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D2Cのアパレル企業7選!成功事例とそれぞれの特徴をまとめました

仲介業者をはさまず、直接顧客と企業が取引できる「D2C」モデルを展開する企業が増えてきました。この記事ではアパレル業界に着目してD2Cで成功している理由を紹介します。

アパレル業界で成功するD2Cブランドとは?事例8選の特徴を紹介

D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
解説資料はこちら
 
 

D2Cと似ているSPAとの違いは

 
SPAは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略で、企画・製造から販売までを自社で一貫して行うビジネスモデルのことです。
 
 

ユニクロやGAPが展開するのがSPA、D2Cとの違いは

 
SPAは、生産から販売までの仕組みはD2Cと同じです。異なる点を挙げるとすると、「ブランドの価値観」に基づいた経営やプロダクト作りがされている企業かどうかです。ブランドの価値観を重要視していない場合は、SPAのくくりになります。
 
ユニクロやGAPのようなSPAモデルを採用している企業は「流行の服をなるべく早く、安く提供する」ことを重視しています。自社ですべての工程を担うからこそ可能な「スピード感」と、世界中に店舗を展開して大量生産するからこそ実現できる「低コスト」を武器にしています。
 
D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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D2Cのアパレルブランド7選

ここからは、D2Cアパレルブランドを7つ紹介します。
 

 
 

1.CLANE 

 


CLANE(クラネ)は、シンプルなデザインに現代的な柄や素材を取り入れた「オリジナルスタンダード」をコンセプトに掲げるアパレルブランドです。 
 
デザイナーの松本恵奈さんの「本当に良い服を長く着たい」という実体験をもとに、子育て中でも着やすい上質な服を30代以上の女性向けに展開しています。
 
明確なコンセプトと、確かな品質はブランドの成功に寄与していますが、CLANEの特徴はPR力です。コロナ禍で全ての直営店が休業したことをきっかけにSNSでの発信に力を入れ、特に多くの情報を発信できるYouTubeの動画配信に積極的に取り組みました
 
Youtubeでは、コーディネートの投稿だけでなく、同ブランドのプロデューサーである松本さんのプライベートの様子も公開されています。ブランドをより身近に感じられると反響を呼び、ECでの売上が1年でおよそ3倍、全体の売上の6割を占めるまでに成長しました。
 
ターゲットが共感できるコンセプトと、ブランドを身近に感じさせるコミュニケーションで売上拡大に成功している事例です。
 
参照:クラネ 松本恵奈にインタビュー – 販売員からデザイナーへ、洋服に込める等身大の自分
   「CLANE」松本恵奈が語る アパレルの生きる道
 
 

2.ALL YOURS

 

ALL YOURSの紹介

(出典:https://allyours.jp/


ALL YOURSは、「UnFashionとしての服」をコンセプトに、機能性に特化した服作りを得意とするファッションブランドです。
 
ファッションをおしゃれ・トレンドよりも使いやすさで選ぶ人をターゲットとしており、「疲れない」「乾きやすい」「汚れにくい」など機能面にこだわっているのが特徴です。実際に、どの服もシーズンテーマやトレンドを取り入れない代わりに「すぐに乾く」「下着が透けない」「雨や汚れを弾く」といった “着やすいコンセプト” があります。
 
多くの企業が統一感のあるブランドを目指す中、ALL YOURSが異なるのは、ブランドを厳しく管理していないという点です。
 
人がどう感じるかというところを大事にしているため、普段の交流やクラウドファンディングを通じて得たものをブランドの価値にしていくことで、顧客と一方通行ではない共創関係を築くことに成功しています。また、顧客の呼び方にも同ブランドの考え方が反映され、共にブランドを作る一員「共犯者」と表現しています。
 
服の作り方、顧客との関係性など統一された世界観と、特定の層に刺さるコンセプトで着実にファンを増やしている事例です。
 
参照:オールユアーズが毎日ファッション大賞にノミネート。1000人の共犯者と挙げる声とは?
   「オールユアーズ」から学ぶ、顧客と価値を共創するブランドとは?
 
 

3.FABRIC TOKYO

 


FABRIC TOKYOは、イージーオーダースーツを扱うアパレルブランドです。イージーオーダーとは、既存の型の中から自分の体型に合ったものを選び、決められた範囲でサイズを調整して作られるスーツのことで、既製品では出せないフィット感を得ることができます。
 
”オーダースーツ” と聞くとぴったりとしたサイズを想像するかもしれませんが、「ゆったりと着たい」「スリムに着たい」など人によって好みは様々です。そうした個々の好みを考慮するため、最初に実店舗で採寸し、2回目以降は初回のデータをもとにオンラインで注文ができるようにしています。その他、新商品や新機能のリリースでは経営陣も交えて顧客インタビューを行うなど顧客とのコミュニケーションにも力を入れています。
 
また、受注処理、在庫管理、CRMなどのさまざまなシステムを自社で内製化することで事業が拡大しても効率的に受注できる体制を整えています。
 
一気通貫の生産体制とイージーオーダーによって価格面のハードルを下げ、「Fit Your Life」のコンセプトを体現するサービスを提供し、差別化に成功している事例です。
 
 参照:「顧客の心に突き刺されば次につながる」。日本を代表するDtoC企業 FABRIC TOKYO
   オーダーメイドを民主化させたFABRIC TOKYOに見る”D2C”とは
 
 

4.Ameri VINTAGE

 


Ameri VINTAGE(アメリヴィンテージ)は、「’NO RULES FOR FASHION’
FASHIONにルールはない。」をコンセプトとし、カジュアル系からモード系までをブランドディレクターである黒石奈央子さんが独自のスタイルに仕上げているアパレルブランドです。
 
Ameri VINTAGEの特徴は、ジャンルを決めないデザイン、手頃な価格など複数挙げることができますが、特筆すべきがSNSのマーケティングです。投稿される写真のクオリティが高く、海外スナップを模した撮影をすることで洗練された世界観を表現しています。
 
その他、ECで購入する不安を取り除くために、身長の異なるスタッフの着用画像を掲載したり、常に新しいデザインを生み出せるよう売れ筋の商品があっても再販はしないなど顧客を飽きさせない工夫をしています。
 
また、黒石さん自身が普段のブログやInstagramで商品を着用した画像を投稿したり、積極的に店頭に立つなど、黒石さんの熱心な取り組みが顧客にも伝わったことでAmeri VINTAGEのD2Cブランドとしての地位を確かなものにしたと考えています。
 
ブランドの世界観の徹底や、黒石さん自ら高い熱量を持ってブランドを成長させる姿勢によって、D2Cに欠かせない熱狂的なファン作りに成功している事例です。
 
参照:黒石奈央子が手がけるAmeri、「泥臭い6年間」と「したたかな戦略」
   大阪進出を果たしたAmeri VINTAGEの現在地とその先。
 
 

5.RANDEBOO

 

RANDEBOOの紹介

(出典:https://randeboo.shop/


RANDEBOO(ランデブー)は、モデルのSEIKAさんがパートナーと共に立ち上げたアパレルブランドです。ブランド名に「恋人との待ち合わせ」という意味が込められており、コンセプトは”待ち合わせで相手がドキッとするような大人な自分 “。彼女であるSEIKAさん自身がモデルを務めているため、世界観が伝わりやすく若者の支持を得ています。
 
運営メンバーは20代前半が中心と若いですが、それぞれのSNSのフォロワー数は1万人以上を超えており、個の発信力を武器にしています。
 
SNSの投稿では、シーズンごとにトーンやフィルターを変え目新しさを演出したり、質問機能でファンを巻き込むことでブランドを自分ごと化してもらえるようなコミュニケーションをとっています。
 
D2Cに欠かせないファンを作る方法の1つは、「顧客と共に未来を作っていく」ことだと考えています。その点において、RANDEBOOは明確なコンセプトとそれを強固にするSEIKAさん、一緒にブランドを作ろうとするコミュニケーションによって顧客の心を掴んだ事例です。 
 
参照:[D2C事例]インスタで急成長中の次世代ネオアパレルブランド「Randeboo」がファンの共感を集める方法とは?
   経験ゼロでブランドを立ち上げ、3年で人気ショップに成長! 「RANDEBOO」ディレクター、SEIKAさんの起業の経緯
 
 

7.louren

 

lourenの紹介

(出典:https://louren.jp/


louren(ローレン)は2018年に人気インスタグラマーの佐藤涼実氏が立ち上げたアパレルブランドです。lourenのコンセプトは「大人のフレンチベーシックスタイル」です。「この年代だからこれを着ないといけない」という縛りをなくしたいという思いから、lourenではあえてターゲットとする年代を決めずに商品企画が行われています。
 
「年齢問わずにファッションを楽しんでもらいたい」という思いに共感した人や、佐藤さんのInstagramで紹介している着こなしに憧れている人が、ブランドのファンとして定着しています。
 
2021年7月に実店舗をオープンしましたが、それまではポップアップストアで顧客と触れ合ったり、InstagramのコメントやDMのメッセージにはすべて目を通すことで顧客と向き合い、ブランドのファンを作ってきた事例です。
 
参照:安定志向でも、インスタ発ブランドを立ち上げ。「副業」だからこそ挑戦できたこと。
 
 

8.Dear Sisterhood

 


Dear Sisterhood(ディアシスターフッド)はファッション誌の専属モデルだった瀬戸あゆみさんが2020年に立ち上げたアパレルブランドです。インフルエンサーによるアパレルブランドの立ち上げ支援をするpicki株式会社が整えた事業基盤を活用して、企画から生産、物流、販売までを行っています。
 
コンセプトは「女の子だったあなたのお姉さんのような存在」。大人になったからファッションも変えなければという圧力に負けず好きなものを好きでいてほしい、という思いが込められ、瀬戸さんのファンに多い20代の女性をターゲットにした商品を展開しています。
 
「SISTERS」と呼ばれるリアルな場で集まるコミュニティを運営するなど、瀬戸あゆみさんの世界観に共感するファンを増やす取り組みに力を入れて成功している事例です。
 
参照:「女の子たちの味方でいたい」Dear Sisterhood ブランドディレクターの瀬戸あゆみさんに独占インタビュー
   総フォロワー数85万超!人気モデルに学ぶ「SNS時代のブランドづくり」
 
D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
解説資料はこちら
 
 

事例から考えるD2Cアパレルブランドの成功ポイントとは

 
今回紹介したD2Cアパレルブランドの事例から成功ポイントを考えてみましょう。
 
従来のアパレルブランドは、世間一般の流行や企業が押し出したいコンセプトで商品が作られ、顧客がその中から選択して購入するという形でした。
 
しかし顧客のニーズが多様化している現在において重要なのは、商品の魅力だけでなく ”顧客と共に作る姿勢” や、”共感できるストーリー” を通じてファンになってもらうことです。
 
今回紹介したブランドは、これらに取り組めていたため成長したといえます。またすべてに当てはまるわけではありませんが、他に見られる特徴として、自分に合う服を探すのが困難なアパレル用品でのパーソナライズ化や、”立ち上げ前”から熱狂的なファンがいることも成功の要因です。売る前から売れる仕組みができているため、軌道に載せやすいと考えられます。
 
D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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アパレル業界でD2Cを展開するメリット

 
アパレル業界でD2Cへの参入を検討している方向けに、最後にメリットとデメリットを解説します。
 
 

メリット1 ブランドの価値観を伝えやすい

 
D2Cでは中間業者を通さずに顧客と直接つながるため、自社ブランドの価値観や世界観をしっかりと伝えられます。
 
小売業を通じて商品を販売すると、商品の世界観が全く異なる商品と並べて陳列されたり、定価より安く販売されて商品によっては高級感や特別感を損なってしまう可能性がありますが、D2Cではそういった事態を避けられます。
 
販売まですべて自社で行い小売店の都合に影響されることがないので、一貫した世界観を顧客に伝えやすく、ファンを作ることができます。
 
 

メリット2 利益を伸ばしやすい

 
D2Cでは自社と顧客との間に仲介業者が入らないため、販売にかかるコストを抑えることが可能です。また、実店舗を持つことでかかっていたテナント料や光熱費も不要となるため、商品の品質を高く保ったままでも価格を抑えて販売することができます
 
D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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アパレル業界でD2Cを展開するデメリット

 
 次にデメリットを2つ紹介します。
 
 

デメリット1 販売までの仕組みづくりが必要

 
従来のアパレル業界のビジネスモデルであれば、メーカーは商品の企画と生産のみに専念してその後の流通は他社に任せることができました。一方、D2Cでは販売までの仕組みをすべて自社で担い、運営していく必要があります。
 
生産から販売まで自社で賄うとなると、スキルを持つ人材の確保や仕組みの構築、その後の改善が求められるため、このような販売までの仕組みづくりの負担が増えることは、D2Cのデメリットです。
 
 

デメリット2 自社で集客する必要がある

 
D2Cでは大手ECサイトや複合商業施設の集客力に頼ることができないため、自社のECサイトやSNSなどで認知を広げファンを獲得していかなければなりません。
 
オンライン上での接点が顧客体験のすべてになるため、サイトの導線設計やSNS運用には従来の店舗中心のビジネスモデルよりも力を入れて取り組む必要があります
 
今回紹介した事例にもあるように、すでに一定のフォロワーがいるインフルエンサーが立ち上げた場合はスピード感を持ったスタートがきれる可能性が高まります。
 


 
成功しているアパレルブランド7つの共通項は「明確なコンセプト」があることと、「ブランドに共感するファン」がいることだと考えられます。
 
今回は、アパレル業界のブランド7つについてお伝えしました。他業界にも興味がある方はこちらの記事もご覧いただければと思います。
 

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今回ご紹介した事例が、D2Cモデルを検討・運営している方のお役に立てば幸いです。
 
D2Cブランドの成功要因を紐解くには、ビジネスモデルやKPIの理解が重要です。
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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