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「期待はずれにはならない」と信頼してもらう ―定期コース誘導の顧客心理3―

健康食品や化粧品など「単品リピート通販」と呼ばれる会社にとって、収益の源泉となるのが定期顧客。
CRM施策が上手と言われる通販会社の商品を購入して、DMや同梱物、アウトバウンドなどの事例を調査しました。
シリーズでお届けしている、お客様を定期コースへと誘導するのが上手なCRMの共通点、3回目は「『期待はずれにはならない』と信頼してもらう」ことです。

定期購入者の「お客様の声」

 

広告でもそうですが、信頼性を高めるために有効なのが、第三者の声。
以下のように定期コースに入ったことのメリットを語ってもらう会社もありました。
その一部を抜粋して紹介します。

 

注文忘れの心配もなく安心しています
・「続かない」の言葉に悔しくて、○○を飲み始めてもう半年になります
時折プレゼントが入っているのも主婦には心躍るもの
・「継続は力なり」の言葉どおり飲み続けています
・○○の一日一粒の健康習慣は、私にとって転ばぬ先の杖なんです

 

体験談の他にも、お客様にモデルとして登場してもらう、作り手の顔を登場させる、企業の生い立ちを語るなど、信頼性を高めるコンテンツ作りには各社が嗜好を凝らしている跡が伺えましたが、それはまたの機会にご紹介します。

 

 

「安い」理由を説明するだけで

 

「定期コースがどうして安いのか?」「良いことだけ初めに言っておいて、後で悪い条件を見せられるのでは?」といぶかるお客様もいるかもしれません。
そのようなちょっとした疑問や不安を解消してもらうために、Q&Aなどで説明しているケースもあります。

 

事務等の省略化ができるため、その分おトクな価格設定
・お届け日と商品をあらかじめお客様にご指定いただくことで、計画的な生産が可能になります。
(中略)計画生産により削減できたコストを皆様に還元し、通常よりもぐんとお得な特別価格を実現。

 

売り手にとっては当たり前なのかもしれませんが、理由を説明されるだけで(その内容を問わず)、行動を起こしてもらいやすい、という人間心理の傾向を上手に利用しています。

 

 

最後に:定期コースへの誘導の設計、2パターン

 

これまで見てきたなかで、定期コースへの誘導に各社とも知恵をめぐらしている跡が伺えますが、その勧め方には以下の2パターンがあることに気づかされます。

 

A :通常購入も示すものの、定期コースを強く勧める
B : 通常購入と定期コースを並列で並べ、定期コースだと「さらに得」と勧める

 

<Aパターン>で典型的なのが、別の記事(定期コース誘導の鍵は「損をしたくない」という心理?)でご紹介したアウトバウンドの事例です。

 

初回購入では、お得な特別割引価格で注文をしてもらう。
トライアルの使用期間が過ぎる頃に2回目購入を促すアウトバウンドを実施。

 

通常の価格を示しつつ、他方で定期コースに入ると安い価格で買える、と誘導するのです。

 

またDMや同梱物など紙媒体を使う場合も、初回購入時に定期コースの特典が書かれたパンフレットを単体で同封する、挨拶状でも定期コースを勧めるなど、徹底して定期コースを押し出している例が何社かで見られました。

 

一方<Bパターン>で代表的なのは、以下のように定期コースと通常購入を並列で並べて選んでもらうという見せ方です。

 

・お得な10%割引+送料無料セット(毎月お届け)
・お得な送料無料セット(1回のみお届け)

 

 

【選べる3つのコース】
1.しっかり続けたい方に。定期お届けコース(定期1回目:20%オフ)
2.ご家族・ご夫婦で使いたい方に。2個パック(15%オフ)
3.もう一度、試してみたい方に。通常購入(10%オフ)

 

まずは通常購入でも本商品を買ってくれたお客様を、定期コースに引き上げていこうという狙いでしょう。

 

ちなみに心理学の観点からは、この2つのパターンのうち、定期コースへの誘導をスムーズに行いやすいと思われるのは、Aパターンでしょう。

 

Bパターンのようにいくつかの選択肢が並列で提示されていると、いずれかはお客様のニーズには当てはまると思われ一見良いのですが、「迷い」が生じると、購買行動を先延ばししてしまうという傾向があるからです。

 

一方、「定期コース>通常購入」という損得の観点からの図式がはっきりと提示されていると、「おいしい機会を逃さないように」という心理から決断をしやすいのです。

 

また稿を改めて、この「迷わせない」という観点から、トライアル購入者への本商品購入引き上げ施策を論じてみたいと思います。

 

※本文中に登場する価格などの数値は、若干変更している箇所があります。

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