単品リピート通販の事例から、

売れる仕組みのヒントをお届け

“売り込まない”アウトバウンドと、「理念経営」の不思議な関係

アウトバウンドの事例を調べていると、ある化粧品通販企業からかかってきた電話で、珍しいスクリプトが展開されているのに気づきました。
自社商品を決して売り込まにお客様視点に徹するトークは、企業が利益を伸ばすために合理的なのでしょうか?
企業理念の考え方も交えて、考察しました。

化粧品のアウトバウンド、「拍子抜け」してしまったのは

 

ある化粧品の本商品を購入して、16日後にかかってきた電話です。
アフターケアとしての「お肌のご様子に合わせたアドバイス」ということで、以下のとおり丁寧に使用法を説明してくれました。

 

 

「実際商品としてお使いいただいて、ご質問やご心配な事はございませんか?
突っ張ったりですとか、洗い終わった後にひどくカサカサしなければ、さっと洗うのをやさしく二回洗いで汚れを取って、その後の化粧水の浸透を高めていただく方が乾燥肌の方にはいいです。」

 

 

さらに、ケアの方法についてきめ細かな解説が続いた後で、以下のセリフとともに、電話が切れてしまいました。

 

「もし続けていただく中でのご質問があればフリーダイヤルの方でも伺いますし、差し支えなければ一月ほどして風が冷たくなる頃にお電話できればと思っています。」

 

 

気づいたことは…

 

「売り込み」がまったくないのです。

 

 

他社の電話は、もっと巧みに売り込んでいたのに…

 

この電話には、オペレーターの方の人件費がかかっています。

 

わざわざコストをかけて、直接売上には結びつきにくい施策をとる理由はどこにあるのでしょう?

 

 

もちろん、使い方を教えることが後々の売上につながりやすい、という計算もあるのだと思います。
正しく使わないと「効果を実感できない」し、「適切な日数で減らない」という化粧品特有の事情が背景にあるのかもしれません。

 

 

また、売り込みではない電話を何度かかけておけば、後で本当の目的である「売り込みの電話」をかけやすくなるという見方もできます。

 

 

とはいっても、この電話から感じられるのはお客様への気遣い、

 

この商品を買ってからは、サンプルのお届け時にも電話がかかってきましたが、同じように、商品は薦められません。
肌に合わせた使用法や、次に電話するのに都合がよい時間帯の確認など、「お客様都合」が徹底しているのです。

 

 

”非効率”を各社が実行している理由は?

 

一方、費用対効果にとりわけシビアなのが、通販の世界。

 

「こんなことは、余裕のある大企業だけができることだろう!」
そう考えられる方もいらっしゃると思います。

 

ところが、↑で紹介したような「売らない」コミュニケーションは、実は他にも多くの企業で実行されているのです。たとえば…

 

 

・購入のお礼に、手書きの“絵手紙”を送る
・ロイヤル顧客の誕生日にプレゼントを贈る
・商品発送後に「サンキュー・コール」をする

 

 

これらは、お客様の目にはどのように映るのでしょうか?

 

もちろん、受け手によって感じ方はさまざまだと思います。
(なかには、うっとおしいと思う人もいるでしょう…)

 

ですが、多くの人が気づくのが、この会社は
「自社の売上には直接に結びつかないけど、お客様のためになる」
という行動をとっている、という事実
です。

 

 

ほとんどの会社が、「お客様のために」を掲げています。

 

ですが、それが“口だけ”でなく実行されているかというと…
そうではないケースも多いでしょう。

 

 

「お客様のために」は“口だけ”じゃない

 

そこで、一見“非効率”なことを、時間やお金を払って実行することで、
「あなたとは、『商品を買ってくれ』というだけの関係ではない」
というメッセージが、お客様に説得力をもって伝わります

 

 

このような形で「信頼」を獲得してしまえば、お客様の側からは競合他社の製品に乗り換えるのが「コスト」になります。

 

 

というのも、健康食品や化粧品(特に基礎化粧品)は、効果がすぐに出てくるというよりは、何ヶ月か実感してみてだんだんと実感できるようになる、という場合が多いもの。

 

なので、お客様は「せっかくお金をはたいて買い続けても、結局は効かなかった」となるかもしれないリスクを抱えています。

 

もっと言えば、巧みな広告に惹かれて買ってみても、実は悪質な業者に騙されていた、という心配と隣合わせにあると言ってもよいでしょう。

 

 

そこで、
「この会社は自分たちの都合ではなく、私たちのことを真剣に考えてくれる」
と思えれば、少なくとも、粗悪な製品を売りつけられて後で後悔することはない、と安心できるからです。

 

このような安心が、高いリピート率という数字になって後で間接的にはね返ってくるのでは?という見方もできます。

 

 

“売上”と“企業理念”の意外な関係

 

とはいっても、このように“非効率”な施策は、たとえお客様のためになるとわかっていても、日々数字を求められる環境ではなかなか実行しづらいもの。

 

そこで、「お客様のために」が現場で実践されるための強力な仕組みが、企業理念かもしれません。

 

 

最近、弊社代表の内藤がしきりに話しているのは、
「伸びている通販会社に共通しているのが、理念経営」
ということです。

 

東京だけでなく関西や九州など、様々な通販会社様にお邪魔してお話を伺うと、業績が良い会社は理念に基づいた人材教育に力を入れていることが多い、と言います。

 

 

“感謝”や“利他”など一見青臭いことを徹底して社員に説くことで、「お客様のために」が本気で実行される土台を整えているのでしょうか。

 

特に、冒頭で紹介したような電話でのコミュニケーションは、広告やDMと違って、
社員一人ひとりがどんな姿勢で臨んでいるか?
がにじみ出やすいのかもしれませんね。