ECの広告においては、テストを重ねてクリエイティブを最適化していくのが大切と言われます。成功している企業の現場では、具体的にどのような順番で、どこに力点を置いてテストを行い、どうやって検証・判断しているのでしょうか?化粧品や健康食品など単品リピート通販を専門に支援してきたなかで、培ってきた方法論を解説します。
売れる記事型広告の作り方を4つのステップに分けて解説しました。
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広告バナー(誘導枠)で、A/Bテストを高速でくり返す
クリエイティブのA/Bテストと言うと、よく話題にのぼるのが「ボタンの色」や「ナビゲーションのレイアウト」などのデザインのテストです。
見た目には違いが分かりやすいのですが、単品リピート通販で広告出稿を始めた頃、勝ちパターンが構築できていない段階では、あまり有効ではありません。
まず初めにテストすべきは、「どう伝えるか?」という表現方法ではなく、「誰に伝えるか?」というメインターゲットや、「何を伝えるか?」という商品の約束です。
たとえば、エイジングケア基礎化粧品なら、同じ女性でも「50代主婦」なのか、「40代キャリアウーマン」では伝えるべきメッセージが異なります。
また、「保湿」といった効果効能そのものをアピールするのと、その結果としての「若見え」をアピールするのでは、その表現が大きく異なるはずです。
つまり、コピーやデザインという「表現」は「ターゲット」や「約束」に依存するのです。
したがって、誰に(=ターゲット)何を伝える(=約束)と響くのかをまず初めに検証すべきなのです。
「ターゲット」と「約束」が確立したら、コピーや画像・レイアウトなど、表現をブラッシュアップしていくという順番です。
では、ランディングページ(LP)や広告のバナー(コピー・画像)など、コンバージョンに影響を与えるクリエイティブがたくさんあるなかで、どこからテストを始めればよいでしょうか?
初期のクリエイティブテストでは、最もPDCAサイクルを早く、多く回せる領域から始めるのが定石です。
Yahoo!(YDN)やGoogle(GDN)などの入稿・停止がコントロールできる広告メニューでバナーをテストするといった具合です。
弊社では、出稿をスタートした時期には、出稿メディアの特性を踏まえながら月間数十本のペースでバナーやテキスト等のクリエイティブを制作します。
どのターゲットに、どのクリエイティブを当てれば反応を獲れるか?を一つずつ確かめていきます。
テスト結果の判断については、弊社ではある程度初速で判断してしまうことが多いです。
クリック率(CTR)で判断する際には統計的有意差を確保することが可能ですが、クリエイティブの良し悪しはCTR×CVR(≒CPA)で判断することが多いため、目標CPAに応じて1クリエイティブあたりに投下するテスト予算を決め、その範囲内での件数差で判断しています。
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LPはベースの1本をつくり、ファーストビューを重点的にテスト
続いて広告をクリックしたユーザが訪れた先、LPのテストです。
ファーストビュー(キャッチコピー・ビジュアル)や、体験談や製品紹介などのコンテンツ、オファーの見せ方などさまざまな要素があるなかで、どこからテストに手をつけていけばよいでしょう?
実はスタート期には、ファーストビューだけに絞ってテストをするのが得策です。
単品リピート通販でコンバージョンが獲れるLPはセオリーがだいたい定まっているので、まずはセオリーに沿ってベースとなるLPを1本つくります.
バナーでのテストがひと段落ついて、「どの訴求が有効か?」が固まってきたら、バナーのテストで「売れる」と判明した訴求を、LPのファーストビューに反映します。
そのうえで、コピーやビジュアルなど要素1つだけを変えて、スプリットランテストを実施するのです。
ファーストビューのテストをまずは徹底的に行なった後、その次の優先順位として挙がるのは、「悩み/理想」のエリアです。
ファーストビュー直下で「こんなお悩みはありませんか?」と問いかけるLPを、ご覧になったことがあるでしょう。
「最近疲れやすくなった」「化粧のノリが悪くなった」といった、ターゲットユーザーなら共感したり「私のこと!」と関心を持ってもらえるような、悩みを列挙します。
または、「年齢をいうと驚かれた!」や「同僚に褒められた!」「こんな○○になりたい」など、ユーザーの理想を代弁します。
この「悩み/理想」のエリアが、ファーストビューに続いてコンバージョンに影響を与えやすい要素とわかっています。
悩み/理想を、年代別・性別によって置き換えてみたり、ユーザーが日常生活のなかで実感するシーンを取り入れてみたり、と改善パターンを作ってテストします。
それ以外のLP下部にあるコンテンツについて、細かくテストをすることもできますが、効果は薄れてしまいます。
なぜなら、下にスクロールすればするほど、離脱するユーザーが増えていくからです。
せっかく改善しても、限られたユーザーにしか見てもらえずに、十分な効果が見込みにくいのです。
したがって、ファーストビューおよび直下のエリアより下部はテストが難しいので、まずは1本で固定します。
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軌道に乗った後は、どうテストすればよい?
バナーとLPのテストがひととおり完了した後は、どうすればよいでしょうか?
広告の誘導枠(バナーなど)と、LPの2つの観点から解説します。
広告の誘導枠は、継続的にテスト&メディア最適化
1つ目に広告の誘導枠(バナー)ですが、レスポンスの移り変わりが早いことを覚えておきましょう。
ある時期に売れていたクリエイティブが、数ヶ月後には反応が獲れなくなることもザラにあります。
したがって、一度クリエイティブが確立しても、表現をブラッシュアップしながら、継続的にテストしていくのが大事です。
また、ベースとなる「訴求」のテストに絞って説明しましたが、具体的な表現についてはメディアごとに変更する必要があります。
たとえばGDNやYDNなどのディスプレイ広告と、Facebookをはじめとしたインフィード広告では、売れる表現のパターンが異なるからです。
既存のメディアでも、メディア最適化のためにテストを継続的に行なっていきますし、また新しいメディアが出てきたら、そのメディアに合わせて売れるクリエイティブをつくっていきます。
LP改善は、デザインの改善やユーザーインタビューで一定の成果
2つ目のLPですが、誘導枠ほどは頻繁に変更はしていかなくてもよいことが多いです。
逆に言えば、ファーストビューや悩み/理想のエリアを最適化した後には、それ以外の箇所の改善ではなかなか成果が挙がりづらいのが実情です。
そのうえで有効なのは、他社で定量的な実績が出ているデザインやユーザビリティ面での改善をはかることです。
たとえば、スマホ表示での「お客様の声のレイアウト」や「ボタンの形状」など、デザインの改善によって「CVRが2倍」といった成果が出たこともあります。
(参考:「スマホ向けLPでCVRアップ実証済み、3つのデザインテクニック」)
また定性的なユーザー調査によって、改善の糸口を探るのも有効です。
「実際に商品を購入するであろうユーザーの思い」や「買わない理由」といった、改善のヒントになる重要な情報を把握するために、ユーザーに直接LP を見てもらい、課題や気になる点をヒアリングします。
販売実績やオファーの見せ方などで、ユーザーが無視する要素/魅力的に感じる表現などが分かり、クリエイティブ改善に活かす事例が出てきています。
(参考:「100名のユーザーテストで判明!単品通販のコンバージョン改善、3つの法則」)
広告にしてもLPにしても、CPAを下げて獲得件数を増やすためには、継続的にテストを重ねていくことが大事です。
今回に書いた原則を踏まえて、ぜひ改善サイクルを実行に移してみてください。
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