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台湾の関税率の調べ方と、成功している企業の販売事例

関税はどの国に対しても複雑な取り決めが多くありますが、台湾の場合はCCCコードと呼ばれる台湾独自の品目コードから関税率を調べることができます。具体的な関税率の調べ方と、台湾で年商100億円を達成している健康食品企業の販売事例をまとめました。今回は、台湾を拠点にD2C企業の海外進出を支援しているスタートアジアからお伝えします。

台湾の関税率の調べ方と、成功している企業の販売事例(サムネイル)

台湾事業の始め方と新規獲得の方法についてわかりやすくまとめました。
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関税とは

 
関税とは輸入国側から輸入品に課せられる税金です。外国からの安価な商品をそのまま国内で売ってしまうことが、国内産業の衰退を招き経済が疲弊することにも繋がりかねません。そのため、国内産業を守ることを主な目的として、他国からの輸入品に対して国がかける税金が「関税」です。関税の率を表した「関税率」は、それぞれの国によって異なり、商品の品目やその量、原産国によって設定されています。
 
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国際貿易の関税ルール

 
国際貿易の基本になる関税のルールは、WCO(世界税関機構:World Customs Organization)により作成され、2022年7月現在184カ国・地域が加盟しています。日本は1964年に加入しました。WCOは各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として、1952 年に設立された国際機関です。
 
出典:WCO(世界税関機構:World Customs Organization)|財務省
 
 

国際条約で定められた品目コード「HSコード」

 
世界税関機構(WCO)が管理している関税のルールに基づき、あらゆる貿易対象品目に定められた固有のコード番号が「HSコード」です。HSコードにより、たとえ製品名などが異なっていても貿易上その品物が何であるかを世界各国で共通して特定できるようになっています。HSコードは輸出入の通関申告にも欠かせない重要な番号です。
 
HSコードの呼び方には「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」または「タリフコード」「品目コード」などがあります。また、HSコードはあらゆる貿易対象品目を分類して6桁の数字で表され、分類については時代の流れなどを考慮するため、ほぼ5年ごとに見直されることになっています。
 
 

台湾の製品分類「CCCコード」

 
台湾では独自の製品分類として11桁の「CCCコード」と呼ばれる番号を使います。
 
一部の例外を除き、11桁のうちはじめの6桁はHSコードと同じです。そのため、台湾での関税率を調べるにはまずHSコードを特定し、その後CCCコードを調べるという手順になります。
 
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台湾の関税率を確認する方法

 
実際に自社商品のHSコード・CCCコードを調べてみましょう。
 
 

1、HSコードを特定する

 
まずは税関の輸出統計品目表を確認します。
以降の画像は『輸出統計品目表(2022年版)|税関』中のキャプチャです。
 
たとえば、品物が飲料だった場合を検索してみると、第22類に分類されていることがわかります。「類注」ではその品目について含まれないものの基準などが記されていますので確認しましょう。
 
輸出統計品目表(2022年版)の第22類「飲料、アルコール及び食酢」のキャプチャ
「品目表」をクリックするとさらに詳細に分類されたページが開きます。そして左側の「番号 H.S.cord」の列に該当するHSコードが表示されます。
 
輸出統計品目表(2022年版)の第22類「飲料、アルコール及び食酢」から品目表を開いた表のキャプチャ
自社商品と合致する内容かをよく確認し、判断に困る場合や候補となるHSコードが複数ある場合は、税関に問い合わせましょう。
 
輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問い合わせ|税関)
 
 

2、台湾での輸入関税率を検索

 
2013年に利用が開始された台湾政府の財務部関務署が運営するCPTシングルウィンドウと呼ばれる専用システムでは関税率の検索が可能です。これは煩雑だった税関申告手続きを簡素化し、通関のスピードアップと事業者の貿易コスト削減を目指して作成されたシステムです。
以下の画像は『CPTシングルウィンドウ』中のキャプチャです。
 
※CPTシングルウインドウ
台湾政府の財務部関務署(Customs Administration, Ministry of Finance)が運営している専用サイト

 
CPTシングルウィンドウの検索ページのキャプチャ
このCPTシングルウィンドウ内に、「関税データベース検索システム」がありますので、Tariff No.(関税番号)にHSコードを半角数字で入力し、QUERY(クエリ)ボタンをクリックすると台湾のCCCコードの検索ができます。
 
今回は例として、HSコードが220110(硬水および炭酸水)を入力してQUERYボタンをクリックすると、次の画面ではミネラルウォーターと炭酸水に分けられ、それぞれのCCCコードが表示されました。
 
CPTシングルウィンドウの検索結果でCCCコードが表示されているページのキャプチャ
複数の候補が表示された場合、自社の商材に合致しているものを選択します。今回はミネラルウォーターを例にとり、22011010009をクリックすると次の画面で関税率が表示されます。
 
CPTシングルウィンドウの検索結果から関税率が表示されているページのキャプチャ
台湾は日本と互恵待遇関係にあるため、日本はカラムⅠの税率を適用します。これで例にとった炭酸水(HSコード:200110)の台湾への関税率は5%であることがわかりました。同じように自社の商品で検索してみてください。
 
 

台湾の輸入関税、カラムについて

 
台湾の輸入税率はカラムⅠ、カラムⅡ、カラムⅢの3種類に分けられています。カラムⅠはWTO(世界貿易機関)に加盟している国と地域、または台湾と互恵待遇を有する国と地域からの輸入物品に適用適用されます。台湾は日本と互恵待遇関係にあるため、日本からの品物はカラムⅠの税率が適用されます。
参照:台湾関税制度|JETRO
 
<問合せ先の紹介>台湾の税関・港務・貿易総合窓口
https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/trade_03.html
 
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個人が受け取る場合は注意が必要 

 
貿易関税は受け取る側の企業が支払うのが一般的ですが、越境ECなど個人が受け取る場合をみてみましょう。
 
 

2022年7月に施行されたEZ WAY易利委

 
EZ WAY易利委とは、実名登録・認証を受けるために政府が開発したアプリです。
 
越境ECでよく使われる民間国際宅配便での通関手続きを厳格化するため、2022年7月より「EZ WAY (易利委)」アプリを使用した実名認証制度が本格導入されました。
 
越境ECが盛んになり個人の少額取引が増大すると、中には商品の受取人が氏名を偽ったり、免税額に収まるよう複数回に分けて受け取るなどの不正も目立つようになりました。これを適正化するために台湾人が受取人の場合、商品を受け取る前に実名を登録、認証を受けることが義務付けられました
 
EZ WAYアプリの導入で何が変わるのか具体的にみてみましょう。

  • 免税対象額     :2,000元以下
  • 免税で購入できる回数:1人当たり半年6回(年12回)まで
  • 実名が未登録の場合 :通関手続きを拒否される可能性がある

 
2022年の現在では民間国際宅配便で小口荷物向けの簡易通関が適用される場合ですので、EMSや国際郵便についてはこれまでと変わりありません。今後については最新の情報を確認して下さい。
 
EZ WAYアプリの導入については、2020年より段階的に周知され、2021年時点で約380万人が実名認証を受けています。
 
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健康食品を台湾で売るなら

 
台湾は日本と同じく少子高齢化が進み、さらに若年層の健康意識も高いことから健康食品・サプリメント市場は年々増加傾向です。中でも目や関節などのアンチエイジング成分に人気が集まっています。また、親日国として知られる台湾では、日本の商品は信頼できるとして人気も高く、アジア展開の玄関口として台湾進出を検討される企業も増えています。
 
越境ECで販売するという方法もありますが、アジアを見据えたビジネスとしての拡大性はそこまで期待はできないと捉えています。日本の企業が本格的に海外展開を検討されるのであれば、一般貿易での正規の輸出を行い、現地法人または台湾での販売代理店などとの連携などを視野に入れた販売戦略が必要といえるでしょう。
 

海外事業を始めるD2C経営者なら押さえたい、事業計画の立て方
関連記事 海外事業を始めるD2C経営者なら押さえたい、事業計画の立て方 D2Cで海外事業をスタートするとき、策定する事業計画。 「年商10億円といった規模を目指す場合、必要な投資額は?」「事業計画を立てるときに注意すべきポイントは?」など、日本のD2C企業約50社を支援した実体験をもとにまとめました。

 
 

輸入審査など申請許認可の難易度

 
台湾で実際に商品を販売しようとすると、関税だけでなく輸入審査も必要です。特に健康食品(サプリメント)では化粧品などに比べ相対的に時間がかかり、また申請許認可を得る工程も複雑化し、難易度が高いといえます。健康食品やサプリメントは経口摂取するため、安全性を確認する必要から厳しいチェック体制がとられているのでしょう。
 
以下に、簡単にサプリメントの一般貿易による各国への輸出の難易度について示しました。正規の手続きを経て、現地国に輸出できるまでの期間を比較しています。期間が長いほど難易度は高いといえるでしょう。
 

一般貿易によるサプリメント輸出の難易度
国・都市(一部抜粋)申請から輸出までの期間
シンガポール1~3ヶ月
香港1~3ヶ月
台湾3~6ヶ月
マレーシア3~6ヶ月
タイ1年以上
ベトナム1年以上
中国1年以上

 
アジアの中でも、シンガポールや香港は必要な申請書類を揃えれば比較的早く輸出することが可能です。マレーシアはハラル(イスラム教を信仰する人が食べられるもの)認定も必要ですが、台湾と同じく比較的輸出しやすい国といえるでしょう。ベトナムやタイ、中国への正規の輸出はかなり難易度が高く、申請に2年近くもかかるケースもあります。
 
 

「現地製造」という選択肢

 
台湾側の輸入規制の難しさに加え、関税が発生する場合は販売価格に転嫁せざるをえず、価格がボトルネックとなって売れずに撤退するケースもみてきました。このような課題を解決する方法として「現地製造」という選択肢があります
 
台湾を拠点としている弊社では、商品コンセプト、配合成分、売れる販売価格の設定と原価コントロール、パッケージ開発までを一気通貫でお引き受けする商品プロデュース事業を行なっています。これまで手がけてきたサプリメント商品は全てKPIを達成し、台湾をはじめ香港、東南アジアでヒットする商品となっています。
 
「現地製造」によりヒットする商品をつくり売上を上げられる理由は、以下の3点です。それぞれがリンクしながら商品が売れやすい構造を作っています。
 
1.OEMとの連携
 現地でトレンドになっている成分情報をいち早く捉え、商品に反映
2.価格コントロール
 健康食品市場で売りやすい販売価格を熟知しているため、原価をコントロールすることで利益が出る構造がつくれる
3.アジアで売れるデザインを熟知
 専門デザイナーを配し、アジアで売れる“見せ方”のPDCAを徹底的に回している
 
商品の企画からローンチまではおよそ5ヶ月ほどです。

商品企画からローンチまでのスケジュール感の図

現地製造した場合の商品企画からローンチまでの流れ


 

年商100億円規模にまで成長した日本の健康食品企業の成功事例

 
台湾でコラーゲンや乳酸菌など複数の健康食品を取り扱うことで、年商100億円を超えるまでに成長した日本企業の成功事例をご紹介します。
 
この企業のビジネスモデルは、D2Cと言われる自社通販型です。モールなどへの出店・出品ではなく自社のECサイトで販売することで顧客情報を獲得し、その後のマーケティング施策などに活用してきました。
 
成功要因を以下にまとめました。

  • 自社通販により顧客情報を直接獲得し、データベースマーケティングを実施
  • 新規獲得では広告による販売促進と商品認知の向上を図った
  • 商材はリピート率が高い、かつ既に成分認知のある健康食品
  • 単品購入の方をLTVの高い定期コースへ誘導する 
  • SKUを多く持ち、キャンペーンやDMでのクロスセルによる売上確保
  • ※SKU=SKUはストックキーピングユニット(Stock keeping Unit)の略。在庫管理上の最小の品目数を数える単位。

 
成功要因はどれも日本のリピート通販でよく見られる手法です。この企業では日本で培ったマーケティング手法を徹底的に磨いたことで、台湾市場でも100億円規模にまでビジネスを拡大できることを示す事例といえるでしょう。
 
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必ず現時点の状況を確認

 
大きな成功事例も出ている台湾市場への展開ですが、関税だけでなく輸入規制が強化されることや、品目の基準は不定期に改正されることがあります。また、品目によっては緩和されることもあります。進出国の中での税制や薬機法のような法律も存在しますので、必ず最新の状況を確認しましょう。
 
海外ビジネスでは自社の方針に合うパートナーと連携することも、展開スピードを上げる手段の一つです。
 
弊社では台湾での商品プロデュースや現地製造についての情報のほか、日本で培ったリピート施策、CRMノウハウを活用しながら、台湾独自の価格設計、キャンペーンでの販売などD2Cの成功モデルを作ってきました。台湾をはじめとするアジア各国への展開をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
 
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