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データ分析をマーケティングに活かしたい!経営者へのお薦め本3冊

データにもとづいた分析と改善が、マーケティングの成功にあたって重要であることは、多くの経営者が認識しているでしょう。経営の視点で、何のデータにもとづいてどのように意思決定をすればよいのか?組織として推進できる体制をつくっていくのか?「A/Bテスト」や「リピート分析」など個々の施策だけにとらわれず、企業のデータ活用の“見取り図”を学べる3冊をご紹介します。

マーケティングの投資効果を測る、重要なKPIは?

 

お薦め本1冊目が、「データドリブン・マーケティング」(マーク・ジェフェリー)。
「アマゾン社員の教科書」「ジェフ・ベゾスCEOが愛読」、そしてアメリカ・マーケティング協会最優秀マーケティングブックを受賞したという人気本です。

 

著者がはじめに提示するのは、「マーケティング格差」の現実
データにもとづいて投資対効果を最適化、業績を伸ばす少数の企業と、無駄なキャンペーン等を続け衰退する“取り残された”企業の間で、格差が広がっていると言います。

 

 

 

「データにもとづいたマーケティングを実行できる企業と、そうでない企業では何が違うのか?」

 

上記の問いへの答えの1つが、適切な指標が設定されているかどうか?

 

そこで、マーケティングの投資対効果を改善していくために重要な15の指標(KPI)や、その背景にあるフレームワーク、運用方法と成功・失敗事例などが解説されています。

 

・成果を劇的に向上させる、15の重要なマーケティング指標(KPI)
データにもとづく意思決定を妨げる原因は?5つの障壁
・マーケティング投資のリターンを示す!「財務系指標で語る」とは?
・経営ボードでの意思決定に活用、投資収益率(ROMI)のフレームワーク
CLTV(顧客生涯価値)と利益率の2軸で立てる、戦略マトリクス
・なぜ「失敗しない」キャンペーンは大問題か?成否を判定する理由を作るべき理由
・顧客データ解析のアプローチ、「決定木分析」とは?
・必要なITインフラを、最低限の投資で整えるための考え方

 

本書を読んだ感想は、大学教授が書いたにふさわしく“網羅性”を重視していること。
ブランド広告を展開する消費財メーカーから、会員向けにデータベースマーケティングを実施する通信サービス企業や航空会社など、幅広い業種・ビジネスモデルの事例が取り上げられています。

 

したがって、日本のダイレクトマーケティングで“すぐに使える”ノウハウを求める方には、期待がそぐわないかもしれません。
しかし、認知獲得などより上流工程から俯瞰してマーケティング活動を捉えられること、また「割引現在価値」の考え方にもとづいた財務視点からの分析も学べることなど、一般的な実用書では得られない視座も得られるでしょう。

 

 

Google・Amazon・ウォルマートなど、先進企業のデータ活用事例

 

2冊目は、データを活用して業績アップを実現している、アメリカの先進企業を描いた本。
分析力を武器とする企業」(トーマス H・ダベンポート他)です。

 

著者が「分析最強企業」と呼ぶ、Google やAmazon、ウォルマートやネットフリックス、ハラーズ 、キャピタルワン、プログレッシブ などの事例をもとに、「データ分析を競争優位にする」方法を解説しています。

 

 

 

著者がたびたび取り上げらているのが、アメリカでクレジットカードや銀行など金融事業を営むキャピタルワン社の事例です。

 

同社は、顧客行動データの分析によって、自社にとって最もありがたい顧客を、「高額の商品をあっさりクレジットで買い、長期にわたってゆっくり返済する顧客」と特定。
収益性の高い顧客層にフォーカスすることによって、株価が10年間で10倍にアップする急成長を遂げました。

 

同社を支えたのが、「1営業日あたり平均300回」も顧客データベースを活用したテストを行うなど、データにもとづいた徹底的な仮説検証の繰り返し。
これによって、「顧客定着率の87%アップ」「新規獲得コストの83%ダウン」といったKPIの改善を実現していきました。

 

このように、データを競争優位に利益アップを成し遂げた米国企業などの事例が、次々に解説されています。

 

・なぜネットフリックス は、レンタルDVDを「ちょくちょく借りる会員」より、「滅多に借りない顧客」を優先するのか?
・マリオットが、客室稼働率を最大化できるぎりぎりの料金を設定して、オンライン予約機能の最適化した事例
・分析力を武器とする企業の、4つの特徴
・「トリップセンサー 」で保険料のディスカウントに挑戦したプログレッシブ社→時価総額が4年間で2倍、230億ドルに
データ分析を武器にしつつ、業績が悪い企業の例 ーユナイテッド航空とアメリカン航空ー
カジノで負けた顧客 に、特典「20ドルのドリンク券をお送りします」 を進呈する理由
・分析力を支える、「技術」と「人材」

 

「顧客データを使って、こんな施策が可能かもしれない!」「このデータとあのデータが相関すれば、売上アップの切り口にならないか?」など、アイデアを膨らませたい方には有用でしょう。

 

続編とも言える「分析力を駆使する企業 発展の五段階」も最近発刊されたようで、これから読むのが楽しみです。

 

 

「データ重視の文化」を、日本企業でどう実現するか?

 

3冊目が、「新しいアナリティクスの教科書」(アナリティクスアソシエーション)です。

 

1・2冊目では主に、アメリカのデータ活用先進企業における事例やノウハウが紹介されています。
本書は、「それらの知見を日本企業でどうやって応用していけばよいか?」という観点から読んでいくと、さらに効果的でしょう。

 

著者は、データ活用の進化の段階を「幼年期」「少年期」「青年期」「成人期」と。組織ごとに4つのステージに分類。
大半の日本企業が、たとえばWEBサイトの“アクセス解析”に終始する「少年期」にいると述べます。

 

 

 

ところが競争環境のなかで求められるのが、「成人期」への脱皮。
データを通じてユーザーと向き合い、データを元に改善を回していくことが、どの部門でも当たり前のように実現される。

 

そんな組織へと変化していくために必要な考え方が、日本企業での成功・失敗事例をちりばめながら解説されています。

 

・F社事例:グロース失敗の原因は、KPI設定の考え方
・スモールスタートで、社内プロジェクトを立ち上げる方法
・ネット通販での、「マーケティング自動化」成功事例
DMPによるデータ統合に取り組むなら、必ず理解すべきこと
・アトリビューション分析を反映した予算配分、宣伝部門や広告代理店の抵抗の乗り越え方
・既存運用業務との兼務が、失敗の元!?データ改善部門が成果を出す、3つの要件
・「伴走型のコンサルタント」とは?外部専門家の活用方法
・アナリティクス担当者に必要な4つの資質と、キャリアパス
・「許可より謝罪」の企業文化が、スピード感を生む

 

経営陣のリードの元でデータ分析が、企業の“文化”として根付いていくためには?
そしてアナリティクスが、企業の優位性を生み出す根幹へと育っていくためには?

 

日本企業で、データ分析を発展させていくための方法を考えるうえで、現場と経営の両方の視点からの知見が、参考になるでしょう。