Webマーケティングにおいて最終的な成果を表す「コンバージョン」。このコンバージョンを目指すことがECコマースの目的になります。ただし、このコンバージョンには様々な種類があります。
コンバージョンの種類と、どのようにすればそれを達成できるのか、またコンバージョンへの認識を変えることでWebサイトの問題を改善する方法をわかりやすく解説します。
コンバージョンとは?
「コンバージョン」という単語にはもともとは「転換」「変換」「交換」といった意味があります。
ただし、WebマーケティングやECコマースにおいてコンバージョンは「最終的な成果」を指す言葉です。それまでWebサイトを閲覧していたユーザーが顧客に変換するといったイメージでコンバージョンという言葉は使用されますが、CVなどと略されることもあります。
ユーザーが「最終的な成果」に達する確率を「コンバージョン率」または「CV率」と呼びます。
これはサイトを訪問した人のうち、どれだけの人が最終的な成果に達したかを示すパーセンテージです。
ここで注意しなければならないのは、単純に最終的な成果に達した人を表す「コンバージョン数」とは異なるということ。
言い換えれば、コンバージョン率はどれだけ効果的にユーザーを目的地に導くことができたかという指標になります。そのためECコマースにおいては、このコンバージョン率をアップさせることが重要となります。
このコンバージョン率のことをそのままコンバージョンと呼ぶこともあります。これは「コンバージョンをアップさせる必要がある」という場合で、コンバージョン数とコンバージョン率との両方を含めて「コンバージョン」と言うこともあるため、単に「コンバージョンをアップする」といった場合、それがコンバージョン率を表すのか、コンバージョン数を表すのかという点は注意したいところです。
コンバージョン率は、コンバージョンレート、転換率、CVRと呼ばれることもあります。ほとんどの場合、それらはすべて「最終的な成果を達成したかどうか」を意味しています。
コンバージョンの種類
ECコマースの場合、サイトを運営する目的は自社で販売する製品やサービスを販売することです。そのため、「サイトを訪れた人が商品を購入すること」がコンバージョンとなります。
しかし、サイトの種類や目的によって、コンバージョンにも様々な種類があります。
たとえばサービスや商品を紹介するサイトの場合、「お問い合わせ」や「資料請求」の部分をクリックすることが最終的な成果、つまり「コンバージョン」となることもあります。そのほか、「会員登録」や「メルマガ登録」がコンバージョンとなることもあります。
このほかにも、それぞれのサイトによってコンバージョンの定義は異なります。これは言い換えれば、サイトを運営するときには「何をもってコンバージョンとするのか」ということを意識することが重要だということにもなります。
直接コンバージョンと間接コンバージョン
コンバージョンの種類は、目的や成果といった定義の違いだけではありません。
どのようにコンバージョンを達成したかという、いわばコンバージョンに至るルートの違いによっても、コンバージョンは種類分けされています。
「直接コンバージョン」は、Web上に出稿された広告をクリックしたユーザーがサイトを来訪し、そのままコンバージョンに至ることです。
これに対して「間接コンバージョン」は同じようにWeb上に出稿された広告をクリックしたものの、そのときはコンバージョンに至らず一度サイトを離脱、その後、再びサイトを訪れてコンバージョンに至るケースです。
この「直接コンバージョン」と「間接コンバージョン」の間には大きな差異はないように思えるかもしれません。ただし、広告の費用対効果という観点から考えると、この二つには大きな違いが生まれます。
というのも、直接コンバージョンだけを重視すると、本来なら獲得できたはずのコンバージョンを逃してしまうことがあるからです。
たとえば、直接コンバージョンを導くためには「リスティング広告」などが効果的な方法と言われています。「リスティング広告」とは検索エンジンにキーワードを入力した際、検索結果に応じて現れる広告のことで、すでに「何かを買いたい」「こういうサービスを探している」といった場合、リスティング広告は非常に有効です。
しかしリスティング広告にも問題があります。
このリスティング広告からサイトに誘導し、コンバージョンに至るのが直接コンバージョンであるのはすでに説明した通りですが、このリスティング広告からコンバージョンに導くことができるのは、すでにニーズが現れているユーザーのみです。
「自分が何を買いたいか決めていない」「欲しいものはあるけれど具体的なイメージがない」といったユーザーの場合、リスティング広告では消費を訴求することができません。
言い換えれば、リスティング広告だけに力を注いでいると、ニーズを自覚できないユーザーのコンバージョンを逃してしまうということになります。
このニーズを自覚していないユーザーを顧客にするためには、ニーズを自覚させるための施策や、潜在的なユーザーの掘り起こしが重要になりますが、リスティング広告に代表される直接コンバージョンだけではこれらの新しい層の掘り起こしが進まず、コンバージョンに至る機会を逃してしまいます。
そのため、コンバージョン率をアップさせるためには、直接コンバージョンと間接コンバージョンの両方への施策が重要とされています。
その他のコンバージョン
直接コンバージョンと間接コンバージョン以外にも、コンバージョンには種類があります。
まず、コンバージョン率についての説明が行われるとき、よく出てくるのが「ユニークコンバージョン」という言葉です。
「ユニークコンバージョン」とは、ユーザーを単位と考えた場合のコンバージョンです。
たとえば同じユーザーが同じECサイトでAとBの2種類の商品を購入した場合、通常はコンバージョン数は2となります。しかし、ユニークコンバージョンはユーザー単位でコンバージョンをとらえるため、コンバージョン数は1となります。
このユニークコンバージョンというカウントの方法を用いることで、より正確なコンバージョン率を測定することができます。
このユーザー単位でコンバージョンを考える方法には「クリックスルー・コンバージョン」と呼ばれるものもあります。
「クリックスルー・コンバージョン」の場合、あるユーザーが広告を経由してサイトを訪れ、複数のコンバージョンに達した場合でも、「1」とカウントします。
「クリックスルー・コンバージョン」は「CTC」と略されることもあり、こちらもコンバージョンを正確に測定するための方法です。
このほか、コンバージョンに達するルートの違いでの分類する「ビュースルー・コンバージョン」というものもあります。
「ビュースルー・コンバージョン」では、ある広告を見たけれどクリックをしなかったユーザーが、別のルートでサイトを訪れ、コンバージョンに達するケースです。これは直接的なクリックを導くものではない、イメージ広告がどれだけユーザーに影響を与えているかを知るための目安になります。
イメージ広告を増やすことで、どれだけユーザーのブランドに対する認知度を高められたかどうかを計る上での指標にもなります。
コンバージョン率をアップさせるために
それでは、コンバージョン率をアップさせるためにはどのような方法があるのでしょうか。
コンバージョン率をアップさせるためには、最終的なコンバージョンに至るまでのルートを細分化し、どの過程に問題があるのかを分析する手法があります。
これは「マイクロコンバージョン」と呼ばれる考え方に基づいたものです。
マイクロコンバージョンは、最終的なコンバージョンに至るまでに、いくつかの中間的なコンバージョンを設け、どの段階までならコンバージョンが達成されたか、またはどの段階以降のコンバージョンが達成されなかったかを調べる方法です。
たとえば通常のECサイトの場合であれば、商品の購入がコンバージョンということになりますが、実際には商品の購入に至るまでには様々なステップがあります。
一般的なECサイトであれば、まず商品を販売しているページにアクセスし、そこで商品の画像や説明文を読み、商品を選び、カートに入れる、といった過程がありますが、マイクロコンバージョンではそれぞれのステップを中間コンバージョンとして設定、どの段階までならコンバージョンが達成されたかを調査します。
この方法で各ステップのコンバージョン率を調べることで、現状の問題点を把握することができます。
そもそもサイトへのアクセスが少ないのか、商品の画像や説明文に不備があるのか、または商品の魅力を伝えきれていないのかといったポイントをあぶりだすことで、コンバージョン率をアップさせることにつながります。
特にECサイトの場合、企業側の想定とは違ったアクセス方法や流入ルートなどによってユーザーがサイトを訪問、商品購入を検討することも多いため、Webサイト改善や広告効果の検証などを正しく行うことができます。
ただし、すべての階層に中間コンバージョンを設定しても最終的な改善にはつながりません。
どの階層にどの程度の客層がいるのか、またはどの段階がもっともユーザーにとっては高いハードルとなっているのかという想定のもとにポイントを設けることが必要です。
まとめ
ECサイトにおいて、最終的な着地点と言えるコンバージョンはマーケティングにおいて当然のことながら非常に重要な点。コンバージョン率をアップさせるためのサービスも数多く提供されています。さらに現在では、eコマースにおいてはWebだけでなくアプリによるコンバージョン率が高いということも明らかになっています。
コンバージョン率をアップさせるための手法やツールは日々進化を続けていることから、最新の情報やトレンドをキャッチアップしつづけることも重要だと言えそうです。