動画広告の市場規模は6,253億円(2023年)であり、今後も順調に拡大することが予想されています(サイバーエージェント調べ)。市場規模が拡大している背景には、スマートフォンの普及などが挙げられます。動画広告の市場規模をくわしく解説します。
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動画広告の市場規模
はじめに、動画広告の市場規模を紹介します。
2022〜2027年の市場規模推計・予測
サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で行った調査によると、2023年の動画広告市場は6,253億円であり、前年比で112%となりました。2022年〜2023年における推移、および2024年〜2027年の予測値は以下のとおりです。
年次 | 市場規模(億円) |
---|---|
2022 | 5,581 |
2023 | 6,253 |
2024 | 7,209 |
2025 | 8,212 |
2026 | 9,252 |
2027 | 10,228 |
2023年まで拡大傾向であった動画広告の市場は、今後も順調に成長を続けると予測されています。
広告商品別の市場規模
広告商品別に見た動画広告の市場規模(2023年)は以下のとおりです。
広告商品 | 2023年の市場規模(億円) | 構成比(%) | 前年比(%) |
---|---|---|---|
インストリーム広告 | 3,053 | 48.82 | +13.7 |
インフィード広告 | 2,307 | 36.89 | +9.8 |
インバナー広告 | 343 | 5.49 | +18.3 |
その他 | 550 | 8.80 | +8.9 |
前年比で特に顕著な成長を見せたのが「インストリーム広告」と「インバナー広告」です。インストリーム広告はYouTubeを中心に需要が増加しました。インバナー広告は、Webサイトのディスプレイ広告枠に表示されるためスマホが普及してWebサイトへのアクセス頻度が増え順調に需要が増えています。
デバイス別の市場規模
デバイス別に見た動画広告の市場規模(2023年)は以下のとおりです。
デバイス | 2023年の市場規模(億円) | 構成比(%) | 前年比(%) |
---|---|---|---|
スマートフォン | 5,048 | 80.73 | +9.72 |
コネクテッドテレビ | 740 | 11.83 | +37.04 |
PC | 465 | 7.44 | +5.68 |
構成比で見ると、市場全体の80.73%を占めているスマートフォン向けの動画広告が主流であると言えます。
ただし、成長率で見ると、前年比で約37%拡大したコネクテッドテレビの台頭が顕著です。これは、今までスマホで見ることが主だったNetflixやTverを友人や家族と一緒に見たり、食事をしながら見る機会が増えて、コネクテッドテレビ自体が普及したからと推測できます。
縦型動画広告の市場規模
同調査では「縦型動画広告」の需要が急増している点についても触れられています。2023年における市場規模は526億円と全体の規模と比べると小さいものの、前年比で+56.3%の急成長を遂げています。2027年までの推移として、以下のとおり右肩上がりでの拡大が予測されています。
年次 | 市場規模(億円) |
---|---|
2022 | 336 |
2023 | 526 |
2024 | 773 |
2025 | 1,072 |
2026 | 1,508 |
2027 | 1,942 |
出典:サイバーエージェント「サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を発表」
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動画広告の市場が拡大している背景
動画広告の市場が拡大している背景には、以下3つの理由があります。
- スマートフォンの普及
- 通信速度の高速化
- 動画のプラットフォームが多様になった
それぞれの理由をくわしく見ていきましょう。
スマートフォンの普及
1つ目の理由として、スマートフォンの普及により、動画を手軽に見られる環境が整ったことが挙げられます。
実際、NTTドコモの資料によると、スマートフォンの所有率(携帯電話所有者に占めるスマートフォン所有者の割合)は2010年には4.4%とわずかでしたが、12年後の2022年には94.0%まで増加しました。
子供・若い世代からシニア層まで幅広くスマートフォンが普及し、動画の視聴機会が増加したことが動画広告市場の成長を後押ししていると考えられます。
出典:NTTドコモ「「データで読み解くモバイル利用トレンド 2022-2023―モバイル社会白書―」を出版」
通信速度の高速化
2つ目の理由として、通信速度の高速化が挙げられます。
近年は、動画をスムーズに再生できる4Gや5Gが主流となっています。3G→4Gで約10倍、4G→5Gで100倍以上と、世代交代によって以前とは比較にならないほどの高速化が実現されてきました。
動画再生に時間がかかった3G(2001年〜2010年)と異なり、4G・5Gでは動画のダウンロードやストリーミング再生を迅速・ストレスなく行えるようになったため、動画コンテンツがより身近なものとなっています。それに伴い、動画広告の市場も拡大しています。
加えて、近年は公共施設や民間商業施設でもWi-Fi環境の整備も進んでおり、外出先でも動画再生がしやすくなっています。このことも、動画広告市場にとっては追い風であると言えるでしょう。
出典:イモトのWiFi「3Gと4G/LTEの違いは何ですか?」
出典:総務省「令和5年版 情報通信白書」
動画のプラットフォームが多様になった
ユーザー獲得に向けて、動画プラットフォーム側がサービスの多様化や強化を図っていることも、動画広告市場の拡大につながっています。
たとえばYouTubeでは、一足早い2012年から一般クリエイター向けに収益化プログラムを提供し始め、それ以降は本格的に動画コンテンツによるビジネスが本格的に行われています。
他にも、近年は各社動画プラットフォームがオリジナル性のあるサービスを展開しており、ユーザーを増やすことに成功しています。
たとえば、動画共有SNSであるTikTokの台頭が挙げられます。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、2019年時点でTikTokの10代利用率は14.6%でしたが、2022年には39.3%まで急増しています。全体利用率も2.7%から8.5%まで増加しており、若者を中心にTikTokが急速に広まっているといえるでしょう。
また、Instagramによるリール強化も成功事例の1つ。リール表示箇所を増やしたり、投稿動画の長さを60秒から90秒に伸ばしたりしたことで、リールを積極的に利用するユーザーが増加しました。実際、アイランド株式会社の調査では、「リールをほぼ毎日見る」と回答したユーザーの割合について、2021年は18%でしたが、2022年には28%まで増加しています。
その他LINEでも動画配信できるVOOM機能を追加しました。こうした動画プラットフォームの多様化により、動画広告の市場拡大が起きていると考えられます。
出典:ITmedia NEWS「YouTube、収益化プログラムを一般ユーザーに開放」
出典:NTTドコモ モバイル社会研究所「TikTok認知率 約7割:10代女性の利用率46.2%」
出典:アイランド「Instagramリール「ほぼ毎日視聴」約3割、21年比で10ポイント伸長<フーディーテーブル>」
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動画広告を導入するメリット
市場拡大を受けて、「動画広告を自社でも活用してみたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。メリットを知った上で、動画広告を実施するかどうかを検討することがおすすめです。
この章では、動画広告の実施で期待できる3つのメリットを紹介します。
短時間で伝えられる情報量が多い
文章や静止画(画像)と比較して、同じ時間あたりに伝達できる情報量が多くなります。たとえば文章にすると数千文字〜数万文字以上におよぶ内容でも、動画であれば数秒〜数十秒程度の内容に収めることができます。
情報量が多いということは、それだけユーザーに対して訴求できる材料も増えることを意味します。商品・サービスの魅力を短い時間で最大限伝えられるため、購入につなげられる可能性が高まるでしょう。
視聴の負担が少ない
文章や静止画と比べて、ユーザーの視聴にかかる負担が少なく済む点もメリットです。
Web広告の大半では、ユーザー自ら文字を読んで、その内容を理解するという能動的な行為が必要となります。一方で動画では、文字を読む必要がありません。受動的な姿勢で見ることができるため、負担が少なく済むでしょう。
視聴の負担が少ないため、広告の内容を理解してもらいやすくなります。
効果検証できる指標が多い
他の広告手段と比較して、効果検証できる指標が多い点もメリットとして挙げられます。
動画広告では、「どこまで再生されたのか」、「どのタイミングでリンクをクリックしたのか」、「視聴完了率」などと、たくさんのデータを取得できます。さまざまな角度から効果検証できるため、広告の内容に関するブラッシュアップもしやすいと言えます。
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動画広告を活用するコツ
動画広告を活用する際には、最低限以下の3つのコツを押さえることが重要です。
- ターゲットを明確にする
- ターゲットや商材に応じて配信メディアを選ぶ
- 細かくPDCAを回す
ターゲットを明確にする
動画広告に限らず、マーケティング施策を行う際にはターゲットの明確化(≒ターゲティング)が不可欠です。ターゲットを明確にすることで、興味関心や購買意欲を促進するアプローチを行いやすくなります。
たとえば60代以上のシニア女性と30代のOLでは、ニーズや興味がある内容などに違いが見られます。ターゲットを明確にしないと、本来は前者が自社商品の主な購買層であるにもかかわらず、後者に適した訴求内容となってしまい、動画広告の費用対効果が低くなってしまうおそれがあります。
こうした事態を防ぐためにも、まずは「自社商品への興味関心が高いターゲットはどの顧客層か?」を明確にしましょう。その上で、ターゲットのニーズや行動パターンを踏まえた動画広告を制作することが重要です。
ターゲットに応じて配信メディアを選ぶ
動画広告では、「誰に対して配信するのか(1つ目のコツ)」と同じくらい「どのメディアで配信するのか」を重視することも大切です。なぜならば、ターゲットによって効果が高い配信メディアは変わってくるためです。
たとえば、血糖値を抑えるサプリメントを売る場合、基本的にはターゲットが40〜50代以上と想定されるため、FacebookやYouTubeなどが適切でしょう。一方、20代をターゲットにしたコスメを売る場合は、TikTokやInstagramが適切でしょう。
ターゲット層がいないメディアに広告を配信しても、効果がでにくくなってしまうので、適切なメディアを選ぶことが重要です。
細かくPDCAを回す
基本的に、1回目で完璧(またはそれに近い)動画広告を作成することはほぼ不可能です。動画広告の効果を最大化させるには、「作成→検証→改善点の洗い出し→修正」というPDCAサイクルを細かく回し続けることが重要です。
円滑にPDCAを回すには、
- あらかじめ何パターンかクリエイティブを用意しておく
- 効果を大きく作用する一部分(基本的に冒頭)のみを改善・テストする
などが効果的です。
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動画広告からCVを得るポイント
動画広告の効果を高めるには、前述したコツを押さえた上で、CV(コンバージョン)を得やすい広告を作成することも重要です。この章では、動画広告からCVを得る上で重要な2つのポイントを解説します。
冒頭の3秒で興味・関心を引く
動画広告を視聴するユーザーの多くは、瞬間的に続きを見るかどうかを判断します。そのため、冒頭の3秒で興味・関心を引くことで、見続けてもらう工夫が必要です。
その方法として、弊社ではシナリオ風の動画と呼んでいる「ユーザー目線での動画」を作ることが挙げられます。具体的には、悩み解決型やアテンション型といったパターンにあてはめて作成すると効果が高い傾向です。やり方の詳細は、以下の記事で解説しています。
動画広告を見た人にとってほしいアクションを明確に示す
商品・サービスのスペックやベネフィットを認知してもらえても、購入やお問い合わせなどのアクションが実行されなければ売上につながりません。CVを獲得するためには、動画広告を見ている人に対して、とってほしいアクションを明確に示す必要があります。
主なアクションとして、「SNSで動画広告の内容をシェアしてもらう」、「LPへのリンクをクリックしてもらう」、「商品やブランド名をGoogle検索してもらう」などが挙げられます。
実行してほしいアクションを洗い出し、そのために動画内で工夫できることを考えましょう。たとえばLPへのリンクをクリックしてもらいたいならば、文字や音声で「ここをクリック」などとはっきり伝えると効果的でしょう。
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動画広告の市場に関するまとめ
スマートフォンの普及や動画プラットフォームの多様化などを背景に、動画広告の市場は急速に拡大しており今後も続くと考えられます。
本記事で紹介した活用やCV獲得のコツ・ポイントを参考に、動画広告の導入を検討してみてくださると幸いです。
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