかも・・・」と思っていた希望が叶う可能性があるとわかると、どうしても期待してしまうもの。“あきらめていたものが、意外に簡単に手に入るかもしれない!”という欲求に火がついてしまうかもしれません。
同様に、“年齢”に焦点を当てて、この「あきらめていた願望」を上手にくすぐっているコピーを紹介します。

 

・肌の悩み、「年齢のせい」とあきらめていませんか?( 洗顔石けん)
・「仕方がない」と言われるばかり、「年のせい」とあきらめたくない
(耳サプリメント)
・シワやシミを年齢のせいにしたくなかったんです
(コラーゲンゲル)

 

キャッチコピーが目に入ってしまったとき、読み手のなかに生まれるのは、「あることを知らなかったために、私はあきらめなくていいのに、我慢してしまっていたのかもしれない」「もったいないことをしていたのでは?」という感情でしょう。

 

そのような居心地の悪い気分を解消するために、広告のコピーに関心が向いてしまうと考えられます。

 

 

「何を試してもダメだった」という層

 

ちなみに、このような新事実の提示という見せ方が特に有効なのは、「何を試してもダメだった」というような層かもしれません。

 

たとえば、あるコラーゲンゲルのフリーペーパー広告に登場する体験談のタイトルは、「化粧品は宝くじのようなものだと思っていました。」以下の流れで話が展開されます。

 

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「数々のスキンケア製品を使い続けた美容ライター」による体験レポートという形式で、やっと自分に合った化粧品にたどり着いた」という過程をつづる広告もありますがさまざまな化粧品を体験した方が推薦する、ということで、説得力が増していますね。

 

「いろいろな化粧品を試したけど、しっくりこない」という女性は、「せっかく高いお金を出して、時間と労力をかけても、効果が実感できない」という不満を抱えているはず。
一方、顕在的な悩みを抱えており、他社製品を買ってきた、つまり購入意欲がある層ということで、広告に反応してくれやすいと考えられます。

 

そのような方々に、「あなたがうまくいっていなかったのは、○○を知らなかったから。
でも、これを実践することで簡単にうまくいった方々がたくさんいます」という情報のさわりを見せて広告に引き込み、スイッチングを狙うというのも有効な戦略なのかもしれません。

 

通販広告が多く載るフリーペーパー

通販広告が多く載るフリーペーパー